映画「ジョーンの秘密」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|トレバー・ナン

映画「ジョーンの秘密」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|トレバー・ナン

監督:トレバー・ナン 2020年8月にキノフィルムズから配給

ジョーンの秘密の主要登場人物

ジョーン・スタンリー(ジョディ・デンチ/ソフィー・クックソン)
本作の主人公。80代にして、スパイ容疑で逮捕される。

マックス・ディヴィス教授(スティーブン・キャンベル・ムーア)
核兵器開発機関のリーダー。のちにジョーンと結婚する。

レオ・ガーリチ(トム・ヒューズ)
共産主義者。ジョーンと恋仲になる。

ニック(ベン・マイルズ)
ジョーンの息子。弁護士。

ソニア(テレーザ・スルボーバ)
ジョーンの学生時代からの友達。共産主義者。

ジョーンの秘密 の簡単なあらすじ

実話を元にしたイギリス映画。

「おばあちゃんスパイ」としてイギリスで有名になった、メリタ・ノーウッドをモデルとしています。

イギリス郊外で穏やかな老後を送っていたジョーン・スタンリーは、突然MI5の訪問を受け、逮捕されてしまいます。

容疑は、若かりし頃、核開発の機密情報をロシアのKGBに横流ししていたというスパイ容疑。

取り調べを受けるにつれ、ジョーンの過去が暴かれていきます。

ジョーンの秘密 の起承転結

【起】ジョーンの秘密 のあらすじ①

突然の逮捕

80代の老女ジョーン・スタンリーは、夫に先立たれ、イギリス郊外で穏やかな老後を送っていたところ、突然MI5に逮捕されてしまいます。

弁護士の息子ニックに付き添われ、取り調べが始まります。

時代は1938年、ジョーンがケンブリッジ大学で物理学を学んでいた頃にさかのぼります。

優秀な学生だったジョーンは、ユダヤ系ロシア人である学生ソニアと偶然知り合い、共産主義者の会合に誘われます。

ジョーンはさして共産主義に傾倒することもなく、付き合い程度で会合に参加していましたが、ソニアの従兄であり、熱心な共産主義者であるハンサムなレオ・ガーリチと恋に落ち、肉体関係を持ちます。

しかしレオはソ連に去り、会えない日が続くのでした。

現代に戻り、ジョーンは取り調べが始まった当初、無実を主張しますが、徹底的な調査が行われているのを知ると受け答えを始めます。

息子のニックは母親の無実を信じて逮捕に憤っていますが、徐々に明かされる真実に、動揺し始めます。

【承】ジョーンの秘密 のあらすじ②

核兵器開発機関の一員に

1941年、ジョーンはケンブリッジを優秀な成績で卒業し、その後、秘密裏に核兵器の開発機関の事務員として採用されます。

当初の仕事はお茶出しやタイピング等のアシスタント業務でしたが、開発機関のリーダーであるマックス・ディヴィス教授は、ジョーンの科学の知識や才能を評価し、資料作成を任せる等、重用しはじめます。

そんなジョーンに、ソニアやレオが接触します。

彼らはなぜかジョーンの仕事を知っており、ソ連側に核開発の機密事項を流すよう執拗に迫りますが、ジョーンは、開発機関と秘密保持契約を交わしていると説明し、断ります。

ジョーンは開発機関の上司であるマックスと愛し合うようになるものの、マックスは既婚者。

ジョーンが傷つくのを気遣い、マックスはジョーンと距離を置こうとします。

核兵器開発は成功し、その結果、アメリカが広島と長崎に原爆を投下し、過去最大の死傷者を出したことに、ジョーンは深く心を痛めます。

マックスは、政治は政治家に任せ、科学者は科学を極めれば良いとの考えですが、ジョーンは賛同できません。

【転】ジョーンの秘密 のあらすじ③

スパイ活動

ジョーンは核兵器開発の機密情報をソ連に流すことを決意し、ソニアに連絡を取ります。

ジョーンはソニアに渡されたマイクロカメラで機密情報を撮影し、資料をコピーし、ソニアに流します。

情報が流出するため、開発機関には警察の捜査が入りますが、ジョーンは女性アシスタントのため軽んじられており、深く調べられることもありません。

そうこうしているうちにレオともよりが戻り、また関係を持ち始めます。

ところが、「一緒にソ連に行こう」というレオの誘いを断った後、レオが自殺と見られる謎の死を遂げ、ジョーンはショックを受けます。

ソニアとも連絡が取れなくなり、ジョーンが彼女の家を訪れると、そこはもぬけの殻。

レオのペンダントや、レオを含む共産主義者たちの写真等が残されていました。

ソ連の核兵器開発が進み、イギリスから情報が流れたことが確定的になったところで、開発機関のリーダーであるマックスが逮捕されてしまいます。

マックスに、自分がスパイであることを告白したジョーン。

マックスは、それでもジョーンを愛していると言います。

【結】ジョーンの秘密 のあらすじ④

逃亡、そして逮捕

ジョーンは、外務省高官である共産主義仲間を脅して、自分とマックスの2人分の新しいパスポートと、オーストラリア行きの船のチケットを入手し、マックスとの逃亡に成功します。

そして現代。

真実を知った息子ニックは、ジョーンを責めます。

あの時代に仕方がないことだった、とジョーンは説明しますが、2人は決裂してしまい、ジョーンは孤独にひるみます。

逮捕されるジョーンは、自宅の前で記者会見をします。

ジョーンは、自分は祖国を愛している、ソ連に核兵器開発の機密情報を流したのは、世界の平和を保つためだったと主張します。

ソ連に情報を共有し、ソ連が西側と同じ知識と力を持てば、核戦争は起きない。

現にあれから核戦争は起きておらず、自分の行為のおかげで世界は平和を保っている、と訴えます。

非難の声はやみませんが、弁護士である息子ニックが母親に寄り添います。

彼女は平和を実践した。

今後、質問は私を通してほしい、と言って母親を守るのでした。

ジョーンの秘密 を観た感想

ジョーンのモデルとなったメリタ・ノーウッドは、両親ともに社会主義者で、筋金入りのKGBとしてスパイ活動をしていたようです。

映画はそれよりもマイルドに、恋愛も絡めており、感情移入して見やすい内容です。

ジョーンは共産主義者のレオに色仕掛けで情報提供を迫られていたけれど、それに屈したのではなく、科学者として研究を極め、ソ連への情報提供の理由は世界平和を願う正義感からだった、というのがポイントです。

また、ジョーンの若かりし頃、1930〜40年代のファッションも見どころです。

ブラウンの瞳に合うセットアップの衣装にブルーの帽子等、色づかいもセンスがあり、おしゃれです。

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