監督：原田眞人 ２０１８年８月２４日に東宝から配給
検察側の罪人の主要登場人物
最上毅（木村拓哉）
東京地検の検事で23年前少女殺人事件の犯人を探している
沖野啓一郎（二宮和也）
最上の後輩の検事で真実と正義の狭間に悩み苦しむ。
橘沙穂（吉高由里子）
沖野の立会事務官で暴露本を出すために事務官になった。
諏訪部利成（松重豊）
闇取引のブローカーで最上と面識がある。
松倉重生（酒向芳）
２３年前の少女殺人の容疑者の一人で老夫婦殺人事件の容疑者。
検察側の罪人 の簡単なあらすじ
最上検事は老夫婦殺害事件の容疑者リストに未解決の２３年前の少女殺害事件の松倉容疑者を発見すると私情から松倉を犯人に仕立てようとします。
松倉は２３年前の少女殺害事件の犯人であると自白しますが時効が成立していますので立件できません。
最有力の容疑者の弓岡が、捜査線に浮上しますが、松倉を犯人にするため真犯人の弓岡を殺して森に埋める最上検事。
しかし、弓岡が失踪したことで不安を覚えた共犯者が自首して松倉は無罪となり釈放されますが、諏訪部の独断で松倉は始末されます。
沖野は最上の正義を否定しますが、最上は真実と正義は時代で変わると言い、沖野はそれでも真実を追い求めるのでした。
検察側の罪人 の起承転結
【起】検察側の罪人 のあらすじ①
沖野が検事となって４年後、刑事部に配属が決まり研修時代の教官の最上と再会すると沖野の最初の仕事は最上が以前に担当した闇取引のブローカーの諏訪部の調書を任されますが、諏訪部は沖野の質問に答えず帰ります。
最上はホテルの一室で元弁護士で政治家の婿入りになった丹野議員への取り調べや２３年前に大学の寮の管理人の娘の由季が殺された話をします。
また最上は丹野が年上のバツイチで子持ちの女性と結婚するのを反対したことを話し、最上も結婚は失敗だったと語ります。
最上と沖野は蒲田のネジの卸売りの老夫婦殺人事件の担当になり、死後２日が経過してから発見されたことを知ります。
さらにアパート経営で家賃を手渡しでもらっていたことや借用書のリストが見つかり個人的にお金を貸していて恨みを買っている可能性があることを担当刑事から聞きます。
最上は沖野の調査報告の借用書のリストに松倉の名前を見ると動揺し早退すると家で由季の殺害された時の新聞を眺めるのでした。
レストランで事務官の橘が、出版社の人間から検察の暴露版を出すための契約期間に言及されます。
暴露本の出版の踏ん切りがつかないことを判断され記者の舟木を紹介されると成り行きで最上の動向を探る手伝いをします。
容疑者の１人である松倉のアリバイを聞きますが、ふざけた態度を取り真面目に答えようとしません。
松倉を知る田名辺管理官から２３年前の荒川で殺された由季の容疑者の一人であり３７年前の１６歳の時にも入谷一家殺人事件の犯人で少年院に５年間服役したことを聞きます。
昼間、闇取引に関わっている諏訪部が松倉が働いているリサイクルショップで話を聞いて、歩道橋の上で諏訪部を待っている最上に諏訪部は取引として白骨街道の話を聞かせてもらえられば、最上の犬になると言います。
【承】検察側の罪人 のあらすじ②
松倉を別件の横領の容疑で逮捕し自白させる方向で沖野が調書を取りますが、口をわらず別室にいる最上の判断で松倉を苛立たたせ松倉の要望で録音を止めると松倉は荒川の犯人は自分で由季を見て入谷事件の被害者の少女を思い出し由季のあとをつけて川辺で歌っている所を背後から押し倒して絞殺したことを自白します。
沖野は蒲田の老夫婦の殺人事件の自白も進めますが、松倉は犯行を否認している頃、高架下の川辺で最上は丹野議員を起訴しようとしている検事の話と松倉が由季の殺害を自白したこと、マスコミは権威に弱く日本は正義がないことを話して二人は別れます。
田辺管理官と担当刑事から別件で窃盗の容疑で捕まえた矢口から蒲田の焼き鳥屋で弓岡嗣郎なる人物が老夫婦殺人事件や凶器の包丁について吹聴していることから最有力の容疑者として最上・沖野に報告します。
夜、丹野議員が盗み出した高島グループから極右の献金について丹野議員の妻と弁護士が議論をしていると丹野議員は妻の経営するビジネスホテルから飛び降りて亡くなります。
検察庁で最上が諏訪部に電話をして足のつかない車と携帯の手配を頼むところを橘が、上の階段から眺めています。
最上は諏訪部と会い銃の手配も頼むと松倉を殺すのではなく裁判で極刑にするつもりだと話します。
最上は諏訪部の仲介で運び屋の女から銃を入手し車に乗って弓岡に会いに行きます。
橘はファミリーレストランで沖野に最上と諏訪部が密会していることを報告し最上が弓岡の捜査が始まる前に始末する危険性に気づき、沖野と橘は最上の追跡を開始します。
最上はラブホテルで働いている弓岡に連絡しヤクザ、警察が見張っていること、蒲田の焼き鳥屋での出来事をつかんでいることを話してラブホテルの部屋番号を聞き出すと最上は弓岡に拘留中の松倉に罪を着せることや毎月の生活費を渡すことを提案すると証拠の欠けた包丁が弓岡のアパートにあることを白状します。
【転】検察側の罪人 のあらすじ③
