【ネタバレ有り】ラン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:森絵都 例)2013年2月に角川書店から出版
ランの主要登場人物
夏目環(なつめたまき)
本作の主人公。22歳。家族を事故で亡くし叔母に引き取られていたが叔母の死後一人暮らしでスーパーのアルバイトをしている。
紺野(こんの)
環が利用する自転車屋の店主。飼い猫こよみを可愛がっていたがこよみの死後店をたたみ実家へ帰る事に。
菜々美おばさん(ななみおばさん)
環を引き取ったおばさん。豪快な性格。
大島尚良(おおしまなおよし)
レストランのウエイター。温和な性格だが方向音痴が悩みの種。イージーランナーズの一員。
ドコロさん
イージーランナーズのトレーナーでベテランランナー。環をスカウトする。
ラン の簡単なあらすじ
家族を事故で亡くし同居していた叔母も亡くした環は自転車屋の紺野さんと飼い猫こよみが安らぎだったが紺野さんたちも去ってしまった。そんな時紺野さんから譲り受けた自転車であの世とこの世のはざまに辿り着いた環は亡き家族と叔母に出会う。しかしそこへ行くのも自転車のおかげ。自転車を元の持ち主に返さなくてはいけない環は自力で行けるように走る力を養う為にランナーズに参加する。
ラン の起承転結
【起】ラン のあらすじ①
13歳で家族を事故で亡くし叔母さんを22歳で亡くしてから環は生きる事より死ぬ事に心が動くようになっていました。
そんな環の心の支えは自転車屋の紺野さんとこよみ。
紺野さん自身も家族を亡くし孤独感があったからこそ環も惹かれ、飼い猫こよみとも楽しく過ごします。
しかしこよみも病死し紺野さんが去り再びアルバイト1本の無気力な生活へ。
アルバイト先でも陰湿なおばさんの派閥に嫌気がさしていた時、紺野さんから譲り受けた自転車で駆け抜ける事が唯一の楽しみに。
猛スピードで駆け抜ける自転車で辿り着いた先はあの世とこの世の狭間。
そこではずっと会いたかった亡き家族があり数年ぶりに楽しいひと時を過ごします。
そこへ辿り着くには様々なルールがあるが新たな拠り所を見つけた環は足しげく通います。
【承】ラン のあらすじ②
楽しい時間を過ごす環ですが、あまりに穏やかな家族に生前こんなに理想的な家族だったかどうか疑問に感じ始めます。
そんな彼女の疑問に答えたのは菜々美おばさん。
菜々美おばさんが言うには狭間のここではまず負の感情から溶け出し綺麗ないい記憶だけが残ると言います。
なので環が知っている喧嘩などの記憶は家族には残っていないのでいい記憶ばかりが残っているのです。
そんな家族でもいいと主張する環に菜々美おばさんはここに来る時に頑張っているのは環ではなく自転車だと言います。
自転車の持ち主の紺野さんの息子を見つけたからには返さないといけません。
そうするとここに来れなくなってしまう環に自力で来るなら構わないと菜々美おばさんは提案します。
それには運動が得意とは言えない環が走力を上げてここまで走ってくる事。
難題に環はスカウトされたランニングサークルへ大島君と共に参加してトレーニングします。
【転】ラン のあらすじ③
徐々に走力を上げて自信をつけてきた環。
トレーニングチーム内でも様々なメンバーが居てほのかな恋心や対抗意識、攻撃的なセリフによる喧嘩など順風満帆ではないものの少しずつ走る距離を伸ばしスタミナもつけてきた環。
そんな時に大島君が以前に自転車で狭間へ辿り着くために猛スピードでかけていく環を見た事があると伝えられます。
大島君は昔病弱で霊的な物が視えたりする事もあった為とか。
環から走る目的は亡き家族たちに自力で会えるようになる為と聞かされた大島君は、環が頑張ってきたのは走る楽しさや生きる為に走る事ではなかったと知った大島君と仲違いをしてしまいます。
フルマラソン大会出場に向けての合宿中にようやく仲直りしますがそこで事件が…。
【結】ラン のあらすじ④
合宿中介護をしていた義母の容体が悪化した為帰宅した真知さん。
しかし義母は亡くなり後悔と罪悪感で一杯になってしまいます。
思い余った真知さんは自ら命を絶とうと醤油1升瓶を一気飲みして意識不明になってしまいますが、なんとか環と大野君、ドコロさんのプレゼントでこの世に戻ります。
そして合宿前日。
環は大野君と共に家族との別れを決意し菜々美おばさんは環には死んだ者たちより生きる事に力を使ってほしかったと明かします。
死んだ者たちは全部綺麗に溶かされ大地や植物など身の回りの物に還っていくんだと聞かされます。
大野君は料理の修行でナポリへ出発する事を知り新たな旅立ちへ。
いよいよフルマラソン当日。
そこではメンバーが様々な目的を胸に走り出します!
ラン を読んだ読書感想
ヒロイン環はかなりひねくれています。
家族の思わぬ事故死や最後の喧嘩別れ、度重なる別れを経験してしまい斜めに構える性格になってしまいましたがこれには凄く共感できます。
きらびやかに純粋にってある程度行くと中々なれないんですよね…。
そして環が頑張る目的は前向きといわれる生の為ではなく亡き家族に会える狭間へ行く為というネガティブな理由からというのも、この世でのストレスや虚しさや頑張ることなど出来ないと立ち止まってしまう環の弱さがまた強く共感。
ランナーズのメンバーも面々が個性豊かですがなんといっても真知栄子おばさんが強敵でどこにでもいるなぁ〜こんなおばさんと思わせるタイプです。
そんなおばさん自身の大変な境遇だったりしますがラストで不幸自慢を止めるとお互いに誓ったのがとても胸に沁みました。
実行は難しいけど心折れそうな時、ひねくれた自分が嫌でたまらなくなった時力を抜いて読める作品です。
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