監督:三谷幸喜 2008年6月に東宝から配給
ザ・マジックアワーの主要登場人物
備後登(妻夫木聡)
町のナイトクラブの支配人。町のボスの愛人に手を出し、ボスから命を狙われる。その窮地を脱するべく、奇策を思い付く。
村田大樹(佐藤浩市)
本作の主人公。売れない三流役者だったが、ある日、伝説の殺し屋デラ富樫を演じて欲しいと頼まれる。映画俳優、高瀬充に憧れている。
高千穂マリ(深津絵里)
町のボスの愛人。若いころから町のナイトクラブで働いてきた。ボスを裏切り、備後と関係をもつ。
天塩幸之助(西田敏行)
町を牛耳るボス。愛人の高千穂マリを備後に寝取られる。
長谷川謙十郎(小日向文世)
村田大樹の一番の大ファンであり、マネージャー。村田大樹が引き受けた殺し屋役の仕事に違和感を覚えつつも、マネージャーとしての役割を全うする。
ザ・マジックアワー の簡単なあらすじ
売れない三流俳優の村田大樹は、思ったような役をもらうことができず、不完全燃焼の日々を過ごしていました。
そこへ、町のボスの愛人を寝取り、窮地に追い込まれたナイトホテルの支配人備後が訪ねてきて、伝説の殺し屋デラ富樫役として自作映画に出て欲しいと頼まれます。
村田を伝説の殺し屋デラ富樫本人だと思っている町のギャング達、窮地を脱しようと策を考える備後とナイトホテルの従業員、そして、デラ富樫役を演じきろうとする村田大樹が複雑に絡み合っていきます。
しかし、騙されていたことを知った村田大樹は心が折れそうになります。
村田は再度心を奮い立たせ、仕事仲間達の力を借りて俳優としての大一番を成し遂げます。
ザ・マジックアワー の起承転結
【起】ザ・マジックアワー のあらすじ①
村田大樹は、俳優として思ったような役がもらえず、不完全燃焼の日々を過ごしていました。
依頼が入った役も、全力で臨むものの手ごたえはありません。
そんな村田大樹のもとに、自作映画を制作しようと考えていると名乗る男、備後が訪ねてきます。
備後は、とある町のナイトクラブで支配人をしていますが、その町のギャングのボスの愛人高千穂マリに手を出し、それがボスにバレて殺されそうになっていたのです。
備後はボスに殺されないために、伝説の殺し屋デラ富樫と友達であると、ボスらに出まかせを言いってしまいます。
デラ富樫を連れてくれば今回の事は目をつぶると言われた備後は、デラ富樫について調べ始めますが、なんの手掛かりもつかめず途方にくれてしまいます。
しかし、ある奇策を思い付くのです。
それは、無名の俳優にデラ富樫になってもらうというものでした。
そして、適任の俳優がいないか調べた備後は村田大樹を見付けたのです。
備後は早速村田に会いに行き、村田の出ていた映画について、とても褒め、村田のような役者にぜひ出てもらいたいと頼み込みます。
初めは無名の備後の作品に出ることを断った村田でしたが、諦めずに訪ねてくる備後の心意気に後押しされ、ついに、映画に出ることを引き受けます。
備後の製作する映画のあらすじや村田の役を聞き、一抹の不安を感じつつ、村田は「俺は、この作品に掛けているんだ!」と自分を鼓舞しながら撮影に臨み始めたのです。
【承】ザ・マジックアワー のあらすじ②
備後は、村田大樹に撮影の概要だけを伝え、ついに、町のギャングのボス天塩との対面の場を作ります。
撮影をすると聞き張り切った村田は、殺し屋役として必要になりそうな小道具を用意し、化粧もして撮影に臨みます。
ボスの部屋の前のベンチに村田と備後は座ると、村田は嘘がバレないようにという緊張と不安から、余計なことはしないようにと村田に頼みつつ、ボスの部屋の扉をノックしまして2人で部屋に入っていきます。
部屋に入った村田は、村田自身が描く伝説の殺し屋デラ富樫になりきり、ボスの机に座る、置いてあるナイフを舐める、隠し持っていた銃を向ける、窓から飛び降りるなどの数々の行動に出ます。
その度に、生きた心地のしない備後は「カーット!!」と叫び、村田の演技を止めに入ります。
