監督:黒沢清 2017年9月に松竹 日活から配給
散歩する侵略者の主要登場人物
加瀬鳴海(長澤まさみ)
イラストレーター。人格が変わった真治のことを愛しく想う。
加瀬真治(松田龍平)
元々は鳴海の夫で宇宙人。
天野(高杉真宙)
宇宙人。
立花あきら(恒松祐里)
高校生から体を奪った宇宙人。
桜井(長谷川博己)
ジャーナリスト。
散歩する侵略者 の簡単なあらすじ
夫婦生活が破綻しかけていた加瀬真治、鳴海夫妻。
しかしある時、夫・真治が行方不明になり戻ってくると別人格になっていたのでした。
真治がおかしな行動をするので鳴海は目が離せません。
しかし、真治は鳴海の理想の夫になろうとしてくれました。
その方法は、人から概念を抜き取るのです。
概念を抜き取られた人類は記憶障害の様になり病院はごった返していきます。
散歩する侵略者は、シュールなSFラブストーリーです。
散歩する侵略者 の起承転結
【起】散歩する侵略者 のあらすじ①
加瀬鳴海は、夫・真治と上手くいっていませんでした。
ある日、真治が行方不明になり別人格となり発見されました。
記憶障害だと診断された真治は、一人にしておけないほど、様子がおかしく鳴海は振り回されますが以前より素直な真治の態度により二人の関係性は良くなっていきます。
真治は、鳴海にガイドになって欲しいと頼み、よくわからないまま鳴海は承諾しました。
鳴海の妹が遊びに来ました。
鳴海が少し目を離した隙に妹の様子がおかしくなります。
真治が妹の眉間を突いた後、妹は脱力し鳴海を拒否したのでした。
鳴海は、真治が妹に何かしたと考えるのでした。
だんだん真治のおかしな行動が減って行きますが、それは真治が人から概念を奪って自分のものにしていたからでした。
鳴海の妹は、真治から家族という概念を奪われたのでした。
概念を奪うことは悪いことばかりではなく、引きこもりの男から所有という概念を奪うとその男性は自由になり、真治にお礼を言うのでした。
【承】散歩する侵略者 のあらすじ②
鳴海は、ガイドとは何か真治に問いただすと「信頼できるパートナー」と真治は答えました。
一方、「週刊ワールド」の記者・桜井は、殺人現場にいる所、不躾な青年・天野に話しかけられます。
天野は、桜井にあきらを探すのを手伝ってもらうことさらに、ガイドになって欲しいとお願いしました。
生意気ながら素直な所がある天野は、自分は宇宙人で侵略をしにやって来たと言うのです。
ジャーナリストの桜井は半信半疑ながら興味がわきます。
天野は、人からむやみやたら概念を奪っていました。
しかし、ガイドから概念は奪わないといいます。
二人は入院していたあきらを連れ逃走します。
あきらは、桜井が調べていた事件の被害者の体を奪った宇宙人でした。
真治は、鳴海に自分は宇宙人だと告白します。
まだ、完全な真治に戻ってないというのです。
鳴海のいう理想の真治を構築中でした。
真治は、愛の概念を奪いたいのですが愛とは解釈が様々で概念を奪うことが出来ないのでした。
【転】散歩する侵略者 のあらすじ③
宇宙人から概念を奪われた人は記憶障害のような状態になり、それは新種のウイルスによるものだと思われていました。
真治が以前検査した病院からもウイルスを指摘され鳴海は真治を連れ病院に行きますが、概念を奪われた人たちでごった返していました。
軍まで出動する様子を見て、鳴海は真治が宇宙人だと信じて病院から逃げ出します。
宇宙人の元々の目的は人から概念を奪い調査するのが目的でしたが、真治、天野、あきらはテレパシーで会話し、地球を侵略することが決まってしまいます。
鳴海は、真治を連れて街を出ることを決めました。
鳴海と真治は道中、ショッピングモールによります。
すると天野らも追ってきました。
逃げる鳴海と真治の前にあきらが飛び出してはねられてしまいます。
鳴海は動揺してしまいますが、真治は「アレは人間じゃない」と言うのでした。
亡くなる前に他の人の体を奪えば良いのですが、あきらはそれをせず亡くなります。
桜井は、侵略の件を通行人に訴えますが誰からも信じてもらえません。
【結】散歩する侵略者 のあらすじ④
一方、逃亡中の鳴海と真治は侵略の時間が迫り鳴海は真治に自分を殺して欲しいと頼みますが、ガイドは殺せないと言われます。
だったら愛の概念を奪って欲しいとお願いします。
愛の概念を知った真治は感動を覚えるのでした。
しかし、愛の概念を奪われた鳴海は抜け殻のようになってしまいます。
桜井と天野は、政府と争い銃での闘いとなります。
天野は政府を全員打ち殺しますが、天野も重傷を負います。
桜井は、自分の体を天野に差しだすのでした。
天野に体を奪われた桜井が地球を侵略するのでした。
しかし、桜井も爆撃され死亡します。
鳴海と真治は、宇宙人による侵略から生き残ることが出来ました。
侵略から2ヶ月が経ち、地球は少し姿を変えました。
生き残った人類は、宇宙人から概念を奪われ後遺症に悩まされていました。
真治は、後遺症に悩まされている人を収容する診療所でボランティアをしています。
鳴海は、愛の概念を奪われたあと抜け殻のままでした。
鳴海だけ、他の患者より後遺症が重く真治がそばで支えつづけてくれるのでした。
散歩する侵略者 を観た感想
この映画はコメディなのかシリアスなのか、わかりません。
しかし、真治の飄々とした様はかなり笑えます。
ちょっとベタですが、見終わった後に自分の周りの変わり者達ももしかして宇宙人?とチラっとよぎってしまうほどです。
概念を抜かれた人達が増え、それを新種のウィルスと騒ぎしかも概念を抜かれた人は後遺症が残るというオチは、まるで現在流行中のウィルスのようで若干怖さも感じます。
しかし、愛だけは人によって概念が違うところや、鳴海が愛の概念を与えるところは感慨深いものを感じました。
単純にいえば、愛を与えることによって愛を得たという話ですが、鳴海は宇宙人に乗っ取られた夫から愛を得るというラストは、オリジナルの真治がちょっと情けなく感じました。
シュールすぎてどう感じていいのか戸惑う映画ですが、とても惹き込まれる内容です。
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