著者:三浦しをん 2012年生11月に徳間書店から出版
神去なあなあ夜話の主要登場人物
平野勇気(ひらのゆうき)
20歳。中村林業で働いている。直紀さんのことが好き。ヨキの家で居候している。
飯田与喜(いいだよき)
愛称・ヨキ 。林業をする勇気の先輩。
中村清一(なかむらせいいち)
神去村の山林地主。中村林業工業の社長
直紀(なおき)
小学校の先生。清一の義妹。清一のことが好き
山太(さんた)
清一の子供。小学1年生。
神去なあなあ夜話 の簡単なあらすじ
高校を卒業してから、三重県で林業の仕事をするようになった平野勇気が、神去村の人たちの生活や言い伝えなどを密かにパソコンに書き込んでいる物語です。
三浦しをんさんが書いた人気作「神去なあなあ日常」の続編となっています。
神去なあなあ夜話 の起承転結
【起】神去なあなあ夜話 のあらすじ①
中村林業工業に就職した勇気は、20歳になり、すっかり神去村の生活にも慣れてきました。
見習いから正社員にもなったので一人暮らしも考えましたが、まだ車を持っていないため、ヨキの家で未だに居候の身です。
また、村に住む直紀さんに片想いをしているものの、一向に進展はありませんでした。
むしろ、直紀さんが同僚の車に乗せてもらって帰宅したのを目撃してまい、嫉妬で喧嘩してしまうほどです。
喧嘩した次の日、勇気はヨキの嫁であるミキさんに、2人の馴れ初めについて聞きます。
それを聞くうちに勇気も元気が出てきて、今度は直紀さんをドライブに誘ってみようと意気込むのでした。
そんな日常が続いたある日、勇気はふとしたことに気づきます。
この神去村には、ヨキの親世代の人達がめったにいないのです。
ヨキの両親も亡くなっていたし、親方である清一さんの両親も亡くなっていました。
しかも、みんな同じ日に亡くなっているのです。
これには、何かあると思った勇気は、勇気を出して山根のおっちゃんに事情を聞いてみることにしたのでした。
【承】神去なあなあ夜話 のあらすじ②
山根のおっちゃんの話によると、神去村には大峰講という購があったそうです。
購とは、村のみんなでお金を出し合い、祠の修繕費や旅行費を積み立てていくというものでした。
そして、この大峰購は、村人たちがみんなで大峰山に参拝するために集められたお金でした。
20年前のその日、村人たちはマイクロバスを借りて大峰山までお参りします。
しかし、帰りがけに事故に遭ってしまったのです。
そして、マイクロバスに乗っていた17人全員が、そこで亡くなってしまったのでした。
その話を聞いた勇気は、あまりの事実に言葉もなく立ち尽くしてしまいます。
神様の言い伝えや御加護を誰よりも大切に思っている村人たちなのに、いきなり死を迎えてしまったことに虚しく感じてしまったのです。
後日、勇気はヨキと共に鉄塔までの道を確認をすることになりました。
鉄塔までは片道2時間弱まであるので、かなり大変です。
しかし、ヨキのお供に自分が選ばれたことが、自分の体力を認められたようで勇気は嬉しくもありました。
【転】神去なあなあ夜話 のあらすじ③
ヨキからの熊が出るという脅しにも負けず、なんとか2人は鉄塔にたどり着きました。
しかし、帰り道に勇気は足を挫いてしまいます。
これでは思うように歩けず、日も暗くなってきたため、ヨキと勇気は野宿をすることになりました。
そこで勇気は、思い切ってヨキの両親のことについて聞いてみます。
そこでヨキは、当時まだ小学生だったにも関わらず、親の死に目を確認する立場となってしまったことを語りだしました。
そして、深い山で仕事をしていると、なんだか死んだ人に近づけたような気もすると話したのです。
その話を聞いてから、熊にあんなに怯えていた勇気も、怖さが和らぐようになっていました。
ヨキとこんなに深い話が出来たのも初めてで、ヨキのことを余計に尊敬出来るようにもなっていました。
そうして翌朝、まだ日の出前だというのに、ヨキは勇気を背負って村まで帰ってきます。
途中、清一さんも迎えにきてくれましたが、勇気は熱も出ていて、帰宅後もぐっすり眠りこけてしまいました。
【結】神去なあなあ夜話 のあらすじ④
クリスマスが近付き、勇気は直紀さんにクリスマスデートを申し込もうと決意していました。
しかし、清一さんの息子である山太がクリスマスのサンタクロースの存在を知らなかったことに気づきます。
そこで、清一さんの家でクリスマスパーティーを開くことに予定を変更しました。
もちろんパーティーには直紀さんも招待するつもりです。
もみの木はないので、巨大な松の木を飾って、クリスマスツリーに見立てます。
喜ぶ山太を前に、勇気は山太にクリスマスプレゼントを渡しました。
また、ヨキ夫婦やヨキのおばあちゃんにもプレゼントを渡します。
しかし、肝心の直紀さんは仕事が遅く、まだパーティーにやってきません。
やっと来たと思ったら、また白い車に乗せられて直紀さんがやってきたのです。
このことに、勇気は嫉妬してしまい、直紀さんに八つ当たりしてしまいます。
翌日、自分の勘違いを反省した勇気は、直紀さんと仲直りしプレゼントを渡しました。
そして、ようやく2人は付き合うことになったのでした。
神去なあなあ夜話 を読んだ読書感想
主人公である勇気の語り口調が、読んでいてとっても面白いです。
神去村の人達の優しさも随所に伝わってきて、なんだかホッと心温まるような作品でした。
神様が去った村と言われている言い伝えも出てきて非常に興味深く、本当にこんな村があったら行ってみたいなという気持ちにさせてくれます。
フィクションの話ではあるけれど、馴染みのない林業の話が身近に感じられ、とても勉強にもなりました。
今作では、前作と違って登場人物たちの過去も分かってきたので、さらに面白く、それぞれの魅力も伝わってきました。
また、続編が出たらぜひ読んでみたいと思う作品です。
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