沖野と橘はバイクでラブホテル付近に到着すると警察車両とヤクザの見張りがついていることを確認してからホテルの部屋で監視することにしますが、最上達とすれ違いになってしまいます。
最上は証拠の包丁を入手後、弓岡と箱根に向かう途中のドライブインで弓岡の自分勝手な言い分を聞いてトイレで吐いてしまいます。
箱根の別荘に到着し弓岡を森の奥まで先行させると最上が背後から銃を発砲し弓岡を殺して森の中に埋めます。
死体を埋めるのに日の出近くまで時間がかかり、疲労から祖父の夢を見る最上ですが、目を覚ますと諏訪部の運転する車で東京に向かっている途中で車に発信機をつけていたことや車の処理を運び屋の女がしたことを聞きます。
朝、蒲田署では監視班が弓岡の失踪を責められいると最上が現れ弓岡がラブホテルから失踪した報告を聞いて警察の失態だと責めます。
さらに沖野と橘が弓岡のホテルにいた理由を最上が尋ねると最上が諏訪部と会って車と携帯の手配を頼んだことやお金を引き出したことを橘が見て不審に思って沖野と追跡したことを話しつつ最上がラブホテルから弓岡を連れ去ったのでは尋ねます。
しかし、最上は動揺を一切せず車と携帯の手配は否定しますが、お金をおろしたことを認め諏訪部と会ったのは自分の娘がガールズバーで働いていることを相談するためのお金だと主張し、諏訪部からの報告で橘が大学生時代にキャバクラの暴露本を出したことや出版社の人間と会っていた証拠の写真を田辺管理官・担当刑事・沖野の前で見せます。
橘は席を外し田辺管理官は最上の意見で進む形になり家に帰った最上は証拠の包丁に細工して運び屋の女に後始末を頼みます。
沖野は橘が辞表を出したことや凶器の包丁が匿名の通報で発見されたこと、最上が丹野議員の葬儀を出席する報告を聞きます。
沖野は最上の松倉犯人説を否定し辞表を提出すると引っ越しの準備の最中に橘が会いに来て大人の関係になります。
【結】検察側の罪人 のあらすじ④
友達の両親が保険詐欺を繰り返していたころに鳥取毒物混入事件でレモネードに毒が入っていて３人の死者が出る事件で友達の両親が疑われ友達が施設に預けられたが、ひどい苛めにあい冤罪だとわかったときには自殺したと話します。
同時刻、最上に丹野議員のラストメッセージの映像が郵便で届きどうするかは最上の判断に任せるという内容でした。
国選弁護人の小田島弁護士に会いに行く沖野と橘は松倉を無罪にできるように協力するが難航し、最上が松倉の裁判の準備が進み弓岡の共犯者がヤクザに殺されたと思い込み交番に自首して警察で取り調べを受けて松倉は釈放されます。
最上は高級レストランで家族と食事会をしていると諏訪部から連絡が入り、小田島弁護士主催のパーティーで松倉がはしゃいでいる話を聞き松倉の始末する依頼を聞かれますが、最上は殺しの依頼しないと断ります。
沖野と橘が松倉のお祝いパーティに顔を出すと松倉が２人の顔を見ると癇癪を起して調書のできごとをなじり橘を押し倒し部屋を出ていきます。
沖野は上機嫌で街中を歩く松倉を見つけて追いかけますが高齢者の運転する暴走車に轢かれ松倉は死亡します。
その直後、運び屋の女がトラ、トラ、トラを繰り返して沖野の近く去っていきます。
松倉が押し倒したことで足を折った橘は入院し見舞いに来た沖野は最上から誘いの話があったことを話しその誘いを断るつもりでしたが、橘の説得により箱根にある最上の祖父の別荘に会いに行き丹野議員のラストメッセージの内容を読むことを最上から勧められます。
最上は丹野議員の妻と義父である高島グループの資金が戦前の日本に戻すために使われていると話し、弓岡の遺体は別荘付近に埋めたことを匂わせます。
最上は沖野と亡くなった由季が誕生日が一緒でそれがきっかけで目を掛けていたことを伝えますが、沖野は自分の正義と最上の正義は違うと言い真実を追い求めると言い残すと別荘を出て叫ぶのでした。
検察側の罪人 を観た感想
正直、HEROがつまらなかったので期待していませんでしたが、見ると楽しく拝聴できました。
レビューも参考にして気づきましたが、小説の原作と映画とは少しキャラクターの年齢設定が違っています。
木村拓哉がHEROの時とは違い冤罪を私情で作り出してしまう検事の役を演じていました。
法の執行者でありつつ自分の正義を貫けるかという内容で作られていて最上検事（木村拓哉）と沖野検事（二宮和也）で真実の求めるストーリーは違いました。
今回は容疑者が最悪の役を演じているので、拷問でもして自白させたくなるほど松倉を演じた俳優の演技はすごいです。
最上検事の私情をはさんでも松倉を死刑にさせたい理由はわかりますが、学生寮の管理人の娘である由季との関係が良くわかりませんでした。
回想を見ると仲が良かったのはわかりますが、妹の様に思っていたのかそれとも好きだったのかが明確ではないのでもう少しその点を表現して欲しかったです。
丹野議員（平岳大）の政治献金疑惑でこの国に正義はなくマスコミは俺を裏切ったと語っていますが、まさしくその通りで真実は大衆を満足させるだけの虚構でしかないと思いました。
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