監督:ロジャー・ドナルドソン 2007年2月にソニー・ピクチャーズエンタテインメントから配給
世界最速のインディアンの主要登場人物
バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)
主人公。ニュージーランド最南端の町・インバカーギル在住。心臓に持病があるがリスクを恐れずにバイカーを続ける。
フラン(アニー・ホイットル)
バートの女友達。郵便局の社会保障課に勤務。歳を取っても自分の恋愛観を大切にする。
トム(アーロン・ジェームズ・マーフィ)
バートの隣人。常識的な両親に反して想像力と好奇心が旺盛。
ティナ・ワシントン(クリス・ウィリアムズ)
モーテル経営者。おネエ言葉とフェミニンなファッションがこだわり。
ジム・モファット(クリストファー・ケネディー・ローフォード)
カリフォルニアのバイクレーサー。地球の裏側から来たバートと意気投合する。
世界最速のインディアン の簡単なあらすじ
バート・マンローはオートバイでスピードの世界一に挑むために、ニュージーランドからアメリカへと渡ります。
道中では好意的な歓迎を受け忘れられないドラマもあり、たどり着いた場所は大規模なレースが開催されているボンヌヴィルです。
予期せぬトラブルに見舞われながらも多くの人たちのサポートを受けて、バートは見事に新記録を打ち立てるのでした。
世界最速のインディアン の起承転結
【起】世界最速のインディアン のあらすじ①
ニュージーランドのサウスランド地方、朝早くからバート・マンローは1920年型 V・ツイン・インディアンを改造していました。
近隣住民からは変人とされているバートでしたが、隣に住んでいる少年・トムだけは興味津々でお手伝いをしてくれます。
近場でテストランを繰り返していましたがパトロールの警官がうるさく、思いっきり走らすためにはアメリカのユタ州・ボンヌヴィルが最適です。
郵便局員のフランとは日頃から仲良くしていて、サウスランド単車クラブで開かれるパーティーに誘ってみました。
バートの誕生日をお祝いするためでもあり、参加者から渡航費用の寄付をお願いする狙いもあります。
積み立ててきた年金とカンパを合わせても1200ドルほどで、あと700ドルほど必要です。
船の出港は5日後に迫っていて、残る手段は自宅を抵当に入れてニュージーランド銀行から融資を受けるしかありません。
パーティーが終わった後でフランと一夜をともにしたバートは、次の日の朝になると容体が急変しました。
医師の診断によると狭心症の発作だそうで、医師からニトログリセリンをもらったバートはトムやフランに見送られながら愛車と一緒に出発します。
【承】世界最速のインディアン のあらすじ②
格安の船賃でロサンゼルスまで運んでもらう代わりに、バートはランガティーラ号の船内で調理場で料理をしたり皿洗いをしたりしなければなりません。
アメリカに入国して税関で6カ月間の滞在許可を取得すると、空港からタクシーでサンセット大通りに向い、格安のモーテルを営むティナ・ワシントンのところに泊まりました。
翌朝にはティナの案内で地元の中古のカーショップに向かい、店主のフェルナンドに頼み込んで作業工場を使わせてもらいます。
廃車をトレーラーに改造して預けていたインディアン号をロングビーチの船会社で引き取ると、いよいよユタ州へと出発です。
州境のハイウェイではタイヤが車輪から外れて転倒してしまいましたが、通りすがりのネイティブアメリカン・ジェイクが手を貸してくれました。
ジェイクの仲間たちが寝泊まりをしているキャンピングカーの集落に招待されたバートは、なぜその年でバイクに乗るのかと質問攻めにあいます。
乗ることに意味があると答えたバートが別れ際にプレゼントをされたのは、幸せを呼ぶと言い伝えのあるブルーのペンダントです。
【転】世界最速のインディアン のあらすじ③
人類で初めて時速483キロを突破したマルコム・キャンベルから、時速643キロを達成したジョン・コッブまで。
ボンヌヴィル塩平原のスピードウェイは固く乾いていて真っ平らな好条件のために、多くの陸上記録が作られた神聖な土地です。
すでに各地から続々と参加者が集まってウォームアップを始めていて、バートも手続きのために受付へと向かいました。
1カ月前にエントリーは締め切られているようで、書類を提出していないバートは登録番号がもらえないために走れません。
旅の途中で知り合ったジム・モファットに頼み込んで、車両の点検だけでも先に済ませてもらいます。
タイヤの表面は滑り止めがナイフで削り取られてツルツル、サスペンションは30年前の板バネ式、脱出用のパラシュートも消火器も無装備… あまりにも旧式タイプのインディアン号は、安全面に問題があるとしてなかなか審査に合格しません。
ホテルに待機中のバートも幾度となく胸の痛みに悩まされていましたが、国から持ってきた薬を飲んで何とか耐えています。
【結】世界最速のインディアン のあらすじ④
万が一の事故が生じても主催者側は一切の責任を負わないという一筆を条件にして、バートは特別にテスト・ランを受けることになりました。
役員の見立てでは時速100キロ前後が限界かと思われていましたが、スピードメーターは軽く150キロを振り切っていて自動車でも追い付けません。
ようやく大会への出場が認められたバートでしたが、170キロに達した時に車体がひどく揺れていたことだけが気がかりです。
スクラップ置き場に打ち捨てられていたバッテリー、付近の塗装屋から譲ってもらったブローランプ、ホテルの客室にあった古い電気毛布。
あり合わせのパーツでチューンアップを済ませたインディアン号は、万全のコンディションでレース本場に臨みます。
1マイル地点を通過した時には時速255キロ、6マイル地点で311キロ… インディアンが世界記録の324キロをたたき出したのは、スタートから8マイルの距離を駆け抜けた時です。
大勢の観客たちの歓声を聞いたバートは塩で凍りついた湖の上に寝っ転がりながら、空を見上げて笑顔を浮かべます。
この時のバートの記録は1000cc以下で流線形マシン部門としては、それから50年以上たった今でも破られてはいません。
世界最速のインディアン を観た感想
「羊たちの沈黙」など怪演が持ち味のアンソニー・ホプキンスが、いつも笑顔のバート・マンローに成りきっています。
事故死するのが怖くないのかと訪ねられたバートが、「一生よりも価値のある5分」と答えるシーンが印象的です。
やりたいことを我慢して長生きするよりも、限られた時間を精一杯生きることの方が素晴らしいのかもしれません。
「早起きは三文の徳」をモットーにした健康的な生活も、自慢のマシンの手入れを怠ることのないプロ意識は見習いたいですね。
どこよりもスピードを出せるという聖地・ボンヌヴィルで、バートが夢を実現させるクライマックスが感動的でした。
コメント
フランは何で最後に出てこなかったんだろう?