監督:是枝裕和 2023年6月に東宝 ギャガから配給
怪物の主要登場人物
麦野早織(安藤サクラ)
本作の主人公。クリーニング屋に勤めながら、夫を亡くし女手一つで湊を育てています。
保利道敏(永山瑛太)
湊の担任。プロポーズした恋人がいます。挙動不審なタイプ。
麦野湊(黒川想矢)
早織の子ども。小学生。自分はお父さんみたいにはなれないと思っています。
怪物 の簡単なあらすじ
シングルマザーの早織は、湊のことを亡くなった夫の分まで頑張って育てています。
湊の様子がおかしいと感じた早織が話を聞くと、湊は担任から暴言と暴力を受けていると説明します。
早織は、学校に事実確認に行きますが、校長及び他の先生たちは平謝りするだけで、真実が見えてきません。
しかし、担任の保利の言い分は、湊の方がクラスメイトをいじめているというのです。
怪物 の起承転結
【起】怪物 のあらすじ①
長野県の高台に住む母子2人暮らしの麦野家。
ある日、ガールズバーの入る雑居ビルが火災となり二階のベランダから見る母・早織と息子の湊です。
そのガールズバーに湊の担任・保利が出入りしていたと噂になりました。
その後、早織は湊の様子がおかしいと感じます。
突然自分で髪を切ったり、靴は片方だけになり、水筒から泥がでてきましたが、湊は心配する早織をはぐらかします。
亡くなった父の誕生日に仏壇にケーキを供えます。
早織は、湊にお父さんに近況報告や悩みがあったら話なさいと勧めます。
湊は、話したいことがありそうなものの早織に聞かれたくないのか、話すことをためらうのでした。
後日、帰りの遅い湊を心配した早織は、友達の証言を元に探します。
すると、「怪物だれーだ」という声が聞こえ、湊は山の中の秘密基地の様な場所を越えたトンネルの中にいました。
帰り道、早織は湊が幸せな家庭を持つまで頑張ると宣言。
しかし、湊は走っている車のドアを開けて外に投げ出されてしまいました。
幸い怪我は大したことなく、念のため頭の検査しましたが異常なしでした。
【承】怪物 のあらすじ②
怪我をして帰ってきた湊。
話を聞くと、担任・保利にやられたといいます。
そして、「お前の脳みそは豚の脳みそ」だと暴言を吐かれたとも言うのでした。
事実確認のため、学校に向かった早織。
校長先生は、話を聞くだけ聞いて席を外してしまいました。
他の先生の話によると、校長先生は孫を亡くしたばかりだということでした。
また後日話し合いのために学校に行く早織でしたが、校長や先生方は平謝りするばかりで、保利も歯切れの悪い話し方で、早織はそういうことを聞きたいわけではないとイラつきます。
何度も何度もやってくる早織は、ついに保利に対して「ガールズバーに通っている」と暴言を吐きます。
そして保利も「麦野くんは星川依里くんをいじめている。」
と告白。
早織は、事実を確かめるために依里の家を訪ねます。
学校から帰って来た依里は、早織を家に上げます。
その家には大人の姿はなく、依里が早織に水を出してくれて学校を休んでいる湊を心配してくれました。
早織が、湊がいじめているのか?と訊ねると依里は、麦野くんにはいじめられたことは無いと答えるのでした。
早織は、依里の腕にアザがあることに気がつきます。
ある日、湊が階段から落ちたと連絡が入り学校にかけつけると、子ども達から保利が追いかけたためだと聞きます。
校舎には、管楽器の音が鳴り響いていました。
台風の夜、早織と湊は窓に段ボールを貼り備えていました。
朝方、湊が居なくなっていることに気が付く早織。
外から、麦野くーんと叫ぶ声が響いているのでした。
【転】怪物 のあらすじ③
ガールズバーが入る雑居ビルが火事になった日。
保利は、恋人・ひろなと出かけていました。
夜遅くに野次馬と化した子ども達が街を出歩き、保利は注意をします。
学校で、湊たちのクラスの担任となった保利は、生徒に面白い話をしようと考えていましたが、他の先生にその話はストーカーっぽいと却下されます。
