【ネタバレ有り】首折り男のための協奏曲 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:伊坂幸太郎 2014年1月に新潮社から出版
首折り男のための協奏曲の主要登場人物
尾花弘(おばな ひろし)
自分の誕生日に彼女が別の男とピアノコンサートに出掛けるのに腹を立て合コンに参加する。
井上真樹夫(いのうえ まきお)
大の合コン好き。行きつけのバーの店主から今回合コンの話を持ち掛けられ了承するも、当日ドタキャンする。
臼田章二(うすだ しょうじ)
現在の井上の合コン仲間。長身の爽やかな見た目をしており女性陣から人気がある。
佐藤亘(さとう わたる)
急遽、井上の代わりに合コンに参加することになった見た目が冴えない青年。
江川美鈴(えがわ みすず)
尾花の元カノ。偶然にも合コンの場で再会する。
加藤遥(かとう はるか)
雑貨屋を営む清楚な美人。今回、井上に復讐するために合コンを持ち掛ける。
木嶋法子(きじま のりこ)
オーディションの合否連絡を待ちながら合コンに参加。
首折り男のための協奏曲 の簡単なあらすじ
もうすぐ27歳になる尾花弘は、かつての合コン仲間の井上真樹夫に誘われ久しぶりに合コンに参加することになりました。ところが当日、男性幹事の井上はドタキャン。急遽、井上が代わりによこした佐藤亘と名乗る男性が飛び入り参加することになりました。対して女性幹事の加藤遥は、穏やかではない心持で今回の合コンを企画していました。合コンという名の心理戦が繰り広げられたのち、予想外の結末で物語は終結します。
首折り男のための協奏曲 の起承転結
【起】首折り男のための協奏曲 のあらすじ①
主人公は27歳の誕生日に合コンに参加する尾花弘。
かつては足繁く合コンに参加していた尾花ですが、彼女ができて以来すっかり足が遠のいていました。
しかし、自分の誕生日に彼女が別の男とピアノコンサートに出掛けることに腹を立て、今回久しぶりに参加することに決めました。
主催者はかつての合コン仲間の井上真樹夫です。
合コンが生き甲斐のこの男は、学生時代メンバーが揃えば借金してでも合コンを開いていた大の合コン好き。
社会人になった今でも学生の頃と変わらずに合コンに精を出していました。
今回、合コンのきっかけになったのは井上が行きつけのバーの店主から話を持ち掛けられたことがきっかけでした。
お店に通っているお客さんで、男性と懇親会をしたいと言っている女性がいると相談されたのです。
これ幸いと店主の話に乗った井上は、相手の女性側にもあと二人誘ってもらい、男性三人と女性三人で懇親会という名の合コンを開催することに。
かつての合コン仲間で誕生日に予定がない尾花と、現在の合コン仲間の臼田章二を誘って当日臨もうと考えていました。
【承】首折り男のための協奏曲 のあらすじ②
ところが合コン当日、幹事の井上が土壇場で参加できなくなります。
井上の代わりにきたのは佐藤亘というなんとも冴えない男性でした。
同い年という話ですが老けて見え、服装も野暮ったく、そのうえ口下手で、合コンに参加するタイプにはみえません。
対して、井上の合コン仲間だという臼田は絵にかいたような好青年でした。
三人は、合コン前に軽く打ち合わせをして会場に向かいました。
バーで対面した女性陣は二人とも美人で尾花は嬉しくなります。
もう一人は遅れて来るということで、尾花の期待は膨らみます。
しかし合コン開始間もなく到着した残る女性参加者は、昔恋人だった江川美鈴でした。
お互い初対面のふりをしてその場をやり過ごしますが、途中密談するためにトイレに立ちます。
江川は彼女がいるのに合コンに来た尾花を非難しますが、そんな彼女は現在職場の上司と不倫中で、お互い相手を責められる状況にはありません。
二人は一旦席に戻ります。
それぞれが思惑を抱え、合コンは進んでいきます。
【転】首折り男のための協奏曲 のあらすじ③
女性陣の幹事を務めている加藤遥は、合コンの最中、目的を失い自失していました。
そもそもこの合コンが開かれるきっかけを作ったのは加藤自身でした。
目的は、合コンで出会う女性をいとも簡単に切り捨てる井上に復讐する為でした。
雑貨屋を営む加藤は、常連客の女性が井上に捨てられたことを知り、憤慨。
井上が通うバーを見つけ出し、接触をはかったのでした。
しかし、当日になって当の本人が欠席。
自分の復讐心を見透かされたのではないかと気になっていました。
女性参加者の木嶋法子は舞台のオーディションの結果を待ちつつ合コンに参加していました。
電話連絡があるはずなのですがまだかかってこず、うずうずしています。
途中電話がなり、結果連絡かと電話を取った木嶋でしたが、父親からの電話でした。
木嶋たちがいる周辺で俳優の首折り殺人が起きたとの連絡で、犯人は捕まっていないとの情報でした。
合コン会場のバーにも警察が聞き込みに来ます。
この殺人事件が合コン中にも話題にのぼります。
佐藤がトイレに立った間に、実は佐藤が犯人なのではないかと木嶋が喋り出します。
言われてみれば佐藤の素性を知るものはこの場に一人も居ません。
【結】首折り男のための協奏曲 のあらすじ④
佐藤の正体がわからないまま、合コンは終盤に差し掛かりました。
オーディションの結果を待っている木嶋の電話が鳴ります。
慌てて電話をとる木嶋に『合格しました』と相手が告げます。
喜ぶ木嶋でしたが、それは男性参加者の臼田の悪戯でした。
心無い悪戯に泣く木嶋。
デリカシーの無い臼田を加藤や江川がなじります。
臼田は素直に謝罪し、その場は収まりますが、アルコールがまわった木嶋が佐藤のことを不細工と呼び、悪態をつき始めます。
佐藤は失礼な木嶋の言葉に怒ることなく、余裕の対応を見せますが、さっき起きた首折り殺人の犯人が自分だったらどうしますか?と物騒なことを言い出します。
みな硬直し、緊張が流れますが、それは佐藤の冗談でした。
虚を突かれた面々は、緊張がほどけ笑顔になり、合コンは終わりを迎えます。
二次会はなく、皆で駅までの道を歩いていた時、楽器店がありました。
佐藤は中に入っていき、おもむろにピアノを弾き始めました。
佐藤の見事な演奏に尾花たちは呆気にとられます。
佐藤は、天才と名高い人気ピアニストだったのです。
井上と佐藤はたまたまトイレで遭遇し、普通の人が送る日常を生きてみたいという佐藤の希望で、コンサートを投げ出し、人生で初めての合コンに参加していたのでした。
首折り男のための協奏曲 を読んだ読書感想
今回ご紹介した『合コンの話』は首折り男にまつわる短編7編の最後のお話です。
首折り男・大藪は一瞬しか登場せず、男女6人の心理戦を軸に物語は進んでいきます。
正体不明の佐藤の存在や、女性幹事の加藤の井上に対する復讐心、オーディション結果を待っている木嶋の思惑、残念なイケメンの臼田、二人きりになった時の元カノ・江川の変わりようが面白く、合コンが終わる物語の終盤で判明する佐藤の真の姿にあっと驚く仕掛けになっています。
ミステリーの不穏な空気で進行しつつ、読み終わった後は優しい気持ちになれる作品になっています。
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