【ネタバレ有り】パーマネント神喜劇 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:万城目学 2017年6月に新潮社から出版
パーマネント神喜劇の主要登場人物
篠崎肇(しのざきはじめ)
29歳の会社員。同期入社の坂本みさきと交際中。
宇喜多英二(うきたえいじ)
23歳の頃から当たり屋を続ける。
斉藤俊(さいとうしゅん)
バイト生活の傍らで小説を執筆する。女優を目指す恋人の瞬がいる。
榊美琴(さかきみこと)
小学生。祖母が若い頃巫女をしていた。
パーマネント神喜劇 の簡単なあらすじ
優柔不断なサラリーマンに当たり屋家業を続ける自堕落な男、小説家への夢を諦めきれないモラトリアム青年と被災地の小学生。年齢から境遇までバラバラな4人の男女の運命が、「神」との出会いによって動き始めていくのでした。
パーマネント神喜劇 の起承転結
【起】パーマネント神喜劇 のあらすじ①
篠崎肇は同じ会社に勤めている坂本みさきと5年間お付き合いをしていますが、近頃では仕事が忙しくお互いの時間を作ることが出来ません。
久しぶりのデートの後に些細な言い争いからみさきと喧嘩別れした交差点付近で、突如として時間の流れが止まって「神」と名乗るふたりの怪しげな男たちが現れました。
せっかく願い事を何でも叶えて貰えるチャンスを、元来の優柔不断さから逃してしまいます。
再び時間が動き始めたその日から肇が意識して直すようになったのは、これまで無意識のうちに口癖になっていた「まず、はじめに」です。
不思議と会社の人間関係もスムーズに行くようになり、みさきとの倦怠期を乗り越えてプロポーズに踏み切るのでした。
【承】パーマネント神喜劇 のあらすじ②
不思議なパワーを封じ込めた7つの言霊が持ち去られてしまい、転がり込んだ先は膝の痛みを和らげてもらうように神頼みに来ていた26歳の当たり屋・宇喜多英二です。
駅前の自動販売機からスクラッチカード式の宝くじまで、その日からギャンブル運に恵まれた英二は大当たりを連発します。
数字の形をした白い煙が「7」から減少していくことに気が付いた英二は、残り「1」となったご利益を競馬予想につぎ込もうとしました。
競馬場の喧騒の中で心変わりをした英二は、見知らぬ男性に万馬券を手渡してしまいます。
これまでの稼ぎを全て当たり屋の被害者の人たちへの弁償に使って、残された僅かなお金でスーツと履歴書を購入し就職活動を始めるのでした。
【転】パーマネント神喜劇 のあらすじ③
斉藤俊はコンビニでアルバイトをしながら執筆活動に励んでいる、小説家志望の27歳です。
女優デビューを目指す彼女の名前は瞬で、ふたりとも読み方が「しゅん」のために便宜上は「とし」と呼ばれています。
ある時に瞬と神社にお参りにいった俊は、新人賞を受賞して作家として活躍している白昼夢をしました。
一方の瞬も、オーディションに合格して映画やテレビドラマの主役に大抜擢される自分自身の姿を目の当たりにします。
それぞれが成功を収めた未来の世界では、俊と瞬はスケジュールの多忙さから別れてしまう予定です。
昇任試験に合格したばかりの縁結びの神様は、芸能への願い事も加味しつつ2人の仲が上手くいくように取り持ってあげるのでした。
【結】パーマネント神喜劇 のあらすじ④
突如として発生した大地震で、小学3年生の榊美琴は祖母の家に避難していました。
近所にはマテバシイという木が生えていて、どんぐりの実を拾って遊んだことが思い出の1つです。
2週間ぶりに地元へ帰ってきた彼女は、小さな神社へ家族と一緒にお参りに行きます。
境内の中で見かけたのは震災当日に倒壊した建物を受け止め、根元から折れてしまった御神木です。
根っこの断面に美琴が避難先から持ち帰ったどんぐりを転がしてみると、地震発生以来閉じ込められていた神様が脱出します。
地味なスーツに黒縁メガネ姿の男性でしたが、美琴の目にしか映りません。
巫女をしていた祖母の血を受け継いだ彼女には、特別な力が備わっているようです。
神々と人間たちとの悲喜こもごもは、これからもパーマネント(永遠)に繰り返されるのでした。
パーマネント神喜劇 を読んだ読書感想
全編を通して優しさと教訓に満ち溢れているメッセージの中でも特に好きなのは、「一歩を踏み出したら、あとは意外とうまく歩き始めるもんだよ。」
でした。
強い光によって時間の流れを止めた「神」が、自分自身の仕事にも恋人との関係性にいまいち煮え切らなかった篠崎肇を後押しするセリフになります。
本作品に登場する「神」は、決して全知全能な存在ではありません。
年功序列制度や昇進試験の結果を気にしているところが不思議と人間臭く、少しの神秘的なパワーによって悩める者たちを導いていく様子が微笑ましかったです。
小さな1歩を何気ない日々の暮らしの中で確実に積み重ねていって、ステップアップすることの素晴らしさを考えさせられました。
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