監督:M・ナイト・シャマラン 2021年8月に東宝東和から配給
オールドの主要登場人物
ガイ・キャパ(ガエル・ガルシア・ベルナル)
キャパ家の主で、保険数理士として働いている。妻プリスカから離婚を申しだされたが納得していない。
プリスカ・キャパ(ヴィッキー・クリープス)
ガイの妻で子供たちの母親。博物館で働いている。身体に腫瘍があり、それもあってガイに離婚を申し出たが、実は他に男性がいる。
トレント・キャパ(アレックス・ウルフ:15歳、イーモン・エリオット:中年)
ガイとプリスカの息子。いろんな人に職業を質問するのが好きな6歳の少年。
マドックス・キャパ(トーマシン・マッケンジー:16歳、エンベス・デイヴィッツ:中年)
トレントの姉で11歳。しっかり者だが最近の両親の様子に不安を感じている。
チャールズ(ルーファス・シーウェル)
ガイたちがビーチで出会った医者の男。少々挙動がおかしい。
オールド の簡単なあらすじ
「シックス・センス」「サイン」など、観るものに衝撃を与える作品を作り上げてきたM・ナイト・シャマラン監督によるスリラー作品。
あるプライベートビーチに足を踏み入れた数組の家族は、そこが時間の流れに異常のある地帯だと気づきます。
たった1日で約50年も歳を取ってしまうまさに絶望のビーチからなんとか脱出を試みますが、一人、また一人と失敗していくことに…そしてそのビーチにはある陰謀が関係しているのでした。
オールド の起承転結
【起】オールド のあらすじ①
ガイ・キャパと妻プリスカ、娘のマドックスと息子のトレントは、あるリゾートホテルへとやってきました。
ウェルカムドリンクやドリンクバーでもてなされます。
そこで子供たちはホテルのマネージャーの甥であるイドリブという少年と仲良くなりました。
案内された部屋もとても豪華で、ガイはホテルの備品を見て、ここはウォーレン製薬の系列会社が運営しているホテルだなとつぶやきました。
ガイは保険数理士なので詳しいのです。
早速キャパ家族はビーチに出ました。
トレントはイドリブと、ビーチにいる人たちに名前と職業を聞いて遊んでいました。
「ソフィア、シェフ」「グレッグ、警官」みんな子供の遊びに笑顔で答えてくれます。
その夜、ガイとプリスカは離婚について話し合っていました。
プリスカには腫瘍があり、それもあって離婚を言い出したのですがガイは納得していません。
二人の口論は子供たちにも聞こえていました。
トレントはイドリブからもらった手紙を取り出し、そこにある暗号を解読して嬉しそうに笑います。
ーとあるビーチ。
一人の男性が海を見つめています。
女性が水着を脱ぎ、裸で海へと入っていきました…朝、ホテルではクリスタルという女性が6歳の娘カーラと朝食を摂っていました。
夫チャールズと義母も一緒です。
キャパ家も食事を楽しんでいました。
そこへマネージャーが現れて「おすすめのプライベートビーチがありますよ」と一家にすすめ、家族は行くことにしました。
その直後、客の黒人女性がてんかんの発作を起こして倒れてしまいます。
医者であるチャールズと女性の夫が介抱し、発作は間もなくおさまりました。
プライベートビーチへ向かうバスにはキャパ家族の他に、医者のチャールズ一家も乗っています。
間もなくバスは停まり「迎えは5時です」と大量の食糧などを手渡してさっさと帰っていきました。
一行は垂直に切り立った狭い崖の間を進んでいきます。
すると綺麗なビーチが姿を現しました。
【承】オールド のあらすじ②
ビーチには先客の男がいました。
「ラッパーのミッドサイズ・セダンだ!」とマドックスは興奮します。
ビーチには錆びたナイフなどが大量に落ちていて、プリスカは危ないから触らないようにと子供たちに忠告ます。
その後マドックス、トレント、カーラが海で遊んでいると、全裸の女性の死体が流れてきました。
驚く一行に、セダンは「泳ぎに出た彼女をずっと待っていた」と言います。
鼻からは鼻血が流れ出ていました。
チャールズはセダンが女性を殺したのではないかと疑います。
そこへ遅れて一組の夫婦がやってきました。
あのてんかんで倒れた女性・パトリシアと、夫のジャリンです。
2人は死体に驚き、ジャリンは電波のあるところで連絡してくると、来た道を戻って岩の間に入っていきました。
しかしすぐに頭に圧力がかかったようになって気絶してしまいます。
その間、子供たちはずっと食糧を食べ続けていました。
トレントは山の上で何かが光っていることに気づきます。
プリスカは子供たちが大きくなっているのを見て目を疑います。
そしてチャールズに診てほしいと頼みますが、その時チャールズの母親に異変が起こり、そのまま亡くなってしまいました。
チャールズは助けられなかったことに茫然とします。
小さなビーチに2人の死体。
明らかに異常なことが起こっていました。
さらにジャリンとパトリシアは子供たちに年齢を聞きますが、それが見た目と合わず困惑します。
突然セダンが岩の間に向かって走っていきました。
「やはりあいつが!」と怒ったチャールズが追いかけていきますが、2人はジャリンの時と同じように気絶してしまいます。
どうやらビーチから離れようとすると気絶するようです。
