監督:園子温 2008年11月にファントム・フィルムから配給
愛のむきだしの主要登場人物
本田悠(ユウ):西島隆弘 父の厳しくもあり歪んだ愛の元、一緒に暮らす尾沢洋子(ヨーコ):満島ひかり 幼少期のつらい虐待が原因で破壊願望をもつようになった女子高生。コイケ:安藤サクラ ヨーコ達に近づく、宗教団体ゼロの幹部。本田テツ(渡部篤郎)ユウの父。歪んだ愛情でユウを育てる。カオリ(渡辺真起子)自由な恋愛観を持つ女性であり、テツの再婚相手。
愛のむきだし の簡単なあらすじ
ユウの母は熱心なクリスチャン。
毎日神に祈りを捧げている。
ユウが小学生の時に母は亡くなる。
一緒に暮らしていた父は、カオリという女性と知り合い恋に落ち出ていくが、カオリが自分の元を去るとテツは協会に戻り、ユウに懺悔を求めるようになる。
ユウは罪を作るために盗撮を行うようになる。
父に「変態だ」と怒られつつも、愛を感じる日々。
ある日、ユウは罰ゲームの女装で、自らサソリと名乗る。
町へ出かけたユウは、女子高生ヨーコが次々と不良を倒していくのを目の当たりにした。
そして、お互いに恋に落ちる。
父は戻ってきたカオリと結婚すると宣言するが、一緒に連れてきた娘はヨーコだった!
愛のむきだし の起承転結
【起】愛のむきだし のあらすじ①
ユウの母はいつもマリア様に祈りを捧げていた。
そして、つねにユウに、「マリア様のような人と出会いなさい。」
と告げていた。
そんな母はユウが小学生の時に亡くなり、父テツはその後、神父になる。
ユウは父と一緒に暮らしていが、ある日父はカオリという名の女性に惹かれて、出ていってしまう。
しかし神父は結婚できないため、結婚を望んでいたカオリは、父の元を去ってしまった。
戻ってきた父はそれから性格が変わってしまい、ユウに懺悔を強要するようになる。
父のことが大好きだったユウは、父から好かれるために罪を探しながら生きていくことになる。
ユウは罪作りになるためにパンツの盗撮を始めるのだった。
努力の甲斐あり、盗撮はプロの域まで上達するが、逆に父には変態呼ばわりされる。
盗撮しながら、自分のマリアを探すユウ。
ユウの盗撮に感動したタカヒロ、ユウジ、先輩はユウの弟子になる。
ある日、父が突然優しくなる。
なぜ?嫌な予感がするユウであった。
【承】愛のむきだし のあらすじ②
ユウは、いつものようにタカヒロたちと会っている。
ある日、賭け事に負けたユウは女装して町に出かけることとなった。
町では、カオリと一緒にいたヨーコが男達に囲まれていた。
助けようとしたユウは、戦うヨーコの姿に恋してしまう。
これが2人の初めての出会いだった。
しかし、行動のおかしい謎の女コイケが現れる。
コイケはゼロ教会の側近で、ユウを信者にするためにユウの周りを調査し、色々と策略をねる。
ユウは自分はサソリだと名乗る。
ヨーコは女装姿のユウに恋心をいだいた。
ある日、ヨーコがユウと同じ学校に転校してくる。
驚くユウに対して、ヨーコはユウだと気づかない。
なぜなら初めて会った時、ユウは女装していたからだ。
ヨーコはユウに冷たい態度をとる。
そこでユウはサソリの恰好をしてヨーコの前に現れた。
サソリとの約束を守り、ユウのことをお兄ちゃんと言って慕うようになる。
ある日、コイケが転校してくる。
コイケは自分がサソリだと名乗る。
それを信じたヨーコはコイケにのめりこんでいく。
そうしてコイケは近づいていった。
テツとカオリまで洗脳された様子を見て、ユウは本当のことをぶちまける。
ヨーコの信用を失い、家族もバラバラになってしまった。
すべてはコイケの思うつぼだった。
【転】愛のむきだし のあらすじ③
ユウは、ヨーコを助けるために再び仲間と一緒に盗撮の仕事をすることになる。
ユウはヨーコを見つけ、無理やり連れていくが逆に、変態呼ばわりされる。
コイケに洗脳されていたからだ。
しかしゼロ教団に見つかり、連れていかれる。
ユウは洗脳されたふりをしてヨーコを助ける機会をうかがっていた。
爆弾や刀を手に入れるユウ。
最後にたどりついたのは、真っ白な部屋だった。
そこで、はテツ、カオリ、ヨーコ、コイケの4人が一緒に鍋を囲んでいた。
それを見て、建物を爆破させたユウだった。
しかし彼らの洗脳はとけなかった。
ユウを恨むヨーコはユウの首を絞めるが、ユウは「愛している。」
を叫ぶ。
コイケがマリア像を爆破させたとき、ユウは錯乱し、コイケは自らを刀でつらぬき自殺したのだった。
この事件により、もともと問題視されていたゼロ教団に強制捜査のメスが入り、教団は解体となる。
その後テツとカオリはともに、被害者の会の施設で生活をはじめ、ヨーコも親戚の家でお世話になることになる。
【結】愛のむきだし のあらすじ④
その後、ユウは精神病院で入院生活を送っていた。
ヨーコは親戚の家で、心穏やかにくらすうちに、自分にたいするユウの愛に気づき後悔して涙を流す。
そしてヨーコはユウに会いに行く。
病院にいくと、サソリの姿をしたユウを見つける。
ユウはヨーコを見て、「はじめまして。」
と挨拶する。
ヨーコもまた「はじめまして。」
と言い返すが、こらえきれずに泣き出す。
ユウにはサソリとしての人格が残り、ユウとしての記憶をなくしていた。
ユウとしての記憶を思い出させようと必死になって、説明しようとするヨーコ。
しかしそんなヨーコに対して、ユウは困惑する。
騒ぎに気付いた警察が到着し、ヨーコは外へ連れていかれてしまう。
部屋で1人になったユウは過去の記憶を思い出す。
そして素早く病院をかけだし、サソリの姿を脱ぎ捨ててヨーコのもとへ急いだ。
パトカーに乗っているヨーコを見つけるユウ。
パトカーの窓をぶち破ってユウとヨーコは手と手をとりあうのだった。
愛のむきだし を観た感想
「愛のむきだし」は、2009年に公開された日本映画だ。
第59回ベルリン映画祭にて国際批評家連盟賞とカリガリ賞受賞した。
キャスト全員が、どこか病んでいる。
親からの愛情が足りなかったのか。
そんな負の状況に暴力と宗教、犯罪、そして青春が入り交じった純愛映画になっているので目が離せない。
演じている役者さんの個性が光る4時間もの大作だ。
4時間といってもあっという間に感じてしまう。
そして、西島隆弘演の女装姿がとても似合っている。
何しろかわいいのが見どころ。
監督のお墨付きだ。
満島ひかりの体をはった戦いの全力シーンや安藤サクラの怪演なども心に残る。
最後に手を取り合うシーンは感動的だ。
ぜひ色んな人に見てもらいたい映画だ。
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