著者:松岡圭祐 2020年3月にKADOKAWAから出版
高校事変 VIの主要登場人物
優莉結衣(ゆうりゆい)
17歳の女子高生。テロ事件を起こして死刑となった半グレ集団のボス優莉匡太の次女。幼いころからテロ集団に育てられ、武器の知識と戦闘能力を持つ。
優莉凜香(ゆうりりんか)
中学2年生。結衣の異母妹で、優莉匡太の四女。結衣と同じく、幼いころからテロ集団に育てられ、武器の知識と戦闘能力を持つ。
仲村琉那(なかむらるな)
15歳。囲い屋に搾取されている貧困一家の次女。
金城庄一(きんじょうしょういち)
21歳。囲い屋の下で働くチンピラ。少女たちを売春宿に斡旋している。
クレア・アシュバートン
25歳。NCIS(海軍犯罪捜査局)の新人捜査員。民間軍事会社のラングフォード社を調査しに来た。
高校事変 VI の簡単なあらすじ
優莉結衣は、転入した高校の修学旅行で、沖縄に来ました。
結衣を目の敵にする同級生の5人組にいじめを受けた彼女は、怒りをこらえきれずに、とうとう5人を倒します。
その後、ホテルを出て、昼間気になっていた地区へ向かいました。
そこでは、囲い屋と呼ばれるヤクザが、貧困家庭から生活保護費をピンハネしていました。
ヤクザは、武蔵小杉高校事変で武装集団に武器を売却していた疑いのある権晟会(ごんじょうかい)です。
権晟会の幹部を倒した結衣は、武器を日本に横流ししているのがアメリカの民間軍事会社であることを知ります。
結衣は、嘉手納空軍基地にある兵器試験場へと乗りこんでいくのでした・・・。
高校事変 VI の起承転結
【起】高校事変�Y のあらすじ①
2月、結衣は、転入した芳窪高校の修学旅行で、沖縄にやってきました。
結衣と、気弱な綿谷は、意地悪な5人組といっしょの班に振り分けられています。
案の定、5人組は由衣にいじめを働きます。
ホテルでもいじめは続き、こらえきれなくなった結衣は反撃して、5人を倒したのでした。
ホテルの外に出た結衣は、昼間、気になっていた地区へ向かいます。
そこは、貧困家庭の居住区で、昼間見た少女、仲村琉那が住んでいました。
結衣が予想していた通り、中学生の琉那はレイプされていました。
結衣は琉那に後使いの避妊薬を渡します。
彼女の家庭から生活保護費をピンハネしているのは、権晟会(ごんじょうかい)です。
武蔵小杉高校の事変(第1巻)で、武装勢力に武器を売った連中のようです。
結衣は権晟会の支部へ乗りこんで、それを壊滅しました。
その折、今や武器を日本に横流ししているのが、アメリカの民間軍事会社のラングフォード社であることを聞きだしました。
結衣は武器密輸を根絶やしにするために、ラングフォード社へ乗りこむことを決意するのでした。
【承】高校事変 VI のあらすじ②
結衣は、仲村家でつかまえた権晟会の下っ端、金城庄一をつれて、権晟会の本部を見張ります。
会長以下数名の幹部が、海外へ高飛びしようとしていました。
彼らは、嘉手納基地にあるラングフォード社の兵器試験場へ向かうようです。
結衣と庄一は、権晟会の荷物を積んだトラックの荷台にもぐりこみます。
兵器試験場に入ったところで、ふたりは走っているトラックから飛び下りました。
一方、ラングフォード社が武器を横流ししているという噂を聞きつけて、NCIS(海軍犯罪捜査局)が沖縄にある同社を訪れます。
ふたりで来たうちの、新人のクレアが残って、1日調査を行なうことになりました。
さて、結衣と庄一は、広大な兵器試験場の野原で、少女の死体を発見しました。
レイプされたあと、マンハントされ、射殺されたようです。
結衣は故意に発煙筒を焚いて、敵をあおります。
発煙筒の煙を見つけたのはクレアでした。
同行している社員たちとともに現地に到着したクレアは、少女の死体を発見します。
クレアは社員たちを拘束しようとして、逆に殺されそうになります。
そこへ結衣が姿を現し、社員たちを倒しました。
