監督:遊川和彦 2017年1月に東宝から配給
恋妻家宮本の主要登場人物
宮本陽平(阿部寛、工藤阿須加)
本作の主人公。優柔不断で口下手。国語教師をしている。
宮本美代子(天海祐希、早見あかり)
主人公の妻。決断が早くしっかり者。
五十嵐真珠(菅野美穂)
陽平とは料理教室仲間。旦那との離婚を考えている。
門倉すみれ(相武紗季)
陽平とは料理教室仲間。婚約者がおり幸せを感じている。
恋妻家宮本 の簡単なあらすじ
中学校で国語教師を勤める宮本陽平は、どこにでもいるような優柔不断で普通の中年男性です。
妻である宮本美代子は、陽平とは違い決断が早く芯のある女性です。
息子である正が結婚し福島へ移住したことをきっかけに、50歳になって初めて夫婦ふたりだけの生活になります。
二人だけの生活になった夜、二人で赤ワインをあけます。
「これからは二人きりだし、仲良くしなきゃね」と美代子は言い、昔のようにお互い下の名前で呼び合おうと言うのです。
酔いつぶれてしまった美代子に毛布をかけてあげようと寝室にむかった陽平は、そこで思いもよらぬものを見つけてしまうのです。
恋妻家宮本 の起承転結
【起】恋妻家宮本 のあらすじ①
平凡な中年で、中学校で国語教師を勤める宮本陽平。
妻である美代子とファミレスで食事をしようとしていました。
優柔不断である陽平は、なかなかメニューが決まらないのに対し、美代子は早々にメニューを決めてしまいます。
陽平は、小さいころから選択肢が多すぎるファミレスが苦手でした。
思い返せば、美代子と初めて会った場所、プロポーズをした場所もファミレスでした。
ファミレスでの合コンで美代子と出会い、二人は付き合います。
当時二人は大学生で陽平は大学院に進もうとしており、美代子は教師を目指していました。
月日が流れ、美代子の妊娠が発覚します。
気を付けていたのに、というまさかの出来事でした。
美代子は教師になるのは諦めると言います。
そのことを打ち明けられた陽平は、大学院に進むのを諦め、「お前の作った味噌汁がのみたい」とプロポーズをします。
愛情という結婚よりも責任をとらなければという葛藤から美代子との結婚を決意したのです。
食事をすませ、家に着いた二人は赤ワインをあけます。
なにかつまみを作って、と美代子は陽平に言います。
趣味で料理教室に通っている陽平は、手際よくつまみを作ります。
どこか美代子の表情は曇っています。
一人息子の正が結婚をし福島に移住したため、50歳にして初めて夫婦ふたりふだけの生活が始まります。
「これからは二人だけだし、仲良くしなきゃね」と美代子は陽平に言います。
そして、これからはお父さんお母さんではなく、昔のように下の名前で呼び合おうと提案するのです。
ワインで酔いつぶれ、美代子はソファーで寝てしまいます。
美代子に毛布をかけてあげようと陽平は寝室にむかいます。
これから時間もあるしまた昔の本を読んでみるか、となんとなく一冊の本を手に取ります。
それは陽平が美代子に初めて貸した思い出の本でした。
その時、ひらりとなにかが床に落ちます。
その本には、美代子の署名捺印済みの離婚届がはさまっていたのです。
【承】恋妻家宮本 のあらすじ②
翌日の朝、美代子の様子を見ていても普段と変わらない様子。
もやもやとしつつも離婚届の件はきりだせません。
中学校に向かうも、頭の中は離婚届のことでいっぱいです。
どこか上の空になってしまう陽平なのです。
そんな中、生徒たちの家庭訪問が行われることになります。
生徒の一人である克也が、「父親が海外赴任で、母親が事故を起こして入院中の場合はどうしたらいいですか」とおどけて質問をします。
克也の母親は不倫相手とのドライブ中に事故にあい、入院していたのです。
明るくひょうきんものの克也は、ドンというあだ名で自虐ネタでみんなの笑いをとっていました。
教室をでた陽平は、ドンのクラスメイトであるメイミーこと明美に声をかけられます。
メイミーは自虐ネタで陰口を言われないようにしているドンのことを心配しますが、どこか無関心な陽平に苛立ちます。
家庭訪問でドンの家を訪れると、克也の祖母が出迎えます。
厳しい性格の祖母はドンの妹の前で母親の悪口を言い、これからは自分が面倒をみると言い放つのでした。
もやもやした気持ちを晴らそうと、陽平は料理教室にむかいます。
言わずにはいられなくなった陽平は、料理教室で同じチームの五十嵐真珠と門倉すみれに、離婚届の件を相談します。
五十嵐さんから、不倫の可能性を指摘され、陽平は動揺を隠せません。
美代子がお風呂に入ってるうちに、思わず美代子の携帯を覗いてしまいますが、怪しいものは見つかりませんでした。
翌日、ドンが授業中に倒れてしまい、保健室へと運ばれます。
ドンは祖母に反発して、ここ数日まともに食事をしていなかったのです。
