監督:デヴィッド・O・ラッセル 2022年10月にウォルト・ディズニー・ジャパンから配給
アムステルダムの主要登場人物
バート・ベレンゼン(クリスチャン・ベール)
ニューヨークで退役軍人向けの診療所を開設した医者。戦場で負傷し、右目は義眼。
ハロルド・ウッドマン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)
弁護士。戦場で共に戦ったバートは、互いを守り抜く誓いも立てたほどの親友。
ヴァレリー・ヴォーズ(マーゴット・ロビー)
戦場で負傷兵を手当てした看護師。バート、ハロルドと意気投合し、ハロルドとは恋仲に。現在は神経症を患っている。
ギル・ディレンベック将軍(ロバート・デ・ニーロ)
謎の死を遂げたミーキンス将軍と近い立場にあった元海軍将軍。真犯人をおびき寄せるために、あるイベントで演説を頼まれる。
トム・ヴォーズ(ラミ・マレック)
資産家でヴァレリーの兄。バートたちにディレンベックのことを教える。
アムステルダム の簡単なあらすじ
戦場で出会い固い友情で結ばれた男女3人が、自身にかけられた殺人の疑いを晴らすためにある巨大な陰謀へ立ち向かっていく様を描いた、クライムサスペンス作品。
クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビーら主要キャストに加え、ラミ・マレック、ロバート・デ・ニーロ、テイラー・スウィフトら超豪華なキャストも大きな話題となりました。
元軍人のバートと親友のハロルドは、戦地で世話になったミーキンス将軍の不審死を調べるうちに、ある大きな陰謀へと巻き込まれていきます。
アムステルダム の起承転結
【起】アムステルダム のあらすじ①
第一次世界大戦で負傷し右目を失ったバートは、ニューヨークで病院を開設して退役軍人たちの治療をしながら過ごしていました。
ある日、戦地で知り合った親友で弁護士のハロルドから連絡が入ります。
戦地でお世話になったミーキンス将軍が亡くなり、娘のリズが遺体を解剖して死因を調べてほしいと依頼しているというのです。
バートが医療関係者の旧友イルマと解剖したところ、ミーキンス将軍は毒を盛られていた可能性が高く、他殺のようだと結果が出ました。
それを伝えにリズに会うため、バートとハロルドは約束していた店へ向かいます。
しかし、リズは何かに怯えている様子で、もうこれ以上は調べなくていいと言って急いで立ち去ろうとします。
2人が追いかけますが、突然現れた男に突き飛ばされたリズは車に轢かれて亡くなってしまいました。
「この2人が押した!」と叫んだ男のせいで周りは騒然となり、2人は警察に追われることになってしまいます。
バートとハロルドは必死で逃げながら、戦地で初めて会った時のことを思い出していました。
1918年。
医学生だったバートは妻ベアトリスとその両親からの圧力で戦地に赴き、ミーキンス将軍指揮下の元、部隊を任されていました。
そこで黒人兵士ハロルド、献身的に傷を看てくれた風変わりな看護師ヴァレリーと出会い、固い友情を結びます。
戦後、ヴァレリーの友人のポールとヘンリーに住居を用意してもらい、3人はアムステルダムで共同生活を送ることになりました。
【承】アムステルダム のあらすじ②
ハロルドとヴァレリーは恋仲となり、楽しく自由気ままに過ごす日々。
しばらくしてバートはベアトリスに会うためにニューヨークに戻り、クリニックを開設します。
しかし、そこに退役軍人が出入りするのを嫌った、著名な医師であるベアトリスの父が怒ってバートを追い出しました。
さらに違法な医療行為があったとのことで、バートは逮捕されてしまいます。
アムステルダムにいるハロルドとヴァレリーの元にバートから手紙があり、2人はバートの状況を理解します。
そしてハロルドはアメリカに帰ることを決めますが、ヴァレリーは置手紙を残して姿を消してしまいました。
現在。
警察に追われている2人はバートの自宅に戻り、ベアトリスに事情を説明します。
するとベアトリスが、リズが最後に言った言葉は「ヴォーズ」ではないかと言い出しました。
