監督:アレハンドロ・アメナーバル 2002年4月にギャガから配給
アザーズの主要登場人物
グレース(ニコール・キッドマン)
イギリスにある屋敷で、2人の子供と暮らしている。出征した夫は帰ってきていない。子供たちを愛しているが、とても厳格に育てている。
アン(アラキナ・マン)
グレースの娘。光アレルギーで、日光に当たることができない。
ニコラス(ジェームズ・ベントレー)
グレースの息子でアンの弟。アンと同じく光アレルギー。
チャールズ(クリストファー・エクルストン)
グレースの夫で、子供たちの父親。第二次世界大戦に出征したきり帰ってこない。
ミルズ夫人(フィオヌラ・フラナガン)
グレースの屋敷を訪れた、新しい使用人3人のうちの1人。以前もこの屋敷に仕えていた。
アザーズ の簡単なあらすじ
時は1945年。
古い洋館に住む母グレースと子供たち2人は、戦争に行った父親の帰りを待ちわびていました。
子供達には持病があり、日光を避ける暮らしを余儀なくされています。
グレースは神経質になりながらも、子供たちを心から愛していました。
新しい使用人3人を迎えてしばらくすると、屋敷では不可解な現象が起き始めます。
グレースは子供たちを守るためその謎に立ち向かいますが、やがて衝撃の真実を知ることになるのでした。
アザーズ の起承転結
【起】アザーズ のあらすじ①
1945年、イギリス・チャネル諸島のジャージ島にある屋敷に、母親のグレースと娘のアン、息子のニコラスが暮らしていました。
父親のチャールズは出征したままいまだ帰ってきていません。
ある日屋敷に新しい使用人3人が訪ねてきました。
ミルズと、口のきけないリディア、庭師のタトルです。
グレースは3人を連れて洋館を案内して回ります。
実はアンとニコラスには光アレルギーがあり、昼間でも屋敷中のカーテンが厳重に締め切られ、静寂を保つためにすべての部屋には鍵がかけられているという徹底した環境になっていました。
グレースはこの環境を守るよう、3人の使用人にも告げます。
3人はその厳格なルールに戸惑いつつも、従うことにしました。
翌朝、ミルズはアンとニコラスの会話を耳にします。
みんなが家を出てあんなことが起きた、と話すアンに、ミルズはさらに内容を聞こうとしました。
しかしグレースに叱られるのが怖いアンは何も話しません。
そんな中、使用人の求人広告をまだ出していなかったのに3人が屋敷を訪れたことを知ったグレースは、ミルズを呼び出し問い詰めます。
ミルズは、かつてリディア、タトルと共にこの屋敷で働いていたことを打ち明けました。
話を聞いて納得したグレースは、そのまま3人を雇うことを決めます。
【承】アザーズ のあらすじ②
ある日アンの言動に怒ったグレースは、アンとニコラスを引き離して勉強させていました。
しばらくするとニコラスの泣き声が聞こえてきました。
グレースは急いで駆けつけますがニコラスは泣いていません。
アンに訊ねると、ビクターという男の子が「お前の家じゃない」と泣いていると話します。
さらに鍵がかかっているはずの扉が開いていました。
使用人が鍵をかけ忘れたのだと思ったグレースは、ミルズたちを激しく叱責しました。
しかしミルズは鍵を持っていないと否定します。
翌日、上の階でうるさくしているリディアを注意するよう、グレースはミルズに伝えます。
しかししばらくするとまた物音が聞こえ、シャンデリアも揺れだしました。
さすがに我慢ができなくなったグレースでしたが、窓から外にいるリディアとミルズの姿を見かけて愕然とします。
グレースは急いで階段を駆け上がっていきました。
アンからビクターは物置小屋にいると聞き、グレースは物置小屋へ向かいました。
そしてそこで古いアルバムを見つけます。
そこに収められている写真の人物はみな寝ているようでした。
しかしそこへやってきたミルズは、それは遺体の写真だとグレースに告げます。
その後も夜禁じているはずのピアノの音が鳴り響いたりと不可解なことが起こり、いよいよ限界を感じたグレースは、神父に助けを求めるため森の中へと入りました。
するとなんと森の中で夫チャールズを見つけ、グレースはチャールズを屋敷へと連れ帰りました。
再会に喜ぶグレースでしたが、チャールズはふさぎ込んでしまいました。
【転】アザーズ のあらすじ③
翌日、グレースはアンにドレスを着せチャールズに見せようとしますが、アンがいる部屋に入るとそこには見知らぬ老婆の姿がありました。
驚きパニックになったグレースは思わず老婆をたたいてしまいますが、その瞬間老婆はアンの姿になっていました。
グレースは茫然としてしまいます。
そしてチャールズが「あの日何があったのか」とグレースに訊ねました。
グレースは、あの日自分はどうかしていたのだと話します。
翌朝、チャールズは突然別れを告げ、戦場に戻っていきました。
チャールズは別れを告げるために戻ってきていたのです。
しばらくしてグレースは屋敷中のカーテンがなくなっているのを発見し激怒しました。
すべては自分たちを怖がらせて屋敷から追い出すためにしているのだと思い込み、ミルズたち3人を追い出しました。
しかしその後、物置小屋で見つけたあのアルバムの中に、ミルズ、リディア、タトルの遺体写真があるのを見つけてしまいます。
その頃チャールズを探すために屋敷を抜け出していたアンとニコラスも、ミルズたち3人の墓石を発見してしまいました。
ミルズ、リディア、タトルがたたずんでいるのが見えます。
グレースは追いかけてくる3人から逃げるアンとニコラスを屋敷に退避させ、自らはミルズたちと対峙します。
【結】アザーズ のあらすじ④
ミルズは怯えて震えているグレースに、自分で彼ら=アザーズと話すよう諭します。
その頃キャビネットの中に隠れていたアンとニコラスが老婆に見つかってしまい、叫び声をあげました。
それを聞いたグレースが急いで駆けつけると、そこには知らない人間たちと老婆がいました。
老婆はアンに「なぜ、死んでいるのにまだこの家にいるのか」と訊ねます。
グレースはとまどいました。
実はこの老婆は霊媒師だったのです。
ここでグレースは、死んでいるのは自分たちの方だということを悟ってしまいました。
不可解な現象を起こす侵入者だと思っていたのが生者であり、自分たち家族が死者だったのです。
グレースはストレスから子供たちを殺し、自らも命を絶っていたのでした。
そしてあの日帰って来たチャールズも、すでに死んでいたことを悟ります。
今現在の屋敷の持ち主だった生者たちは、ここに霊が棲みついていることを知って屋敷を去っていきました。
屋敷に残ったグレースとアンとニコラスは「ここは私たちの屋敷だ」と繰り返し、佇んでいました。
アザーズ を観た感想
映画を観る前と後でそのタイトルの意味の解釈がガラッと変わると思います。
まさか「アザーズ」がグレースたちだったとは…。
勘のいい人なら気づくかもしれませんが、私は最後まで結末が読めず、それまでホラーだと思っていた作品がここまで覆されるあの感覚は本当に鳥肌が立ちました。
ホラーというよりは切なくて悲しいドラマです。
子供たちの病のためほとんど明るさのない映像ですが、それがまた美しい。
規律を重んじる厳格な母親を演じたニコール・キッドマンがまさにはまり役で、これもまた美しいです。
多少恐怖演出はありますが、ホラーは苦手だという人にもぜひ観てほしいですね。
悲しい余韻の残る作品でした。
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