【ネタバレ有り】うちの子が結婚しないので のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:垣谷美雨 2019年4月に新潮社から出版
うちの子が結婚しないのでの主要登場人物
福田千賀子(ふくだちかこ)
娘が結婚しないことが心配でたまらない主人公57歳。親婚活で四苦八苦する。
福田清彦(ふくだきよひこ)
千賀子と同い年の夫。親婚活に協力的でマメな性格。
福田友美(ふくだともみ)
千賀子の28歳になる娘。奥手なせいか彼氏なし。両親の説得により婚活に前向きになる。
うちの子が結婚しないので の簡単なあらすじ
千賀子は老後が気になるお年頃ですが、自分たちの老後の事よりも28歳になっても結婚しない娘・友美のことが心配でたまらなくなります。ふとしたきっかけで知った「親婚活」。「親婚活」とは未婚の子供の写真・身上書をもって、子供の代わりに見合いをするもの。千賀子は親同士のお見合いに何度も参加しますが、なかなかうまく事は運びません。奥手で地味な娘のために千賀子夫妻が奮闘する親婚活物語。
うちの子が結婚しないので の起承転結
【起】うちの子が結婚しないので のあらすじ①
派遣のプログラマーとして働く57歳の千賀は来るべき老後にそなえ、友達のモリコと二人で「老後の経済」という講演を聞きに出かけます。
しかしその講演を聞いているうちに、自分の老後よりも一人娘の友美の行く末の方が心配になってきてしまいました。
モリコも同じように独身の娘の里奈のことを案じています。
しかし半年後、モリコから「里奈が結婚することになりました」と書かれた年賀状を受け取ることになるのです。
ただでさえ焦っていた千賀子の心は、モヤモヤとした気持ちでいっぱいになります。
里奈と違って友美は一人っ子で頼れる兄弟もなく、勤めているアパレル会社の給料も決して高くないからです。
やはり友美には結婚して欲しいと思う千賀は、ある日テレビで中国の親の代理婚活の番組を目にします。
一緒にテレビを見ていた夫の清彦は、帰宅した友美に「結婚したくないのか?」と問いかけるのですが、友美は気のない返事をして会話は終わってしまいました。
清彦は日をあらためて「親婚活」の話を切り出しますが、あからさまに友美は反発します。
そんな友美に今後の人生をシミュレーションし、辛抱強く話して聞かせる清彦。
普段は友美を傷つけまいと気を遣う千賀も厳しい言葉を口にします。
両親の自分を思いやる気持ちを知り、やっと友美も前向きに婚活の事を考えるようになりました。
早速「良縁いずみ会」という会社にネットで申し込みをし、三人で相談しながら身上書を書いていきます。
「三十四歳以下・太りすぎていない人・転勤のない人・親とは別居」これが友美の出した条件でした。
友美自身もお見合いパーティーに参加してみると張り切り、家族が一丸となって婚活がスタートしたのです。
【承】うちの子が結婚しないので のあらすじ②
はじめて参加する親婚活「良縁いずみ会」の会場に千賀子は来ています。
お見合い前の身上書をチェックした段階での感想は、自分たちが想像した「並」や「普通」はレベルが高すぎたのかもしれないというものでした。
その一方で学歴も勤務先も一流のエリートが揃っている事にも驚きます。
色々注意事項を聞いたあと、いよいよ親同士のお見合いに臨みます。
前半は女性から男性への申し込みの時間なので、千賀子は条件に合う男性の親の元へと向かいます。
しかし申し込みをした4人のうち2人からはケンモホロロに断られ、交換できた2人も乗り気ではない様子でした。
思った以上に傷つき疲れ果てる千賀子ですが、出来る限り情報収集をしたいと思い直します。
後半は男性から女性への申し込みとなり、千賀子の前にも何組かの親達がやってきます。
自分の好みで息子の相手を決めようとする父親、体重が110Kgもある息子を持ち三世代同居を迫る巨体夫婦、嫁を無料奉仕のお手伝いと考える高齢の夫婦。
最後に申し込みを受けたのは、医師をする母親からでした。
息子自身は不動産会社に勤める爽やかそうな30歳の男性で、千賀子は有頂天になります。
千賀子が家に帰ると本人同士のパーティーに出席した友美も帰宅してきました。
友美もパーティーでの成果は芳しくなかったようです。
初めての親婚活に参加して暫くたったころ、千賀子はモリコと真由美の3人で食事をすることになりました。
