【ネタバレ有り】さよならくちびる のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:塩田明彦 2019年4月に徳間文庫から出版
さよならくちびるの主要登場人物
ハル(はる)
シンガーソングユニット・ハルレオの作詞を担当している。自分の性について悩んでいる。
レオ(れお)
ハルレオのギターボーカル担当。志摩のことが好き。
志摩(しま)
ハルレオの荷物係兼マネージャー的存在。ハルのことが好き。
さよならくちびる の簡単なあらすじ
アルバイト先で出会ったハルとレオ。ハルはレオに何か魅力を感じ、とっさに二人で音楽をやらないか、と持ち掛けます。その日はレオの誕生日でした。音楽なんてやったことのないレオでしたが、レオはハルとバンドを組み、音楽の世界へ踏み出していくのでした。
さよならくちびる の起承転結
【起】さよならくちびる のあらすじ①
ハルとレオは退屈なアルバイト先で知り合いました。
若い女性が少なかったこと、お互いに喫煙者だったことから、二人はなんとなく波長が合うようになります。
ある日、ハルはレオと二人でバンドを組まないか、と提案します。
レオは音楽は未経験でしたが、ハルの提案に魅力を感じてバンドを始めることにします。
実は、ハルはレオに一目ぼれしていたのです。
ハルは昔から、恋愛対象は女性でした。
初恋は幼馴染の女の子だったのですが、その気持ちを隠さずにいたところ、彼女には拒絶されてしまう、というつらい過去がありました。
その彼女は、今はアメリカに渡り、アメリカ人と結婚し、子供にも恵まれ幸せな生活を送っているのです。
そのことをハガキで知ったハルは、自分の性について長い間悩み続けていたのです。
一度自分の恋心を傷つけられたハルは、レオに自分の性的趣向のことを言い出せませんでした。
その代わりに、一緒にバンドを組んで、常に一緒にいれる道を選んだのでした。
【承】さよならくちびる のあらすじ②
ハルとレオのユニット・ハルレオは順調に活動を続け、デビューまではいきませんが、人気が出てきました。
そんな時、ローディーを募集したところ、志摩という男性が応募してきました。
彼はローディーという役割だけではなく、マネージャー業もやりたそうな面持ちでしたが、取り合えず荷物持ちに採用されます。
実は、志摩はハルのことが好きだったのです。
そんなことには気付かず、レオは志摩のことを好きになってしまいます。
三人のいびつな三角関係が始まりました。
しかし、すぐにレオは自分の思いは志摩に伝わらないこと、志摩はハルのことが好きなんだということに気が付きます。
同時に、メディアにはハルの作曲の才能ばかりが取り上げられることに悩むようになります。
一時は、自分もハルと同じレベルになれるように必死に歌の練習をしますが、いつのまにか、どうして自分が音楽をやらなくてはいけないのかと自暴自棄になっていきます。
ハルとの関係性も悪化していきました。
【転】さよならくちびる のあらすじ③
ハルとレオの関係性は最悪になりました。
ハルは志摩とレオが付き合ってしまえば、レオの気持ちは落ち着いて、バンドも今まで通りに活動できると考えていましたが、志摩がハルのことをずっと諦めなかったせいで、三角関係はずっと続きました。
バンドの演奏もどんどんひどいものになっていき、二人は解散という結論に達しました。
志摩は引き止めましたが、ハルとレオの心は変わりません。
ハルはずっとレオのことが好きなままでしたが、どうしても自分の気持ちが言い出せず、自分の気持ちとは相反してひどい言葉ばかりレオに投げつけてしまうのでした。
そして、ラストツアーが始まりました。
ハルの意向で、ファンにはこれがラストツアーだとは告げずにライブが始まりました。
最初のほうは、まだハルとレオはギスギスしていて良いステージにはなりませんでしたが、ツアーが進むにつれて、徐々に良い演奏ができるようになりました。
そしていよいよ、最後のライブハウスに向かうときがきました。
【結】さよならくちびる のあらすじ④
ハルレオのラストライブが始まりました。
ファンには解散のことを伝えていませんでしたが、どこからからか情報が洩れ、ファンたちがたくさん最後のハルレオを見にやってきました。
これで最後、とハルとレオは気持ちを込めて演奏をします。
ライブが終わり、ハルとレオと志摩の別れの時がやってきました。
志摩の車からハルとレオは降りますが、別れる前に、ハルはレオに誕生日のプレゼントを手渡します。
ライストライブの日は、レオの誕生日だったのです。
二人はバンドを結成してから、二人の誕生日を大切にしてきました。
そのとき、二人とも強く「離れたくない」」と感じました。
そのまま二人は志摩の車に戻ります。
志摩はとても驚きましたが、今まで以上に結束したハルとレオの姿を見て喜びます。
その後、志摩は正式にバンドメンバーとして迎え入れられ、三人でユニット活動をすることになりました。
三人の恋は実りませんでしたが、三人で一緒の未来を見つめ、音楽の世界に飛び込むことを決意したのでした。
さよならくちびる を読んだ読書感想
「エモい」小説だと思いました。
それもそのはず、小説内で登場する歌詞は秦基博さんとあいみょんさんが書き下ろしたものであるそうです。
音楽を経験したことがある人なら、この音楽のドキドキは共感できると思います。
バンドという閉鎖された空間の中で、人間関係を構築することは大変ですが、ハルとレオと志摩は最強の友情を手に入れたのだと思います。
一つのバンドが解散して再結成するだけの話ではありますが、たくさん考えさせられることがありました。
愛とは男女の恋愛だけじゃなく、ハルとレオと志摩という三人でも完結するものなんだと思います。
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