死んだ社員が持っていた地図には、×印がついていて、そこに少女の死体が放置されているようです。
×印の場所に行ってみると、はたしてそこにはセーラー服を着た少女の死体があったのです。
3人のもとに、新たな敵が装甲車に乗って襲いかかってきました。
なんとか敵を倒してみると、実は、敵の銃は空砲でした。
また、敵の死体から「ノースアクセスゲート、午前10時35分」と書かれたカードが見つかりました。
権晟会の幹部たちが高飛びする場所と時刻ではないかと思われます。
兵器試験場内の基地では、怒り狂った社員のハンゲイトが、レイプした少女たちを野に放ち、クレアとともに射殺するつもりでいます。
【転】高校事変 VI のあらすじ③
結衣は、逃げてきた少女、朱美を保護しました。
小さな小屋に朱美をかくまい、朱美のセーラー服と自分の制服を交換します。
敵はセーラー服にコンプレックスがあって、セーラー服姿の少女を狙うのです。
結衣の制服はセーラー服ではないので、交換すれば朱美が安全だと考えたのでした。
一方、結衣と離れた庄一とクレアですが、庄一がスマホを持っていることが、クレアにバレてしまいました。
電源を入れると位置情報がわかってしまうので、電源をOFFにして、クレアには、「スマホを持っていない」と嘘をついていたのです。
クレアは不信感から単独行動することにします。
そこで見つけた少女は、結衣の妹の優莉凜香でした。
前線基地に入ったとき、凜香はクレアに銃口を向けます。
結衣の方は、庄一を従え、ライフルを手に前線基地に突入しました。
敵を倒し、凜香には、姉としてすまなかった、と詫びます。
やがて、敵は2基の軍用ヘリで攻めてきました。
しかし、結衣と凜香は力を合わせ、ありあわせの材料で作った無反動砲で、2機のへりを撃墜したのでした。
【結】高校事変 VI のあらすじ④
ラングフォード社の社長、フィッツシモンズが、空のタンクローリー車に乗って逃げ出しました。
結衣はライフル銃でタンクを狙い、爆発させてフィッツシモンズを殺しました。
これで武器を密売していた会社は壊滅です。
結衣と別れた庄一は、仲村家へ行き、飲んだくれの親を叱咤して、厚生を約束させました。
血まみれになった結衣は、売春の斡旋をしている男の車のトランクに身をひそめ、警察に発見されることで、被害者の立場を確保するのでした。
さて、沖縄からの帰りの飛行機です。
結衣がホテルで痛めつけた5人組のひとり、黒磯升斗は、足にギプスをはめ、父親と飛行機に乗りこみました。
飛行中、その父子が突然ハイジャック犯に変貌しました。
ギプスのなかに銃を隠していたのでした。
彼らは、実は、韓国人の半グレ集団、パグェの一員なのでした。
清墨学園で、結衣に全滅させられた仲間の復讐をしようというのです。
(清墨学園の件は第4巻)そこへ、航空機に乗りこむ武装警察官も加わり、銃撃戦が始まりました。
戦いは由衣たちの勝利に終わったものの、窓に穴の開いた飛行機は、海に緊急着水するのでした。
後日、結衣は、高校事変(第1巻)で亡くなった人を慰霊する催しに参加します。
孤独が彼女を包みました・・・。
高校事変 VI を読んだ読書感想
第6巻になっても、まだおもしろいシリーズです。
今回は、沖縄の空軍基地内にある兵器試験場が舞台です。
兵器試験場ですから、銃の発砲は当たり前です。
敵が結衣たちに向けていくら発砲しても、隣にいる米軍は、少しも不審に思いません。
広大な兵器試験場で、結衣たちは孤立無援状態。
まさに絶対絶命です。
このあたりの、主人公を危機に追い込む設定がうまいです。
そして、もちろん、今回も結衣は、その絶体絶命の状態をみごとに切り抜けるのです。
ついでに、敵対状態にあった妹の凜香と、少し心の距離を詰めることができました。
殺伐とした戦闘描写が続く中で、ほほえましいことです。
・・・というわけで、次巻も楽しみです。
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