そこでモリコから聞いたのは、里奈の結婚相手は寺婚で知り合った役者志望の男性で、モリコの夫は反対しているため入籍も済ませていないという話だったのです。
【転】うちの子が結婚しないので のあらすじ③
初回の親婚活では誰ともお見合いが成立せず、友美は諦めムードです。
それでも清彦からの「独身を通すのは一人で荒野に立つようなもの」という言葉に動かされ、写真を撮り直して前向きになると覚悟を決めます。
千賀子が2回目に訪れた親婚活は「結婚サポートたんぽぽの会」です。
友美の写真がグッと良くなったせいか、今回は前回と打って変わって千賀子の前には行列が出来ています。
同居は望まないと言いつつ老後の面倒を友美に見させようとする母親、共働きして欲しいと言いながら家事は息子にはさせないつもりの母親など、申し込みは続くものの、友美が気に入りそうな相手は現れません。
今回は希望していた4人のうち3人から申し込まれ、残りの1人も千賀子から申し込むと気持ちよく交換してもらえました。
どうやら親婚活は、その時々の参加者により雰囲気が変わるようで、この日の成果は驚きの12人でした。
その夜の家族会議で5人まで絞り、千賀子は翌日お見合い申し込みの電話をかけます。
すると5人全員が快諾してくれ、千賀子は今度こそうまくいきそうな予感に浮き立ちます。
しかし、目黒区のお屋敷に住む男性は人を見下す態度が嫌だと友美から言われ、こちらから断るつもりが相手から先に断られてしまいます。
その後、お見合いをした4人の男性とはデートまで進展したものの、友美が気に入った相手からは断られ、先方からは気に入られても、友美はその気になれないという状態が続きます。
【結】うちの子が結婚しないので のあらすじ④
「たんぽぽの会」でのお見合いも徒労に終わったころ、千賀子にモリコからメールが届きます。
モリコの娘・里奈は、なんとか夫の許しを得て入籍を済ませ元気な男の子を出産。
しかし里奈の結婚相手は子供が生まれても、夢を諦めないどころか里奈の預金をあてにするような始末。
結局、里奈は離婚をして赤ちゃんを連れて実家に戻っているという内容でした。
最後に「親婚活は良いことだと思うし、堅実な男を夫に選んであげて」という言葉で結ばれていました。
モリコからメールを貰った少しあと、千賀子の姉が泊まりにきます。
姉は資産家の家に嫁いだものの夫の浮気が元で離婚し、英語講師をしながら一人娘を育てています。
里奈の話や姉の姿を見て、千賀子夫婦は結婚について改めて思いを巡らせたのでした。
妥協できる線を見極め、どこかで潔く手を打つと心を新たに千賀子は親婚活に参加しますが、6回目も7回目もうまくいきません。
最近の友美はイタリア語を習得し仕事が面白くなってきたらしく、もしかしたら独身を通すかもしれないと千賀子は思い始めます。
しかし親婚活に参加して1年近くたち、参加費も十万円を超したころ、ついに友美は結婚しても良いと思える相手に出会います。
中堅の建設会社に勤める31歳の落合奏太です。
奏太は性格的にも外見的にも友美の及第点に達していて、熱心にプロポーズしてくれたことが決め手だったようです。
ついに千賀子の親婚活という長い戦いは幕を閉じたのでした。
うちの子が結婚しないので を読んだ読書感想
親婚活というものは実際にはどういうものなのだろう?という興味本位で読み始めました。
しかし読み進めるうちに「親婚活というものもアリかもしれない」と感じ、どんどん話に引き込まれていきました。
夫はネットで親婚活のサイトを調べ、本を読んで勉強し色々と協力してくれます。
初めは婚活自体を嫌がっていた友美も、両親に説得されると前向きに考え始める素直なお嬢さんです。
もちろん千賀子も、老後のことは後回しにして娘のために東奔西走します。
こんな仲良し家族だからこそ、最終的に親婚活もうまくいき友美も幸せになれたのではないかと思いました。
親が代わりにお見合いするなんて、過保護すぎではないかという意見もあるかもしれません。
それでも、どうしても自分で相手を見つけられないタイプのお子さんもいますよね。
そんなお子さんのために、親が出会いの可能性を広げてあげる親婚活。
これからの世の中、結婚相手を見つける一つの選択肢になるのかもしれないと感じました。
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