保利は、ちょくちょく依里が嫌がらせを受けている場面に遭遇しました。
その側には、いつも湊がいました。
保利が依里の家に行くと父親が酔っぱらって帰ってきて、依里のことを怪物だといいます。
依里の母は出て行ってしまったということです。
そんな父に、保利は依里はとてもいい子だと話します。
ある日、湊がキレて友達の持ち物を投げてしまうことがあり、保利は湊にみんなに謝るように促します。
同じ頃、湊が猫をイジメていたところを目撃した女子生徒から保利は相談を受けていました。
そのことを他の先生の前で証言して欲しいとお願いすると、女子生徒が「そんなことを言っていません。」
と手のひらを返します。
ムキになって女子生徒を問い詰める保利を学校はかばいきれなくなり、保護者との説明会を開き謝罪させます。
保利は、記者に写真を取られ週刊誌に載ってしまい恋人・ひろなも離れていってしまいました。
マンションに嫌がらせまでされて、納得いかない保利は、学校に行き湊を追い詰め、逃げた湊は階段から落ちてしまいます。
学校の屋根から飛び降りようとした保利でしたが、管楽器の音で我にかえるのでした。
家で書類を整理する保利は、依里の作文の頭文字が「むぎのみなとほしかわより」となっていることに気が付いて、湊と依里は仲が良いことに気が付きます。
湊の家に謝罪に行った保利でしたが、湊の姿はなく、早織と一緒に探しに行きます。
保利は、秘密基地に行く早織についていくと台風のせいでバスが横たわっていました。
中をみると、湊と依里のレインコートだけが見つかりました。
【結】怪物 のあらすじ④
背が低く、色白で女子よりも可愛い顔をしている星川依里くんは、男子生徒のからかいの的でした。
湊は、一緒にからかったりしないものの、かばうこともしませんでした。
しかし、2人きりになった時は話します。
でも、みんなの前では話しかけないように釘を刺すのでした。
そんな湊の髪を依里は撫でます。
戸惑った湊は、家で自分の髪を切るのでした。
しかし、2人はどんどん仲が良くなり、放課後は依里から教えてもらった廃バスのある秘密基地で「怪物だれだ」で遊びます。
依里は自分の父から「お前の脳みそは豚の脳みそだ」と言われてると聞かされるのでした。
仲が良くても湊と依里は学校では口を聞きません。
イジメをかばえないストレスで湊は、クラスでキレてみんなの持ちものを投げつけてしまいます。
ある日、いつものように廃バスで遊んでいると依里から転校すると聞かされます。
居なくならないでとすがる湊を依里は抱きしめます。
その日から湊は気まずくなっていきます。
ある日、いつものようにクラスで依里がイジメられていると、湊は依里をかばうように依里とケンカをするのでした。
それを知った保利は、ケンカをなかったことにしてくれました。
台風の日、湊が依里の家に行くと、父から虐待された依里が風呂場でぐったりしていました。
助け出した湊は、嵐の中の廃バスに向かいます。
バスから抜け出した2人は、生まれ変わったのかな?と山を駆け抜けるのでした。
怪物 を観た感想
怪物は、思い込む心にあると感じます。
勘違い、正義、愛情など全て怪物となって人の心に渦巻くのです。
頑張り屋の母親が、大事な息子を守るためにモンスターペアレントになり、教育に信念がある校長は、己を守るために罪を夫に被せ、保利もよく確認せずに湊をイジメの首謀者だと思ってしまいます。
しかし、男は男らしく女性は結婚で幸せみたいな思い込みが、湊と依里を傷つけてしまうのです。
坂元裕二さんが脚本を書いたことで、いつもの是枝作品とは少し違うテイストになっています。
この映画の終わり方はモヤモヤすると言われていますが、いつもの是枝作品に比べると明るい終わり方でした。
最後、どうなったのかは観ている人にゆだねる系ですが、最悪な結論でも湊と依里は幸せそうに見えました。
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