監督:行定勲 2020年7月に吉本興業から配給
劇場の主要登場人物
永田(山�ア賢人)
本作の主人公。 劇団「おろか」の主宰であり脚本家。才能が無いことを認めないが才能無いと思われていることは知っている。
沙希(松岡茉優)
本作の主人公。永田の恋人であまり働かない永田を甘やかし養っている。
野原(寛一郎)
永田の中学の同級生。劇団「おろか」に所属。
青山(伊藤沙莉)
劇団「おろか」に所属。途中で退団し、ライターの仕事を永田に振る。
劇場 の簡単なあらすじ
劇団「おろか」の主宰の永田は、お金も無いのに沙希に声をかけアイスコーヒーをおごってもらいます。
その出会いから二人はその後同棲しますが、劇団が売れない永田は金銭的に沙希に甘え、結婚する気もありません。
沙希は、なんだかんだと永田を甘やかし都合の良い存在となっていきます。
自分勝手で嫉妬深くキレれやすい永田に振り回され続けた沙希は、次第にお酒へと溺れていくのでした。
劇場 の起承転結
【起】劇場 のあらすじ①
いつまで持つだろうかというギリギリの精神状態で生きていた永田が、街をブラブラしているといかにもピュアな雰囲気の沙希に出会います。
人見知りの永田ですが、思い切って沙希に靴が同じですねと声をかけました。
ヤバイ風貌をしている永田は沙希に避けられますが、本当は涼しいところでお茶を誘いたいけれどお金が無いという永田に根負けした沙希に、アイスコーヒーをおごってもらうことに成功します。
沙希は、服飾系の大学に通いながら女優を目指していたので、劇団「おろか」の主宰をしている永田と話が合いました。
永田は「おろか」の劇団員の青山たちから辞める際に、不満を言われた上に侮辱されキレます。
もう一度、沙希に会いたい永田は、どうやってデートに誘えばいいか中学からの同級生で同じ劇団の野原に聞くと、家具を見たいから付き合ってと誘えばいいと教えてもらうのでした。
永田は沙希の返信を勘違いし、関係を断とうとしますが、すぐに沙希から空いてるから会おうと連絡が来て二人の仲は近づきます。
【承】劇場 のあらすじ②
永田は新たに脚本「その日」を完成させ、沙希に見せると泣いて感動してくれました。
永田は、その舞台の主演を沙希に頼み、学生時代演劇部だった沙希は予想を超えて芝居が出来て「おろか」は沙希のおかげで久しぶりに高評価を得るのでした。
永田は、沙希が劇団員にチヤホヤされているのことが面白くなかったため、その後沙希を女優として起用することはなく、沙希の家に転がり込み自分のためだけの沙希でいるように仕向けます。
沙希は、稽古に追われたいして働かなくなった永田のことを、全肯定し甘やかす天使のような女性でした。
永田は、ソファの上が一番安全だという沙希の言葉で精神の安定を保っているわりに、どんな時も優しい沙希を時に疎ましく思ってしまいます。
ある日、沙希が大学の男友達からバイクをもらって来ると、永田は嫉妬し沙希を無視した挙句、転んだことにしてバイクを壊してしまいました。
沙希は、永田に無視されバイクが壊れたことに傷ついてしまったので、お詫びに自転車をプレゼントするのでした。
【転】劇場 のあらすじ③
沙希はその後、大学に行かずゲームをする日々を送るようになり、永田は自分のことを棚にあげてそんな沙希を大学に行くように諭しました。
結局沙希は、大学を卒業し昼はアパレル店員、夜は居酒屋でアルバイトをし始めます。
沙希は、光熱費だけ入れて欲しいと永田に頼みますが、永田は人んちの光熱費を払う人の理由がわからんとごまかすのでした。
ある日、野原に誘われ劇団「まだ死んでいないよ」の公演に行った永田は初めて小劇団の芝居で涙を流し、まだ死んでいないよの脚本家が自分と同年代だと知り嫉妬しました。
同じくまだ死んでないよの舞台を見に来ていた青山と久しぶりに会い、今は演劇関係のライターをしていて手が足りないから手伝って欲しいと永田は頼まれます。