極限状態に置かれたチャールズは突然セダンをナイフで切りつけました。
みなが止めに入り、チャールズも謝りますが、傷口がすぐにふさがっていきます。
セダンはここには病気療養で訪れたこと、彼女も病気だったことを告白しました。
【転】オールド のあらすじ③
みんな集まって話し合いました。
セダンは血液が固まりにくい病気で、死んだ彼女も多発性硬化症だったと言います。
クリスタルは、チャールズのストレス解消のために来たと言いました。
プリスカは小さな良性の腫瘍があることを告白しました。
看護師であるジャリンが触ると大きな腫瘍が手に触れます。
その時プリスカが倒れてしまいました。
そこで簡易の手術をすることになりました。
チャールズは執刀しながらわけのわからないことを言っています。
なんとかメロン大の腫瘍を摘出することに成功し、プリスカも目を覚ましました。
その後セダンが死体が白骨化している事に気づきます。
博物館勤務のプリスカはこれは異常だと指摘し、このビーチでは通常の1年が30分ほどだと結論付けました。
その頃トレントとカーラはテントの中に一緒にいました。
探していた大人たちの前に現れますが、カーラは妊娠してお腹が大きくなっています。
大人たちが混乱する暇もなくすぐにカーラは出産しますが、このビーチは赤ん坊には耐えられず、すぐに死んでしまいました。
カーラとトレントは取り乱し、チャールズはさらに情緒不安定に。
クリスタルも低カルシウム血症が悪化して苦しんでいました。
そんなビーチの様子を、山の上から誰かが見ています。
プリスカは病気の人を選んで連れて来ているのではと推測します。
その後、チャールズがセダンをナイフでめった刺しにして殺してしまいました。
ナイフを取り上げて、みなチャールズから距離を取ります。
ジャリンは海を泳いでいきますが、途中で気絶したのか死体で流れ着き、カーラも脱出のため崖を登りますが、転落死してしまいます。
さらにてんかんの発作を起こしたパトリシアも亡くなってしまいました。
ガイは目がぼやけるようになり、プリスカも耳が遠くなります。
ガイはプリスカの不貞を知っていましたが、プリスカは「あなたと一緒にいたい」と穏やかに話し、二人は和解しました。
【結】オールド のあらすじ④
夜になり、トレントとマドックスは以前ここを訪れた人たちのノートを見ながら、全ては周りを取り囲む鉱物のせいだと考えていました。
ここにいた人の名前や住所もたくさん記されています。
ガイとプリスカに、ナイフを持ったチャールズが襲いかかってきました。
ガイはかわそうとしますがほとんど目が見えません。
プリスカは慌ててその場を離れます。
その頃洞窟にいたクリスタルは低カルシウム血症が進行し、岩に体をぶつけながら歪んだ姿で息絶えてしまいました。
プリスカは錆びたナイフでチャールズを刺し殺します。
こうして残されたのはキャパ家だけになりました。
しかし両親も順番に老衰で亡くなります。
翌朝、トレントとマドックスも中年になっていました。
トレントはイドリブから手紙をもらっていたことを思い出します。
そこにあったのは「叔父さんはサンゴが好きじゃない」という言葉。
二人は沖のサンゴを通れば脱出できるのではないかと考え、サンゴへ向かって泳ぐことにしました。
しかし途中、マドックスの服がサンゴに引っかかってしまいます。
山の上ではあのバスの運転手が海上に出てこない二人の姿を確認し、ホテルへと戻っていきました。
ホテル奥の研究所では、マネージャーが研究者と話しています。
実は病気の人に新薬を飲ませ、長い時間がかかる治験時間を短縮するためにビーチへ連行していたのでした。
効果を確認し、次の治験者を迎える準備を始めました。
そしてホテルに到着した夫婦に、スタッフがウェルカムドリンクを手に近づきます。
そこにトレントとマドックスが現れ、マネージャーは顔色を変えました。
あの後二人は無事脱出できたのです。
さらにあのノートを警官だと覚えていた男性に手渡し、全ては白日の下にさらされることになりました。
ー警官が「伯母さんが迎えてくれる」と姉弟に告げますが、トレントが「50代の姿で現れたら驚くだろうな」と言い、マドックスは「大丈夫よ」とつぶやきました。
オールド を観た感想
M・ナイト・シャマラン監督らしいなと感じられる本作は、絶望が覆いつくすサバイバルスリラーに仕上がっています。
なんで?だらけの展開と、どうあがいても脱出できないという絶望感が漂い、じわじわと恐怖が襲ってきました。
演出も見事で、本当に目がかすんでいるような映像、耳が遠くなったということで突然やってくる静寂など、不安と恐怖をあおるのはさすがです。
でもスリラーだけではありません。
親子愛や赦し、そして年老いて死んでいくということまでも描かれているのです。
かなり特殊な状況であるのは間違いないのですが、ガイとプリスカの老いていく姿は胸を打たれるものがありました。
そしてシャマラン監督は作品の中で少し登場することが多いのですが、本作でも出演しています。
ただしさりげなくではなく、けっこうガッツリとですが。
しかもかなりのキーパーソンです。
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