「全てがFになる」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|森博嗣

「全てがFになる」

【ネタバレ有り】全てがFになる のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:森博嗣 1996年4月に講談社から出版

全てがFになるの主要登場人物

犀川創平(さいかわそうへい)
N大学工学部建築学科、助教授。愛煙家。

西之園萌絵(にしのそのもえ)
N大学工学部建築学科、一年生。両親を早くに亡くしている。犀川のことを好いている。

真賀田四季(まがたしき)
天才プログラマ。真賀田研究所所属。幼い頃に両親を殺している。

全てがFになる の簡単なあらすじ

主人公とヒロインはヒロインのツテで真賀田四季がいる研究所のある姫鹿島にゼミ生と行きます。研究所を訪れた二人は完全なる密室で殺された真賀田四季を見つけます。そして真賀田のパソコンには全てがFになるという文字が残されていました。その後も殺人事件が続きます。そして主人公は事件の真相にたどり着きます。犯人は真賀田四季自身でした。しかし真賀田はゼミ生に紛れて姫鹿島から脱出して捕まえることは出来ませんでした。

全てがFになる の起承転結

【起】全てがFになる のあらすじ①

妃真加洲に真賀田四季はいる

犀川創平にとって西之園萌絵は大学時代の恩師の娘という立場でした。

今は犀川が大学の助教授になり、萌絵が生徒という立場になりました。

萌絵は学生の時に事故で両親を亡くしました。

しかし親が残した遺産で悠々自適な生活を送っています。

萌絵は西之園家の政治力を使って世界的に有名な科学者である真賀田四季と面会を果たします。

真賀田四季は幼い頃らか天才として有名でした。

しかし彼女をさらに有名にしたのは両親の殺害という衝撃的な事件でした。

結果、真賀田四季は自身喪失状態ということで無罪になり、表舞台から姿を消しました。

しかしひっそりと妃真加島にある真賀田研究所で研究を続けていました。

普通の人間なら知る由もなく、知っていたとしてます面会なんて許されるものではありませんでした。

だから同じ学者として犀川は羨ましがります。

実は犀川に恋愛感情を抱いている萌絵の前に儀同世津子と名乗る女性が現れます。

世津子は犀川とただならぬ関係のように匂わせてきます。

危機感を覚えた萌絵は犀川を真賀田四季に会わせる口実で妃真加島に誘います。

萌絵の気持ちに気付いていない犀川ですが、当然乗り気です。

結局、犀川は萌絵とゼミ生たちを連れて夏の旅行として妃真加島に向かうこととなりました。

【承】全てがFになる のあらすじ②

密室はシステムのせい

島に着くと、キャンプの準備もそこそこに犀川と萌絵は真賀田研究所に向かいました。

連絡通りに真賀田研究所の副所長である山根幸宏から真賀田四季は地下にある研究室に篭り、誰も入ることは許されませんと聞きました。

萌絵は真賀田四季と犀川を会わせるために、仮病を使って研究所に入ります。

二人は施設の中を案内してもらっている時真賀田四季の研究室が開かずに、連絡も取れないと告げられます。

システムに異常が起こったが、すぐに復旧させて萌絵たちは真賀田四季の安否を確認に向かいました。

しかしそこには惨殺された真賀田四季の姿がありました。

警察へ連絡をしたくても、施設内のシステムが暴走をしていて叶いません。

そこにヘリで真賀田四季の妹の未来を連れてきた所長の新藤清二が帰ってきます。

新藤はヘリの無線から警察に連絡をしようとしますが、殺されてしまい、警察にも連絡はできませんでした。

山根はこれを幸いとし事件の隠蔽を画策し、犀川たちにも口封じを行います。

しかし犀川はその条件を飲む代わりに事件の捜査をしたいと言い、山根も了承しました。

事件が起きたために、ゼミ生たちは早めに船で帰し、島には犀川と萌絵だけが残りました。

山根たちは再度、復旧を試みます。

そしてシステムは戻り、警察への連絡ができました。

しかし山根の姿が見えなくなり、その後死体で見つかりました。