永田は、元劇団員の青山に対し気まずい別れ方をしていましたが、永田が仕事を受けたことで再び以前のような関係性に戻りました。
永田の仕事は単価が安く、数をこなさないと食べていけません。
相変わらず沙希に食べさせてもらっているのに、執筆中はますます沙希をうっとうしく感じてしまうのでした。
それに限界を感じ、永田は沙希と別れて部屋を借りることにし、沙希から離れて少しホッとします。
同棲は解消しましたが別れたわけではなく、けれど永田は沙希を無下にしているため、会いたい時だけ会いに行く勝手さをごまかすため酒を飲んだ勢いでしか沙希に会いにいけませんでした。
それはたいてい沙希が寝ている時でしたが、沙希は起きて永田を受け入れました。
【結】劇場 のあらすじ④
永田は青山から、沙希の働く居酒屋がまだ死んでないよの団員が集う場所だと聞き、沙希から彼氏の話を聞いていたためそれが永田だとわかり驚かれます。
沙希は、居酒屋でまだ死んでないよの団員たちに永田の話をしていました。
沙希にとって永田を褒める言葉でしたが、永田にはバカにされているように感じ沙希を責めてキレるのでした。
さすがの沙希もそれには反論し過呼吸気味になってしまい、それ以降沙希は、だんだん永田の勝手さに寂しさを感じお酒に走ってしまうのでした。
永田は沙希と会わなくなっていき、沙希はだんだんアル中のようになり声を荒げるようになり、二人の関係は終わりに近づいていくのでした。
沙希は、永田より居酒屋の店長と仲良くなっていきますが、沙希が居ないとダメな永田ははじめて沙希に気を使い、沙希の見たがっていた桜を見にいき沙希の心に寄り添うのでした。
しかし、時は遅く沙希の心は壊れ始め、沙希は永田と別れ実家に帰り療養することに決めました。
永田が沙希の部屋の片づけを任され、沙希は取り急ぎ実家に帰ります。
一度は部屋を片付けた永田でしたが、もう一度沙希と一緒に片付けたいと考え荷物をほどいてしまいます。
久しぶりに会った沙希は、出会った頃のような元気を取り戻していました。
二人は、以前一緒に出演した舞台の脚本を読み合わせて見ることにしましたが、永田は台本にないセリフで迷惑をかけたことを詫びるのでした。
沙希も東京で何も成し得てない自分を感じていましたが、永田と一緒に居たことで頑張れていたと言います。
永田と沙希の会話は、舞台の上のものとなり、沙希役の役者に語る永田を客席で見る沙希は、泣きながら「ごめんね」とつぶやくのでした。
劇場 を観た感想
この二人にお金があったらとか、才能があったらずっと二人で居られたのかな?などど考えて見ましたが、そういうことではないんだろうと思います。
そもそも永田には、女性を養うとか、子どもを育てることなどに考えが及んでいません。
かといって沙希をカモにするためにナンパしたわけでも無いので、二人の関係性が高め合うものではなく堕落し合うものだったからダメなのだと言えます。
永田は、つかみどころが無く、人の家の光熱費を払う意味がわからないなどと逃げる割には、別のところではプライドが高い。
嫉妬でバイクをたたき割るわりには、店長と一緒にいた沙希を責めることなく迎えに行く。
だけれど、最後に沙希が言ったように、永田のダメさは最初からブレていないので期待してはいけなかったのです。
結局、こんなにヤバイ風貌の永田と付き合うのは、シンパシーを感じたから。
沙希は、永田によって壊れたように描写されていますが、頑張っていた沙希も初めから危うかったのだと感じます。
これもDVの一種なのかも知れませんが、沙希を殴る蹴るが無いだけマシだと思いました。
又吉さんの原作を生かし、いつもとは一味違う行定監督の作品といった印象です。
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