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丹治郎の戦いに向かう強い意志
愈史郎は地面に横たわる丹次郎の腕を手に取り、治療の為に注射を打ちます。立て続けに注射を打つ愈史郎を横目に村田は、そんなに打って大丈夫なのかと心配の声を掛けます。愈史郎は焦燥感を滲ませながら、無惨の攻撃を受けてから時間が経過していて丹次郎の身体はまずい状況だと答えました。村田が丹次郎の手から刀を放してやろうとしますが、丹次郎は意識が無いにも関わらず強い力で柄を握って離しません。愈史郎は丹次郎にはまだ戦いに向かう意思があるんだろうと呟きます。
微弱ながら丹次郎の脈が戻ってきました。村田は必死になって何度も丹次郎の名前を呼びかけます。それから『無惨倒しに行こう ここまで追い詰めたんだ一緒に倒そう』と村田が声を張り上げました。次第に丹次郎の脈が弱まり、愈史郎はやはり駄目かと思います。けれど村田が『無惨が逃げちまうぞ』と叫んだ瞬間、刀がギシギシと激しく軋むほど力み丹次郎は目を覚ましました。
悲鳴嶼が見抜く無惨の体の構造
無惨と凄まじい攻防を繰り広げる柱達を見て、夜明けまで持つかもしれないと無惨を追い込みつつある事を治療班は実感していました。悲鳴嶼の日輪刀が無惨の胴を突き破ります。不死川は身に付けてる者同士だけ姿を確認できる札に感心し、使えるものはなんでも使うと意気込んで無惨に斬り込みます。『風邪の呼吸 漆ノ型 勁風・天狗風(かぜのこきゅう しちのかた けいふう・てんぐかぜ)』が更に無惨を追い込みました。悲鳴嶼はその様子を見て、僅かながらの余裕だけれど戦力が増して集中できると感じていました。戦いに有効な情報を得られるはずだと、透き通った感覚で無惨の体を捕捉する事に努めます。
無惨を感知した時と同じように、悲鳴嶼は音の反響に集中しました。すると信じがたい事に、無残の身体には脳と心臓が多数あると分かります。一個体の保有数を超えて複数の臓器を持っているから、無惨は首を切っても死なないのでした。更に無惨の身体の中で複数の脳と心臓は移動していました。
悲鳴嶼は自分と同じ様に透かして感知できる者で、十二箇所同時に攻撃できれば無惨を倒せるのではないかと思いつきます。周囲の柱達に向かって『体を注視しろ』と悲鳴嶼は叫びました。近くで応戦していた伊黒は悲鳴嶼の助言を受けて、一瞬だけれど無惨の身体を透かして見る事に成功しました。
けれどその次の瞬間、無惨の破壊的な一撃が放たれ大きな地響きが立ちます。地面が割れ、柱達は四方八方に突き飛ばされていました。悲鳴嶼は左足を、義勇は右腕を失い、他の皆も重症を負わされています。
窮地に駆けつける丹治郎
辛うじてカナヲは意識がありました。しかし、額の札は破れて目の前には無惨が立ちはだかります。カナヲは辛い過去を思い返し『死んでも倒す 私だって姉さんみたいに最後までちゃんとやる』と自分を奮い立たせようとします。けれどカナヲの体は強張ったまま動きません。無惨は無表情で左腕をカナヲに向かって振り下ろしました。
突如、無惨の目前で『ヒノカミ神楽 輝輝恩光(ひのかみかぐら ききおんこう)』が繰り出されます。丹次郎がカナヲを助け、無惨の左腕は切り落とされていました。
丹次郎の腕に抱かれたカナヲは、涙を零して繰り返し丹次郎の名前を呼びます。丹次郎は遅くなってごめんとカナヲに言って、治療班にカナヲを預けました。
丹次郎は再び無惨と対峙します。無惨の血が回り鬼の細胞から戻らず赤い腫瘍となった丹次郎の右目を、無惨は『醜い姿だ これではどちらが鬼かわからないな』と言い捨てます。丹次郎に縁壱の面影を重ね、無惨の不快感は強まりました。『終わりにしよう 無惨』と言い、丹次郎まっすぐ無惨を見つめます。第192話へ続きます。
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泣けない