監督:松居大悟 2022年2月11日に東京テアトルから配給
ちょっと思い出しただけの主要登場人物
照生(池松壮亮)
けがにより、夢をあきらめた元ダンサー
葉(よう)(伊藤沙莉
女性タクシードライバー
さつき(大関れいか)
葉の親友
康太(屋敷裕政)
葉が合コンで出会う男性
フミオ(成田凌)
行きつけのバー「とまり木」の常連客
ちょっと思い出しただけ の簡単なあらすじ
ケガによってダンサーの夢をあきらめた、照生と、女性タクシードライバーの葉。
運命的な出会いをした二人はやがて付き合うようになりますが、やがて別れが訪れます。
二人に残ったのは夢のようにお互いを愛して過ごした愛おしい6年間の思い出でした。
二人の出会いから別れを、同じ7月26日だけを振り返る、印象的なラブストーリー。
ちょっと思い出しただけ の起承転結
【起】ちょっと思い出しただけ のあらすじ①
2021年7月26日朝起きて、照生は植物に水をあげました。
そしてラジオにあわせ、体操をします。
家からでた照生はいつもベンチに座っている男が邪魔にされているのを見かけます。
照明助手をしている照生は、職場の劇場につきました。
その日は舞踊の公演があり、白い衣装で踊る女性を照生はてらしました。
公演後、照明器具を片付けた照生は、ステージの上で裸足になり、ゆっくりと踊り始めました。
一方、タクシードライバーの葉はミュージシャンを乗せていました。
ミュージシャンはコロナ禍で事務所が危ないのでは、という心配をしていました。
2020年7月26日照生は自室でリモート打ち合わせをしていました。
葉は、自分のタクシーに透明な飛沫防止シートを張り付けていました。
コロナ感染症は確実に日常生活を脅かしており、同僚の運転手たちは終息を待つしかないと力なく話しているのでした。
2019年7月26日目覚めた照生は朝のルーティンを行いますが、その時茶色のバレッタが出てきました。
昼間、床屋に行った照生は長い髪を切りました。
バレッタはもう必要なかったのに、必ずいつももっていました。
夜、照明でミスを犯し、照生は先輩に怒られます。
その後、照生は町で後輩の泉美に声を掛けられ、一緒に「バーとまり木」に行きます。
ケガでもうダンサーをしていないことを知り、泉美は驚きます。
その後はみんなで気分よく飲みました。
その頃葉は合コンに参加していましたが、ノリについていけず外で煙草を吸いました。
そしてライターを貸してくれた男・康太に押されるままに連絡先を交換します。
そのまま流されるように康太と一夜を共にしてしまう葉。
康太は目覚めると「一生幸せにするんで」と調子のよいことを言いだしましたが、葉は笑いながら煙草を吸いました。
【承】ちょっと思い出しただけ のあらすじ②
2018年7月26日怪我をした照生は、ダンススタジオでバーにつかまってリハビリを行います。
浮かない顔で運転する葉は、客の小学生に励まされて複雑な表情を浮かべました。
練習後、照生は、仲間に医者からもうダンスは無理だと言われたことを涙目で打ち明けます。
仲間たちも動揺しますが、照生を気遣っていました。
外に出ると葉が照生を迎えに来ていました。
葉は2週間も連絡をくれなかった照生を責めました。
葉は照生のことをとても心配し、どんな照生でも支えたいと伝えます。
しかし照生はこんな自分のことは葉は好きではない、自分も自分のことがわからないから整理してから会いたかった、といいます。
お互いの思いはすれ違い、言い争いがエスカレートしていきました。
葉は「もういい」と照生にケーキを渡し、タクシーから降ろして車を出します。
照生は追ってこず、葉はそのことにもまた腹を立てます。
照生は道行く人々を眺め、一人で葉から渡された誕生日ケーキを食べるのでした。
【転】ちょっと思い出しただけ のあらすじ③
2017年7月26日葉と照生は一緒に寝ていました。
朝照生が目覚めると、枕元に誕生日プレゼントがありました。
葉がくれたのは茶色のバレッタでした。
照生は長い髪をバレッタで止めるとモーニングルーティンをこなします。
その後二人は出かけると、照生のバイト先の水族館に行きます。
水族館は休館日でしたが、二人は忍び込んで誰もいない水族館デートを楽しみます。
大きな水槽の前で抱き合い、幸せなキスをする葉と照生は、まるで世界に二人だけのようでした。
その後、葉のタクシーで照生と葉は大好きな映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』のセリフをまねて盛り上がります。
葉への想いを確信する照生は、二人でケーキを食べながら「来年の誕生日、プロポーズしよ」とつぶやきます。
もう一度確認しようとする葉をはぐらかし、二人はじゃれあいながら愛し合います。
次の日、照生が泉美からプレゼントをもらっているのを目撃し、ショックを受ける葉。
すれ違ったふたりでしたが、照生は葉への想いを伝え、葉もそれを受け二人は何度もキスをしました。
【結】ちょっと思い出しただけ のあらすじ④
2017年7月26日葉が親友のさつきの舞台を見るためにやってきました。
打ち上げに誘われた葉でしたが、所在なさげです。
そんななか、葉に照生が舞台の感想を聞いてきます。
舞台の感想を率直に伝えた葉でしたが、その後打ち上げ部屋を後にします。
オートロックで締め出されてしまった葉でしたが、照生に助けられ、二人でビールを飲みます。
葉の辛口な評価に落ち込んだと照生は言いますが、ほろ酔い気分の二人はその場で踊りだしました。
そして、2021年。
ミュージシャンの客を劇場前で降ろした葉は暗いステージの上で踊っている照生を見かけます。
照生は気配に気が付き、タクシーをみました。
いつの間にか、日付は午前0時を過ぎていました。
照生はバーのマスターに誕生日を祝ってもらいます。
明け方、家に帰った葉。
そこには赤ん坊をだいた康太がいました。
葉は康太に急に食べてくなってケーキを買ってきたけど、食べるのは後にすると言います。
明け方の町を見つめる葉。
照生も家に帰り、ベランダから昇る朝日を見つめていました。
ちょっと思い出しただけ を観た感想
愛し合った男女の同じ一日を振りかえるだけの映画なんですが、破局後から始まっているのが面白いですね。
もう別れてしまった男女が、徐々に愛し合っていた日々に戻っていく様が新鮮でした。
ジムジャームッシュの映画が印象的に使われており、伊藤沙莉さんが、さながらウィノナ・ライダーに見えちゃいました。
抑えた演技の二人が送る、愛おしい日々がたまらなく切なく悲しい。
今もお互い愛し合っているけど、違う道に進んでしまった二人は二度と会うことはなく、しかし同じ空を見つめるのですね。
見た後もう一度最初から見直したくなってしまう映画です。
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