陽平は自分が顧問をする料理クラブに誘いますが、ドンはきませんでした。
陽平はドンにでも作れそうな簡単なレシピを、ドンの家のポストに入れることしかできませんでした。
その日も料理教室にむかった陽平。
先日まで幸せオーラ全開だった門倉さんはマリッジブルーで元気がありませんでした。
【転】恋妻家宮本 のあらすじ③
陽平は離婚届の件を切り出しますが、美代子はなにもふれず、正の奥さんが風邪で大変だから福島に行ってくる、と言い出しました。
学校で陽平はメイミーに、教師に向いてないかもと言われ、落ち込んでしまいます。
その晩家に戻ると、離婚届がなくなっていました。
正から電話が入り、美代子がしばらく福島にいるつもりだということを知り、何かかわったことがなかったか尋ねます。
正は「料理教室に通いだしてから元気がないみたいだ」と答えるのでした。
後日の料理教室、門倉さんは婚約解消を機に料理教室を辞めることを告げます。
五十嵐さんから飲みに誘われ、お互いの状況を話す二人。
体の相性がよくないのかも、確かめてほしいと言われ、ホテルの前まで来てしまいます。
そこに、五十嵐さんの旦那が倒れたと連絡がきます。
病室で、文句を言いながらも仲睦まじい姿を見た陽平は、羨ましく思います。
その時、母親の病室の前で佇むドンを見つけますが、会わずにその場から立ち去ってしまいました。
家に帰ると美代子の姿があり、陽平は離婚届の件を問いただします。
「不満はないけど、不安があるの」「結婚には向いてない」と言われ、激昂した陽平は勢いで離婚届にサインをしてしまいます。
美代子は離婚届を持って、再び家を出て行きました。
陽平はドンと妹をファミレスに誘い、お母さんに弁当を作って持っていかないかと提案します。
ドンの母親は病院で食事をとっていない様子でした。
翌日、一緒にお弁当を作り、恥ずかしがるドンに代わって陽平が渡します。
涙ぐむ母親は二人を呼び、三人は久しぶりに親子の時間を過ごすことができました。
エイミーは、「先生やっぱり教師にむいてる」と陽平に言いました。
その時、正から連絡が入り、美代子が福島でアパートを借りようとしていることを知らされます。
家に帰ってすぐに陽平はお弁当を作り、福島へと向かいます。
正の家に到着すると、美代子と入れ違いになっていました。
【結】恋妻家宮本 のあらすじ④
美代子が離婚届を出す前に、なんとしてでも引き止めなければ!陽平は必死の思いで駅に引き返し電車に乗ろうとしますが、タッチの差で終電を逃してしまいます。
落胆する陽平。
ふと顔を上げると、反対側のホームに美代子が立っていたのです。
美代子は携帯を忘れて引き返していました。
なぜ離婚届を書いたのか陽平が尋ねます。
息子が結婚した今、陽平と自分の間にはなにも残っていないのではないか、料理教室に通う陽平を見て、離婚の準備をしているのではないかと不安を募らせていたのです。
離婚届は陽平から離婚を切り出された時の切り札にしようと思っていたとのことでした。
陽平が美代子に想いを伝えようとしたその時、駅のホームが停電してしまいます。
駅の待合室で、電気が復旧するまで待つことにした二人。
ろうそくの灯りの中、陽平は美代子にお弁当を渡します。
中身は美代子の好物ばかり。
中身はぐちゃぐちゃになってしまっていましたが、美代子は美味しそうに食べます。
そして、お互いの本当の気持ちを語り合い、想いが通じ合ったのでした。
それからしばらくして、ファミレスで食事をする二人。
相変わらず優柔不断な陽平はすぐにメニューを決められませんが、どっちも頼んでシェアすればいいじゃない、と美代子が言います。
二人の間には穏やかな空気が流れていました。
そこへ、料理教室以来会っていなかった門倉さんがお店にやってきます。
「もう一生結婚しないと思う」という門倉さんに対し、陽平は自分自身の結婚生活への熱い想いを語るのでした。
周りを見ると、ドンが家族みんなで笑顔で食事をしていたり、五十嵐夫妻が食事をしていたり、そのファミレスの中は穏やかな空気が流れていました。
恋妻家宮本 を観た感想
夫婦の関係は子供が独立するとお父さんお母さんの関係ではなくなり、どのように生きていくのか、考えさせられる作品でした。
長年連れ添うと次第に関係性は変わっていってしまうのかもしれませんが、根底にある相手への思いやりを持ち続けることがとても大切だと思います。
陽平が見つけた離婚届をきっかけに、周りの人の影響もあってどんどん変わっていく姿に心打たれました。
夫婦や家族にはいろんな形があるけれども、幸せに生きていくにはどうすべきか考えさせられます。
そしてこの映画を見終わった後には、ファミレスに行きたくなります!
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