【ネタバレ有り】ルパンの娘 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:横関大 2015年8月に講談社から出版
ルパンの娘の主要登場人物
三雲華(みくもはな)
図書館に勤務する普通の社会人だが、Lの一族の娘である。祖父仕込みのスリの腕があり、無意識のうちにスリをしてしまう癖がある。
桜庭和馬(さくらばかずま)
警視庁に勤務する捜査一課の刑事で、華の彼氏である。桜庭家はペットまで全員警察関係者という警察官一族である。
三雲巌(みくもいわお)
伝説のスリ師として有名だが、本名はほとんど知られていない。桜庭和一の親友である。
桜庭和一(さくらばかずいち)
元警察官で、鬼の桜庭と恐れられていた。現在の妻である伸枝と和一とは、大学の同級生だった。巌を恩人と思っている。
ルパンの娘 の簡単なあらすじ
泥棒を家業としている三雲家の娘・華と一家全員が警察官である桜庭家の息子・和馬は、お互いに家族のことを隠して付き合っていた。しかしある日、華は両家の家業を知り困惑する。一方で和馬のもとに舞い込んだ河川敷での殺人事件には不可解な点が多く、和馬は真相解明のために奔走する。この事件がきっかけで二人の運命は大きく変化していく。
ルパンの娘 の起承転結
【起】ルパンの娘 のあらすじ①
三雲華は、伝説のスリ師の祖父の孫娘であり、鍵師の祖母、泥棒の両親、ハッカーの兄と暮らしていました。
家族の中で唯一、普通の社会人として働いていた華は、三雲家の人々の非常識な行動に嫌気がさしていながらも、幼い頃から身につけられた泥棒としての技術を持っていました。
そんな華は公務員だという桜庭和馬と交際しており、結婚を考えていましたが、ある日桜庭家の人間が全員警察関係者であることを知ります。
和馬との関係を諦めようと落ち込んでいる華のもとに、更なる訃報、祖父が殺害されたという情報が届きます。
華の祖父・三雲巌が殺害された事件の捜査に当たったのは、和馬の所属する班でした。
しかし、巌は殺害される前に警察の前科者データベースを書き換え、ホームレスの立嶋雅夫という男に成りすましていたため、指紋から立嶋というホームレスが殺害された事件として処理されてしまいます。
ところが、和馬は殺された男の顔が判別できないほどに潰されていたことに疑問を抱き、一人で捜査を続けます。
一方で華も巌の死について調べようと、同業者であるスリ師に当たります。
そこで巌のことを知るスリ師の男と知り合い、月に一度巌がある男性と一緒に居酒屋で飲んでいたことを知るのです。
その男性は、桜庭家に行った時に見た和馬の祖父・桜庭和一でした。
【承】ルパンの娘 のあらすじ②
和馬は、立嶋の生前の顔写真を入手したことで、立嶋とされていた殺された男が違う人物であることに気づきます。
立嶋が事件以前に死んでおり死体が消えたという目撃証言や、生前の持ち物からDNAを入手し調査することで確信を得た和馬でしたが、警察上層部は和馬の推理に取り合ってくれません。
秘密裏に捜査を続ける和馬は、殺された男が本当は伝説のスリ師であることにたどり着きます。
迷宮入りしかけているホームレス殺人事件の捜査の一方で、華に婚約指輪を購入することを考えた和馬は、華を連れて宝石店に立ち入ります。
そこで、華の母親・悦子と二人は鉢合わせてしまいます。
和馬のことを家族に話していなかった華は慌てますが、彼氏の存在に喜んだ悦子が先導し、二人の婚約の話が進んでいきます。
顔合わせですっかり意気投合してしまった両家の結婚に向けた盛り上がりをよそに、当の華と和馬は祝福モードではありませんでした。
和馬は、捜査中の伝説のスリ師が三雲巌であることに気づき、華の一家の正体を知ってしまうのです。
和馬は今まで騙されていた華に激怒し、結婚はできないと判断します。
【転】ルパンの娘 のあらすじ③
華と和馬は、お互いに別れることを覚悟しますが、結婚の準備に夢中な両家の面々は互いの正体を知らないために、二人は結婚するものと思い続けています。
そんな中、和馬は三雲巌の件から三雲家が都市伝説で有名なLの一族であることを知り、調査を続けます。
悦子が他の事件の犯人ではないかと疑った和馬は、悦子と会い、煙草やグラスから証拠となるDNAを入手しました。
和馬は警察官である自分の立場と、華への思いから華の家族が全員捕まってしまうことを躊躇う気持ちとの中で揺れ動きます。
結果、和馬は華へ警察が証拠を掴んでいることを伝え、捜査の手が及ぶ前に逃げることを促し、持っている証拠を警察に提出するのです。
三雲家は全員バラバラに逃げることを決め、華は最後に桜庭家へ謝罪のため立ち寄ります。
泥棒一家の正体を知られた華は、桜庭家で手のひら返しに追い出されそうになりますが、和一がそれを引き止めました。
そこで、和一は巌とかつて学生時代のルームメイトであったことを告げます。
さらに和一の妻となった伸枝が学生時代に男に襲われかけ、巌がそれを助けた事件があったこと、その男を見つけるために仕事につかず、今まで奔走していたことが明かされます。
巌が殺された事件は、その男を突き止めた故に起こったことだというのです。
しかし、それを聞いたところで、桜庭家の人間は華と和馬の結婚を許せず、二人は別れることとなりました。
【結】ルパンの娘 のあらすじ④
華と別れた一年後、和馬は見合いで知り合った女性との結婚式を控えていました。
しかし、心の中では華のことを思い続けています。
一方で、バラバラに生活していた三雲家は一年ぶりに集結し、華の兄から和馬が結婚することを知らされ、新郎を盗み出す計画を提案されます。
乗り気ではない華でしたが、家族が勝手に実行していることを知り、止めるために結婚式場へ潜入し、結果協力してしまいます。
結婚当日、家を出てすぐに三雲家の策略によって捕らえられた和馬は、そこで一年越しに河川敷の殺人事件の真相にたどり着きました。
和馬を結婚式から奪う計画でしたが、和馬の話を聞き協力関係を結んだ和馬と三雲家は、巌を殺した犯人が和馬の同僚の刑事であることを結婚式中に暴きます。
動機は、和馬の同僚の祖父が、伸枝を襲った男だったことを巌に知られたことでした。
巌の事件を解決した直後、和馬と華は互いの家族から許しを得て、一緒に暮らし始めます。
見事、新郎を結婚式から盗み出したのです。
三ヵ月が経ち、二人は三雲家のマンションで巌と和一に会います。
巌は生きていました。
殺された男は立嶋であり、巌が死んだと和馬が捜査するように仕組んだのは、巌と和一の二人でした。
実は、華と和馬の出会いから、すべて巌と和一に仕組まれていたことだったのです。
ルパンの娘 を読んだ読書感想
初めは警察官と泥棒の立場に邪魔されて一緒になれない恋愛物語かと思っていましたが、河川敷での殺人事件が二人の関係に上手く絡んできて面白かったです。
事件の真相が二転三転するところでは、毎回気持ちよく騙され、最期には両家の家長の因縁の相手をともに懲らしめるところが爽快でした。
華と和馬の出会いから、祖父らのいたずらな思い付きによって仕組まれていたと分かった時には、やられたという気持ちと素敵なハッピーエンドに感動しました。
また、泥棒と警察官という全く反対の分野で天才的な祖父らのキャラクターがとてもよく引き立っており、この小説の一番気に入っているところです。
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