そして裕福な資産家であるトム・ヴォーズのことを2人に教えます。
2人はヴォーズの元を訪れます。
するとそこにはヴァレリーの姿がありました。
ヴァレリーはヴォーズの妹だったのです。
現在ヴァレリーはてんかんと神経症の薬が手放せなくなっており、バートとハロルドはショックを受けます。
さらにヴォーズと妻リビーはヴァレリーを監視しているようにも見えました。
バートとハロルドは早速ヴォーズにミーキンス将軍のことを聞きますが、ヴォーズはわからないと答えます。
しかし、ミーキンス将軍の戦友で国民的英雄であるディレンベック将軍なら何か知っているかもしれない、と教えてくれました。
【転】アムステルダム のあらすじ③
バートは早速ディレンベック将軍に面会を申し込みます。
一方ヴァレリーとハロルドはリズを突き飛ばした男を邸宅内で見かけ、男を尾行しました。
男は「五人委員会」と呼ばれる組織が活動する強制不妊手術を行う施設に入ります。
ヴァレリーとハロルドはそこで見つかって襲撃されますが、なんとか振り切って脱出し、バートと合流しました。
その後3人はあるホテルに向かい、そこで以前お世話になったポールとヘンリーと再会します。
実はポールとヘンリーはそれぞれアメリカ海軍情報部とMI6の諜報員であり、「五人委員会」なるものがアメリカ政府の転覆を狙っていると教えてくれました。
さらにディレンベック将軍に協力してもらい、陰謀を阻止することを提案します。
バートとハロルドはディレンベック将軍と面会します。
そして、退役軍人を味方につけ、ルーズベルト大統領を退陣に追い込んで新政権の独裁者になってほしいと要請されていることを聞き出します。
そこでバートとハロルドは、退役軍人戦友会でぜひ演説してほしいとディレンベック将軍に頼み込みました。
そこで演説すれば「五人委員会」を炙り出せると考えたのです。
【結】アムステルダム のあらすじ④
戦友会当日、そこには大勢の退役軍人が集まっていました。
ディレンベック将軍は演説を始めます。
しかしその内容は「五人委員会」が用意した退役軍人たちに決起を促すようなものではなく、原稿を完全無視した民主主義を擁護するような演説だったのです。
裏切られた「五人委員会」のメンバーがディレンベック将軍を暗殺しようとしますが、それをバートとハロルドが阻止しました。
そして「五人委員会」の正体が、ヴォーズ夫妻を含むアメリカの実業家たちだということがわかりました。
ヴォーズは世界征服を企む組織の考えに傾倒していて、ムッソリーニ、ヒトラーのような独裁者を立ててアメリカにファシズム政権を樹立させることを画策していたのです。
ミーキンス将軍は演説を断ったため殺されていたのでした。
会場に突入したポールとヘンリーたちによって、「五人委員会」のメンバーらは逮捕されました。
しかしその後すぐに釈放され、報復とばかりにディレンベック将軍の中傷キャンペーンを展開するようになります。
ディレンベック将軍は「五人委員会」の陰謀を証言したのち、故郷へと帰っていきました。
事件後、ハロルドとヴァレリーは国外へと去って行き、バートは自分のこれからの人生を考え直し、ベアトリスとの関係を清算しました。
そして再び診療所を始めたのでした。
アムステルダム を観た感想
ロバート・デ・ニーロ、「ボヘミアン・ラプソディ—」のラミ・マレック、アニャ・テイラー=ジョイなど、名前を聞くだけでもお腹いっぱいになりそうな豪華キャストが多数終結した、見ごたえのある作品です。
戦争や陰謀、ファシズムなど一見重そうに思える内容ですが、クリスチャン・ベールら主要キャスト3人のやり取りや音楽、カメラカットなどの演出がどこかコミカルで、テンポよく物語が進んでいきます。
謎解きミステリーでありながら濃密な人間ドラマが展開され、キャストの魅力と相まってとても楽しく、観終えた後はとても満足感に浸れる、そんな作品でした。
これがほぼ実話だというのがすごいですね。
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