【ネタバレ有り】三毛猫ホームズの幽霊クラブ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:赤川次郎 1990年1月に光文社から出版
三毛猫ホームズの幽霊クラブの主要登場人物
片山義太郎(かたやまよしたろう)
主人公。 捜査一課の刑事。
片山晴美(かたやまはるみ)
義太郎の妹。
石津(いしづ)
晴美の恋人。 目黒署所属の刑事。
山辺美知子(やまべみちこ)
日本人観光客。
貞子・グリーム(さだこ・ぐりーむ)
小城ホテルの支配人。 ドイツ人の夫を持つ日本人。
三毛猫ホームズの幽霊クラブ の簡単なあらすじ
片山義太郎と妹の晴美、晴美のボーイフレンド・石津。いつもの3人と三毛猫のホームズの一向が海外旅行で泊まっているのは、ドイツにある古城ホテルです。ホテルでは日本人の女性が暴行を受ける事件が発生して、容疑者として片山の名前が挙げられてしまいます。身の潔白を証明するために奔走する片山たちは、「幽霊クラブ」という名の怪しげな団体にまつわる事件に巻き込まれていくのでした。
三毛猫ホームズの幽霊クラブ の起承転結
【起】三毛猫ホームズの幽霊クラブ のあらすじ①
片山義太郎は妹の晴美に、晴美の彼氏・石津と三毛猫のホームズを連れてドイツまで旅行にやって来ました。
宿泊先は築何100年の歴史的な洋館をリノベーションした、古城ホテルです。
晴美と石津が噴水が設置されているホテルの庭園を散歩していると、ロングドレスを着た若い日本人の女性が倒れているのを発見します。
彼女の名前は山辺美知子で、何者かに暴行を受けた後のようです。
ホテルの支配人である貞子・グリームの手当てを受けて意識を取り戻した美知子から、片山は暴行犯として名指しされてしまいました。
身に覚えのない容疑に戸惑いながらも、片山は美知子に付きっきりで彼女のボディーガードを務めることにします。
次の日には7歳の女の子・梅原栄子が噴水の中に投げ込まれる事件が発生しますが、いち早く駆け付けたホームズと石塚によって救出されて命に別条はないようです。
栄子は美知子が襲われた時に不審な人物を見かけたようですが、水に落ちたショックで顔を思い出すことができません。
【承】三毛猫ホームズの幽霊クラブ のあらすじ②
例の1件以来美知子は片山の側を離れることなく、挙句の果てには「あなたの妻にしていただきます」と言い出すしまつです。
貞子からは疑いが晴れるまで外出を止められていましたが、近くに日本人が経営する美味しいレストランを知っているという美知子に誘われて片山たちはこっそりとホテルの外で食事をすることにしました。
食事用のテーブルと椅子が並べられているフロアの地下にはダンスホールまで用意されているために、一同は料理を堪能した後に音楽と踊りを楽しみます。
突如として音響と明かりが消えて一向に復旧しない中で、「火事だ!」という誰かの叫び声が上がったために混みあったホール内は瞬く間にパニックです。
片山と石津は警察官らしくその場の混乱を鎮めつつ、ペンシル型のライトを振り回しながらお客さんと従業員を誘導しました。
思わぬハプニングによって無断外出が貞子にばれてしまいましたが、片山たちの活躍が大使館にまで伝わったためにお咎めはありません。
【転】三毛猫ホームズの幽霊クラブ のあらすじ③
レストランで客の命を救った片山たちは、 ドイツの日本大使館に駐在する平田から感謝状を受けとることになりました。
ホテルまで秘書の松永と一緒にやってきた平田でしたが、その顔には見覚えがあります。
以前に片山が上司に命じられて捜査していた「幽霊クラブ」の会員で、その場で名乗っていたのは本名の平田ではなく「山辺」という偽名です。
幽霊クラブは社会的立場のある人たちの秘密の集まりで、メンバーになるには赤の他人から名前と経歴を借りなければなりません。
平田は火事に巻き込まれて死亡した山辺という人間の過去を、 大金を出して買いとりました。
平田を追いかけて幽霊クラブのドイツ支部であるこのホテルまでやって来たのが、山辺の娘・美知子になります。
美知子の母親は彼女を産んだ直後に出奔しているため、ただひとりの肉親の死の真相を知るためでした。
平田を問い詰めるはずが松永から返り討ちに遭ってしまった美知子は、身を守るためにやむ無く片山に襲われたと偽証した次第です。
【結】三毛猫ホームズの幽霊クラブ のあらすじ④
晴美とホームズがすっかり元気になった栄子のためにかくれんぼをして遊んであげていると、洋服ダンスの裏に隠されていた抜け道を発見しました。
幽霊クラブのメンバーたちは、この秘密の通路を使って密会を楽しんでいたのでしょう。
通路を抜けた先は庭園で、美知子の口を封じるために拳銃片手に彼女を探していた松永が待ち構えています。
ホームズに顔面を引っ掻かれてた松永は逃走しますが、彼の落とした拳銃を拾ったのは貞子です。
松永に襲われた美知子を介抱した時に、 貞子は身体的な特徴から彼女が自分の娘であることに気がついていました。
娘の仇を取るために引き金を引いて松永を射殺した貞子は静かに片山に自首しますが、最後まで自分が母親であるということを美知子に打ち明けることはありません。
一連の騒ぎによって平田は、近いうちに責任を追及されて大使を更迭されるようです。
栄子の子守から解放されたホームズは、楽しげに「ニャーオ」と鳴くのでした。
三毛猫ホームズの幽霊クラブ を読んだ読書感想
ストーリーの舞台に設定されている、ドイツの山奥にひっそりと佇んでいる古城ホテルがミステリアスな雰囲気を醸し出していました。
秘密の抜け道まで用意されていて、ロールプレイングゲームのようなワクワク感もあります。
一見するとオカルトめいた「幽霊クラブ」を隠れ蓑にして、他の誰かの人生を歩もうとする人たちの企みが印象深かったです。
幽霊よりも質の悪いのは、実社会に生きる人間たちの欲望なのかもしれません。
相も変わらず冴えない探偵ぶりを披露する主人公・片山義太郎と、誰よりも先に真実に辿り着くホームズの姿が微笑ましかったです。
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