村田はその都度備後に注意され、反省をしますが、ボスの部屋に入ると、また、同じようなことを繰り返します。
そして、この村田の演技に圧倒されたギャングのボスらは、村田が本物のデラ富樫であると信じ、別の本物のギャング達との闇取引に村田を連れて行ったのです。
しかし、相手ギャングは紙で作った金を用意して天塩商会を騙そうとしていました。
村田が取引前にカバンの中身を出したことが功を奏し、手柄を立てた村田は、どんどんデラ富樫としての信頼をボスらから受けていったのです。
【転】ザ・マジックアワー のあらすじ③
デラ富樫としての信頼を深めていった村田に対し、マネージャーの長谷川は備後のしていることを怪しみ始め、この仕事はやめた方がいいと村田に言い始めます。
しかし、デラ富樫役としてやりがいを感じている村田は相手にしません。
そんな時、天塩商会の会計係が秘密裏に警察に裏帳簿を提出しようとしていることを知ったボスたちは、村田に会計係を殺すように命じます。
ボスの愛人高千穂マリに誘われて一緒に町から逃げようとしていた備後がそのことを知ると、いてもたってもいられず、暗殺をしようとしている村田のもとに駆け付けます。
備後の「カーット!!」の声で会計係に銃を向けていた村田も演技を止めて銃をおろします。
そして、備後は会計係を警察に送り届けますが、町の警察トップはボスの幼馴染であり、備後と村田がしたことが筒抜けとなっていたのです。
備後、村田、会計係の男は地下に監禁され、両足をセメント詰めにされます。
村田が抵抗をすると、ギャングの下っ端に殴られ、ようやく、村田は今までのことが備後の嘘だったと気付くのです。
【結】ザ・マジックアワー のあらすじ④
備後の嘘に気付いた村田を含めた3人を助けたのは、ボスの部下の黒川でした。
黒川は、村田に闇取引の際に助けられた恩を感じていたのと同時に、村田のことを本物のデラ富樫だと信じていたのです。
黒川に助けられた村田は帰り支度をします。
備後はボスの元に戻った高千穂マリを助け出すための作戦を考え、村田に力を貸してほしいとお願いします。
しかし、村田は備後の願いを断り、帰ろうとしたところで、大事な宝物である毛布の切れ端を映画館に忘れたことに気が付きます。
映画館に取りに戻り、無事に村田が毛布の切れ端を見付けると、人が入ってきて自分達の撮ったCMの映像がおかしいと確認をし始めます。
そこには、村田がデラ富樫として演じてきた場面が収められていたのです。
村田はその映像を見ながら感極まりました。
そして、ホテルに戻り、備後の作戦に協力をすることにしたのです。
村田は、俳優をする中で信頼関係を結んできたスタッフ達を町に呼び寄せ、遂に、人生一番の大芝居に打って出たのです。
その頃、本物の伝説の殺し屋デラ富樫は、自分を語る者がいることを知り、殺そうと動き出します。
しかし、村田とスタッフらの抜群の演技に尻尾をまいて逃げてしまいます。
そして、村田の大芝居に心をかき乱され、全てに絶望を感じているボスを見ていた高千穂マリは、ボスへの愛情が芽生え、自分が一生この人を支えると、ボスとマリの二人で旅立ってしまうのでした。
残された備後はこの結末に肩を落とし、村田は人生一番の大芝居に達成感をもち、ボスの部下黒川は、村田の弟子になりたいと願い出るのでした。
ザ・マジックアワー を観た感想
突拍子もない話の展開と、村田演じるデラ富樫の所業の数々にお腹を抱えて笑うほど面白い作品です。
特に、デラ富樫がボスと対面するシーンは何度見ても笑いがこみ上げてくる大好きなシーンの一つです。
何も考えたくない時、仕事や人間関係で辛いことがあったとき、気分を明るくしたいときなど、村田の一生懸命さに励ましや元気をもらえ、まるで、村田大樹が大好きな高瀬充の映画を繰り返し見るかのように、私も何度も繰り返し見てきました。
ザ・マジックアワーを見ると、肩の力が抜け、元気や勇気、頑張る力を与えてもらえるので、私にとって特別な作品です。
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