【ネタバレ有り】ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:宮津大蔵 2014年4月に廣済堂から出版
ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚の主要登場人物
多々良源蔵(たたらげんぞう)
宝塚歌劇団の生徒監
サンバ
月組生徒
原口芳樹(はらぐちよしき)
新人の大道具さん
鍋島浩(なべしまひろし)
制作(労務・人事)担当
ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 の簡単なあらすじ
宝塚歌劇団・各組の生徒監で父親のような存在の男、大道具を制作する男、退団する時期を告げる男など、女性ばかりの劇団を裏側で支える男たちの物語を全6話で紹介しています。歌劇団を知らなかった男たちが、タカラジェンヌたちを見守り奔走する姿が描かれています。
ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 の起承転結
【起】ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 のあらすじ①
ここに描かれている男たちは、宝塚歌劇団を知らない、または全く興味がないところから、後々には宝塚歌劇団を支える男になって行く物語です。
登場人物でも紹介した生徒監・多々良源蔵は、阪急電鉄の社員で鉄道マンとして定年まで勤めた男で、タカラヅカには全く興味がなく定年後は嘱託として駅員勤めを希望していましたが、会社から宝塚歌劇団へと行ってくれとの打診を受けて行くことになりました。
また、宝塚ファミリーランドへ就職し、「タカラヅカカゲキ以外の部署ならどこでもいい」と言っていたにもかかわらず、見事(?)宝塚歌劇団の大道具へと配属された原口芳樹や本社人事部で長年勤めた鍋島浩が人事異動で宝塚歌劇団へとやってきます。
鍋島が着任後に知ったのは、元鉄道マンだった男、元ホテルマンだった男、元百貨店マンだった男など、みな全く歌劇団と関係のない畑違いところからやってきていることでした。
男たちは戸惑い、悩みながら自分に与えられた職務を果たすべく邁進する姿は潔く、実にカッコよく素晴らしいです。
【承】ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 のあらすじ②
もともと宝塚歌劇団に何の興味もなかった彼らでしたが、仕事に対しての意識はかなり高いので、いざ仕事となれば全身全霊をかけて取り組む姿が実に男らしく表現されています。
最初は戸惑ってばかりいる男たちでしたが、生徒監として娘と同じ世代の女性たちとの関わり方を模索する姿は、応援せずにはいられません。
また原口は、彼女たちと年齢が近く、ふとしたことから彼女たちの一人と関わりができます。
彼女たちが「このドアがもう少しスムーズに開くようにして欲しい」というような要望をフットワーク軽く修理したり、彼女たちから「お客様が喜び驚くような道具を作って欲しい」と提案されると、日々考え研究し彼女たちの希望を現実のものへと作り上げます。
鍋島は本社人事部で培った経験から、彼女たち一人一人の適材適所を見出し、そこで一番きれいな花を咲かせるようにするのです。
時には、彼女たちの引き際をも見極めます。
彼女たちが一番輝いているときに退団を促すのです。
つまり一般企業でいうところの肩たたきです。
【転】ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 のあらすじ③
男たちは、彼女たちと少しずつ打ち解けて関わり方が深くなって行くうちに、親子のように、兄妹のように、そして親友のような見えない絆が生まれていきます。
男たちは、彼女たちが懸命に練習しライバルと競い合い、時には助け合い、自分を高めようとする真摯な姿に心を打たれます。
大道具の原口は、ある日、自分が作ったものが舞台に使えるか彼女たちの意見を聞こうと思い、ある場所へ行きます。
そこでは、彼女たちが喧嘩のシーンを練習しています。
原口は喧嘩なれしている経験から、彼女たちにパンチやキックの仕方を伝授します。
そうやって彼女たちとの信頼関係が舞台へと息づいて行くのです。
そんな男たちは、彼女たちが入団してから卒業するその日まで、陰になり日向になりながら見守り支えて行きます。
時には、厳しいことを口にすることもありますが、それは男たちの愛情が言わせているのです。
彼女たちもまた、その言葉を愛情として受け止め、真剣に向き合い、一つの舞台を最高のものにするために、男たちと彼女たちは一緒に戦っているのです。
そして、男たち自身が宝塚歌劇団の一員としての道を発見して行くのです。
【結】ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 のあらすじ④
なんの興味もなく「なんで俺が」と思って関わってきた男たちは、いつしか100年続く伝統のある宝塚歌劇団とそこで戦う彼女たちを愛し誇りに思うようになります。
卒業を促した男は、彼女たちこそ一番輝いている時期に卒業したいと願っていることを知ります。
そんな彼女たちの思いに胸がいっぱいになり、涙します。
そして、彼女の願いをかなえるべく、生徒監の男へと引き継ぎます。
引き継がれた男もまた、舞台を作り上げる男へ引き継ぎます。
そして、男たちは彼女の思いを舞台へと導くのです。
彼女たちは、そんな男たちの支えに感謝し、「お父ちゃんありがとう」と言って卒業していきます。
卒業した後も、彼女たちは度々宝塚歌劇の舞台を観劇しに来ます。
その度に男たちへの挨拶も欠かしません。
「私の子供です」と報告する彼女、「私の旦那です」と紹介する彼女、近況報告する彼女など様々な報告を嬉しそうに聞く男たち。
そんな男たちは、タカラジェンヌを支えるお父ちゃんたちなのです。
ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚 を読んだ読書感想
初めて読んだ時は、宝塚歌劇ファンのための作品かと思って読んでいましたが、読み終えた今では宝塚歌劇団を知らない人たちにも薦めたいと思いました。
自分が置かれた状況の中で自分なりに努力をし、前を向いて歩いていくという人生の参考書のような内容です。
現実社会では、どんな仕事でも努力は必要ですし、自分が希望しない部署に配属されることもあるでしょう。
まさにそんな男たちを描いていて、これから就職して行く若者たちや、行き詰ってしまった人たちへの道しるべとなるような作品で、宝塚歌劇団を知らなくても、物語に引き込まれていくこと間違いなしです。
ただ、宝塚歌劇団の男役さんが卒業する際のイメージが描かれたのジャケットがかかっているので、男性が読むのは恥ずかしいと思かもしれませんが、ブックカバーを付ければ大丈夫です。
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