犀川は事件の真相がわかり、所内のメールで犯人とやり取りをし、バーチャルリアリティの世界で推理を披露することとなりました。

バーチャルリアリティの中で犀川は推理を披露します。

犯人は真賀田四季の娘だと言います。

あの研究所全体のシステムダウンは元々システムの中に組み込まれていて、今回の事件は何年も前から計画していたことでした。

娘の父親は新藤清二でした。

真賀田四季の娘は自殺を仄めかします。

それを止めようと娘がなりすましていた妹の未来を探します。

しかしどこにもいませんでした。

【転】全てがFになる のあらすじ③

真賀田四季に会った者はいない

警察が司法解剖した結果、真賀田四季の死体には妊娠、出産したような跡はありませんでした。

そこで犀川は殺されたのは真賀田四季ではなく、真賀田四季の娘だと推理しました。

そして今回の犯人は真賀田四季本人でした。

しかも真賀田四季はゼミ生たちに紛れ込んで、船で脱出した後でした。

バーチャルリアリティでの会話は研究所の外からなされたものだったのです。

真賀田四季は娘を殺した後に、ヘリで到着した新藤と落ち合い、妹の振りをして難を逃れていました。

真賀田四季の両親を殺したのは新藤でした。

原因は真賀田四季が新藤の子供を身ごもったことで口論になったからでした。

真賀田四季は娘に15歳になったら、自分を殺すように教育しましたが、結果娘は母を殺すことはできませんでした。

しかし計画はもう始動させていて、止めることはできません。

そのため真賀田四季が娘を殺すこととなったのです。

事件の真相に辿り着くことはでき、証拠も残っています。

しかし犀川がその真相に辿り着いた時は、真賀田四季の居所は掴めないところまで遠くに行ってしまった後でした。

【結】全てがFになる のあらすじ④

全てがFalsehood

犀川たちは島から帰りました。

警察は今も真賀田四季を探しています。

犀川は事件に関してもその後は何も知りませんでした。

興味があったのは動機でした。

自由になるためだと真賀田四季はバーチャルリアリティの中で証言しました。

しかし三人を殺さなくてもあの地下室から出ることは可能で、天才の真賀田四季ならば簡単にできたことと思えました。

犀川は大学の研究室で萌絵と会う約束をしました。

その前に犀川は図書室で資料探しをしていました。

その犀川の前に真賀田四季が現れました。

二人は椅子に座って話します。

犀川は動機について聞きました。

真賀田四季はやはり自由のためだと言いました。

それから彼女にとっては死んでいる状態が正常で、生きている状態は違和感があると説明します。

そして自殺ではなく誰かに殺されたいと心の内を打ち明けました。

最後に真賀田四季は警察への自首をするために犀川に別れを告げます。

犀川には警察の尾行が付いていました。

その刑事に自首しに真賀田四季は向かいました。

死刑を望んでのことでした。

図書館の外で萌絵と会い、しばらく話すと尾行は事実だが、それは前日に解除されていました。

当然、真賀田四季の姿はありません。

犀川は再び真賀田四季に騙されたのでした。

全てがFになる を読んだ読書感想

ドラマ化されるということで本を買ってみました。

理系ミステリーという肩書きに相応しい専門用語がいくつも飛び出してきます。

さらに主人公である犀川創平も天才であるような掛け合いを萌絵とやっています。

正直いうとジョークと言われているものの笑いどころが分からないくらい高度です。

真賀田四季の哲学のような動機もこの作品の特徴なのかなと思います。

良くも悪くも感情移入できない。

ただかっこいいなと憧れるところは随所にありますし、ミステリーとしてもとても面白いです。

すごい古い作品で扱っているテクノロジーも今となっては当たり前のものですが、読むにあたっては古臭さはありません。

先鋭さはどれだけ未来になっても失われないように思う作品です。

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