「アルジャーノンに花束を」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ダニエル・キイス

「アルジャーノンに花束を」

著者:ダニエル・キイス 1959年に早川書房から出版

アルジャーノンに花束をの主要登場人物

チャーリイ・ゴードン
32歳で知能は6歳児並みの知的障害者の主人公

アルジャーノン
主人公と同じ脳手術を受けた天才的な知能のハツカネズミ

アリス・キニアン
チャーリイが通う精神障害専門の女性教師

ハロルド・ニーマー教授
プライドが高い研究主任で心理学者

ジェイ・ストラウス博士
チャーリイに手術を施した脳神経外科医

アーサー・ドナー
チャーリイが勤めるパン屋の主人

アルジャーノンに花束を の簡単なあらすじ

主人公の青年チャーリイは知的障害から、ハツカネズミのアルジャーノンと同じ手術を受けます。

その後の経過をチャーリイの視点でアルジャーノンと比較しながら、精神科医や先生たちに日常を交えた報告をしていく姿が綴られています。

チャーリイの空想や希望をアルジャーノンと対比しながら、自分の中に起こる変化を向き合うのでした。

アルジャーノンに花束を の起承転結

【起】アルジャーノンに花束を のあらすじ①

 

周りの友達と同じようになりたいと願うチャーリイ

優しい心の持ち主であるチャーリーは、笑顔を絶やさず、他人を疑わず、親切にする青年です。

叔父の知り合いのパン屋で働きながら、母親ローズから煙たがられていても、いつかは友達と同じようになりたいと思いを抱いています。

そんなある日、アリス先生から開発されたばかりの新しい脳手術を受けるように勧められます。

この実験的な手術では、チャーリイの前に同じ手術を受けたネズミのアルジャーノンが術後に難関なテストに合格していました。

その進化を目の当たりにしたチャーリイは自分も同じように、素晴らしい記憶力と思考力を手にするべく、不安だった手術を受ける決意をします。

その結果、数々のテストを受け、人間で初めて実証される臨床試験の第一号に選ばれます。

専門医や精神科医、外科医が見守る中、無事手術は成功し、チャーリイは日に日に知的能力を伸ばしていきます。

その後、数ヶ月で知能指数が天才並みに上がったチャーリイは、今まで感じていた周囲の人間に対する真実に気づき始めます。

【承】アルジャーノンに花束を のあらすじ②

 

手術前と手術後

手術が成功したチャーリイは、勉強する内に高い知能を得るようになるが、それに反して母親に見捨てられていたこと、仕事仲間からいじめられていたことなどの現実を理解するようになっていきます。

手術前と違った周囲の人たちの心理がわかりはじめ、幼い感情と天才的に成長した知能とのバランスが崩れていきます。

そして、自分の性格にも変化が現れ、当たり前の知識や常識から周囲を巻き込み、以前とは異なる態度で接していくうちに、次第にチャーリイの周りには誰もいなくなってしまいます。

急成長する知力とそれに追いつかない性格の発達や感情、忘れていた過去の記憶はチャーリイはその状況に苦悩し始めます。

孤独になったチャーリイは、自分よりも早く手術を受けたアルジャーノンを世話をする中、異変に気付きます。

ニーマー教授やストラウス博士は、アルジャーノンの検査を開始、手術は一時的に知能を発達させることに成功したものの、やがて以前にもまして知能が低下してしまうという事実を突き止めます。

【転】アルジャーノンに花束を のあらすじ③

 

戻りゆくアルジャーノン

実験的な手術に携わった教授や博士、医師らはその状況を止めようとあらゆる手段を試みます。

しかし、時同じく、チャーリイにも同じ症状が出始め、発達した知能は元の知的指数に後退してしまうという症状が出始めます。

学習したことを理解していたチャーリイは周囲の大人たちの問いかけに理解できない様子になるも、アルジャーノンが研究施設を飛び出し、手術の副作用で狂暴化し、正気を失って息絶える光景を目の当たりします。

怒りや不安から混乱したチャーリイは同じ手術を受けていたことで、自分が知的障害者である事実と、自分も同じようになると察し自ら障害者収容施設に行きます。

施設では、今までの術後の経過日誌に記録していた事柄を読み返しながら、自分に起こったことを思い出さそうとします。

しかし、知能が元に戻ってしまったチャーリイはこれまでのことを漠然としか覚えておらず、平穏さを取り戻していきます。

【結】アルジャーノンに花束を のあらすじ④

 

同志アルジャーノンを失ったチャーリイ

周囲の人間と同じように生活をし、頭が良くなりたいと切実に願っていた青年チャーリイは、最新の手術を受け、念願の知能を手に入れます。

学びながら知的好奇心を満たしていく喜びと、難しい難題を解く楽しみから人生を取り戻そうとしていこうとするよう様子が、経過報告日誌に綴られています。

しかし、現実は手術の副作用により、チャーリイの地力は一時的に伸びた知的指数から元の知的障害のレベルにまで下がってしまい、今までの感情や感覚のバランスから、複雑な心境に追い込まれていきます。

そして、アルジャーノンの死をきっかけに、自分にも起こる事態に備え、精神障害者施設に戻っていきます。

その後、アルジャーノンを失った悲しみと孤独を背負い、内庭に埋葬したアルジャーノンのお墓に花を添えてくださいと大学教授に向けてた言葉を日誌に綴るのでした。

アルジャーノンに花束を を読んだ読書感想

これから自分に起こる変化を期待して、大手術に臨んだチャーリイは術後、期待通りに高い知能を得ることに成功します。

しかし、それと引き換えに今まで身近に接してきた人たちの本当の姿や気持ちを理解するようになり、苦悩に苛まれていきます。

知らなくてもよかったことを知り始めたチャーリイが純粋な感情のまま傷つき、孤独になってしまう辺りはかわいそうでたまりません。

そして、唯一の同志でもあるアルジャーノンの発狂した状況に恐れを感じながらも、死を目の当たりにしたところで、自分も元に戻っていくのだと悟ります。

最後に題名ともなっているアルジャーノンに花束をという意味が理解できる物語です。

コメント

  1. sぽks@q より:

    じゃーのん