映画「なくもんか」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|水田伸生

映画「なくもんか」

監督:水田伸生 2009年11月に東宝から配給

なくもんかの主要登場人物

下井草祐太(阿部サダヲ)
本作の主人公。惣菜店で育てられて、店主から二代目山ちゃんの名をもらいます。

 金城祐介(永山瑛太)
祐太の生き別れた弟で、漫才師。

徹子(竹内結子)
惣菜店の娘で、シングルマザーとなり店に戻ってきます。

なくもんか の簡単なあらすじ

父に引き取られた祐太と、母のお腹に中に居た祐介の兄弟は生き別れに。

祐介は母が亡くなり、辛い環境で育ちました。

一方、祐太は、父が働いていた惣菜店の金を持ち逃げし、逃走。

残された祐太は、その総菜店で育てられるのでした。

ある日、義理の妹として一緒に育った徹子が子どもを連れて出戻ってきて、祐太は育ての父親が自分と徹子を結婚させたがっていたことを思い出します。

なくもんか の起承転結

【起】なくもんか のあらすじ①

兄弟の明暗

テレビの取材を受けたデリカの山ちゃんと、レポーターの「金城ブラザーズ」の祐介。

祐介には、会ったことのない兄がいました。

ダメな父親のせいで両親が離婚し、父に引き取られた兄・祐太とまだお腹にいた弟は離ればなれになりました。

父は、下町の総菜屋で働きましたが、すぐに店のお金を持って逃げてしまいました。

兄はそのまま総菜屋に引き取られ、総菜屋で一生懸命に働き、ついに山ちゃんの看板を譲ってもらい祐太が二代目山ちゃんとなるのでした。

断ることをしらない山ちゃんは、近所の人からも頼られて可愛がられていました。

次第に、デリカの山ちゃんは行列店へと成長していきました。

母に引き取られた弟・祐介は、無事に生まれますが貧乏でした。

母は、食堂で元気に働いていましたが、事故で突然亡くなり食堂は潰れしまいます。

祐介は親戚をたらい回しにされ何度も転校をして、お笑い芸人の道を選びますがウケず辞めようとしました。

しかし、金城大介と出会い兄弟のフリをして「金城ブラザーズ」を結成して売れたのでした。

【承】なくもんか のあらすじ②

これで本当のデリカの跡取りに

ある日、祐太の育ての親の娘・徹子が帰ってきました。

徹子は、子どもの頃太っていましたが、別人のような美人でした。

認知症になった店主の妻は、すぐに徹子に気が付きます。

祐太は、その再会に涙しました。

ですが、人の家では泣けないので外で泣く祐太でした。

徹子は、子ども頃祐太のことが好きでした。

徹子は、祐太が本当の弟に会えたのか気にしていました。

よそのお店まで手伝う祐太を心配しながらも、徹子はデリカの仕事を手伝ってくれます。

亡くなった店主は、徹子を祐太の嫁にしようと考えていました。

それを思い出した祐太は、勢いに任せて徹子にプロポーズします。

一方、祐介は大介より売れていき、コンビ仲が悪くなっていきました。

実は徹子には静花と徹平という子どもが居て、出戻ってきたのでした。

その経緯について説明しようとする徹子に、祐太が泥棒の息子なのに可愛がってくれた上に店を譲ってくれた徹子の父の話をして、徹子の娘と息子のことを真剣に可愛がると約束しました。

しかし、徹子は不安から「入籍すればこの家に堂々といられるから。」

と悪態をついてしまいます。

祐太はそんな徹子を受け入れ結婚し、商店街でパレードが開かれます。

【転】なくもんか のあらすじ③

本音を言わない家族

祐太は結婚を機に戸籍を見ると、弟の名前が祐介で、「金城ブラザーズ」の祐介だと知ります。

祐太は祐介の乗った車を自転車で追いかけ再会しました。

祐介は、祐太が本名を名乗ると生き別れた兄だと気が付くのでした。

祐介は、自分を救ってくれた大介に謝ります。

大介は、本当の兄弟ではない祐介との嘘の幼少期時代の話を本にして出版していました。

その話は、感動の実話として映画化され、大ヒット。

ある日祐太の元に祐介が訪ねてきました。

祐介は、家族に恵まれた祐太と違って、母さんが死んでから一人だったから大介兄さんしかいないといい、祐介は祐太を認められないと。

そして二度と俺たちの前に現れないでくれと言いに来たのでした。

そんな祐介を徹子は怒鳴りつけ、ハムカツを食べていけと強引に引き留めます。

祐太は本気のハムカツを揚げるのでした。

しかし、子どもが学校で臭いとイジメられていたせいで、熟成したソースを捨ててしまったのでした。

けれど、祐介は給食のソースをつけて美味しいとハムカツを食べてくれました。

ある日、祐介が懇意でデリバリーしている高齢者の家に空き巣が入り、祐介が合鍵を持っていたせいで容疑者となってしまいます。

祐介の本当の父親が店の売り上げを盗んだ過去を持ち出され、みんな祐介を信用してくれませんでした。

後日真犯人が現れ、容疑が晴れましたが、祐太の心は晴れません。

しかし、月曜日になると元の祐太のように愛想よく元気になるのでした。

以前から月曜日になると元気になる祐太になにかあると徹子は感じていました。

ある日祐介から電話がかかってきて、オヤジが訪ねてきたから本人か確認して欲しいと頼まれます。

結局父親と祐介を家に招いて一緒にご飯を食べますが、突然祐介が父親に祐太に謝ってくれと怒りました。

祐太は腹の中でどう思っても淡々と飯を食うのが家族だと言います。

けれど、結局父に暴言を吐き、祐太は育ての母に叱られるのでした。

【結】なくもんか のあらすじ④

やっと本音で話すことができた兄弟

結局、父親は祐介と大介が本当の兄弟ではないとマスコミにバラしました。

大介に父親と祐太のことをバカにされ、祐介は父親のことはいいけれど兄をバカにされたことについて反論します。

本当は笑っていない祐太を笑わせたいと祐介は大介に言うと、見捨てないでくれと大介は祐太にすがります。

大介は、祐介に対してコンプレックスでいっぱいだったのです。

月曜日に祐太が晴れ晴れしていた理由は、日曜に女装をしてバーのママ・ゆうこをしていたからでした。

それを娘・静花が目撃してしまいます。

祐太は静花に内緒にして欲しい、なんでもいう事を聞くと頼むと、静花は沖縄旅行に連れて行ってと頼みました。

沖縄旅行中、祐介から電話が入り、大介が失踪したと連絡してきます。

一人でイベントに出演するのが不安な祐介は、祐太に来て欲しいと頼みます。

結局、祐介も沖縄にいたのでした。

イベントの最高責任者である環境大臣は、徹子の不倫相手で静花と徹平の父親でした。

本当の父親とはずっと一緒に居られないと分かった静花と徹平を徹子は抱きしめます。

その後、徹平と静花は祐太を「お父さん」と呼んでくれました。

沖縄のイベントで復帰を果たした祐介ですが、全くウケません。

そんな時に、祐介がイベントのイメージキャラクターの着ぐるみを着て登場してくれました。

祐介は、バーのママゆうこのキャラで「金城シスターズ」として会場を爆笑させました。

ステージ上で本音を話す祐介に祐太は、笑顔のままでした。

なんでそんなに笑っていられるのかと聞く祐介に祐太は、「決まってんだろ。

好きでやってる。」

と言いました。

その後、相変わらず山ちゃんのハムカツは人気です。

なくもんか を観た感想

なくもんかという割に結構泣いている祐太が可愛らしいと思います。

このような心に闇を抱えている人に限って笑顔でいるということはよくあることで、しかしそれでも笑顔でいるのは信念なのだと気付かせてくれました。

阿部サダヲさんは、コミカルもシリアスもできる俳優さんで、本当に家庭環境が悪かった弟に比べて、育ての親に恵まれた兄の意地と遠慮と複雑な感情を表すのが上手でした。

だから、徹子の子どもが抱く複雑な感情に対して寛大なのだと分かります。

本当は、徹子も子ども達も大臣に側にいて欲しいと思っていることがリアルで、祐太が言った腹の中でどう思っていても淡々と飯を食うのが家族というセリフにこの映画の全てが詰まっていると思います。

コメント