監督:中野量太 2016年10月にクロックワークスから配給
湯を沸かすほどの熱い愛の主要登場人物
幸野双葉(宮沢りえ)
本作の主人公。一浩の妻。膵臓ガンになる。
幸野安澄(杉咲花)
一浩の子ども。いじめに遭っている高校生。
幸野一浩(オダギリジョー)
銭湯・幸の湯を経営。
向井拓海(松坂桃李)
ヒッチハイクの青年。
湯を沸かすほどの熱い愛 の簡単なあらすじ
夫・一浩に逃げられた双葉は、安澄と二人で暮らし。
銭湯を経営していましたが、それ以来休業中です。
膵臓ガンになり余命短い双葉は、探偵を使って一浩を探します。
一浩は、過去に浮気した相手との子ども・鮎子を連れて帰ってきました。
幸野家は四人家族になり、全員で銭湯を切り盛りしていきます。
しかし、双葉は安澄に言ってない秘密があるのでした。
湯を沸かすほどの熱い愛 の起承転結
【起】湯を沸かすほどの熱い愛 のあらすじ①
双葉は娘・安澄と二人暮らし。
夫が蒸発してしまったため経営している銭湯・幸の湯は休業中です。
安澄は、頭が痛いといって学校を休みたがりますが、双葉は容赦なく学校に行かせます。
実は安澄は学校でいじめに遭っていたのです。
絵が上手な安澄は、美術の時間に友達に絵を教えてと言われ絵の具をグチャグチャに出されてしまいます。
双葉は、パン屋で働いています。
パン屋に安澄の学校から電話が入り駆けつけた双葉の目に入ったものは、絵の具をかけられた安澄でした。
安澄はいじめられていることは言いません。
双葉は悲しみをこらえ、何色が好きか?と安澄の一番好きな色を聞くと「水色」と答え、双葉は「お母ちゃんは赤」と答えました。
そして双葉は明日も学校に行こうと言うのでした。
安澄は双葉の自転車の後ろに乗ってギュッとつかまり泣きました。
ある日、双葉がパン屋で接客中に倒れてしまいます。
双葉は膵臓ガンに侵され余命2〜3か月と診断されます。
双葉は、安澄に水色のブラジャーとパンティーのセットを今使わなくてもいざという時にと、渡すのでした。
双葉は行方しれずの夫・一浩を探偵を使って探します。
探偵を使うとあっけなく一浩は見つかるのでした。
早速、一浩のアパートにおしかけ、双葉は病気のことを話しました。
今日は、しゃぶしゃぶです。
誕生日にしゃぶしゃぶを食べるのが幸野家のルール。
ですが、今日は誰も誕生日ではなく、一浩が戻ってきたのでした。
9歳の鮎子を連れて。
鮎子は、一浩が昔浮気をした時に出来た子どもでした。
【承】湯を沸かすほどの熱い愛 のあらすじ②
一浩が帰ってきたので銭湯・幸の湯を再開します。
双葉は、安澄と鮎子にも「働からずもの食うべからず」と銭湯の仕事をするようにいいます。
ある日、安澄のいじめがエスカレートし、制服が盗まれてしまいます。
次の日、学校を休むという安澄に双葉は、今日休んだら二度と行けなくなると強引に行くように布団から引っ張り出します。
逃げちゃダメという双葉に安澄は、自分は最下層の人間だからお母ちゃんとは違うと言うのでした。
しかし、勇気を振り絞り安澄は登校します。
安澄は、クラスメートの前で双葉からもらったブラジャーとパンツ姿になり「制服を返してください。」
と言います。
その後、吐いてしまい保健室で休んでいると制服を隠した犯人が保健室に制服を投げて行きました。
心配した双葉は銭湯の前で安澄が帰るのをずっと待っています。
鮎子になぜ待っているのか聞かれると心配だからと答えます。
制服を着て帰ってきた安澄は、自分にもお母ちゃんのDNAが入っていたと言い双葉は安澄を抱きしめるのでした。
その様子を鮎子は影から見ていました。
ある日、鮎子が番台からお金を盗むところを双葉が目撃。
双葉は鮎子の荷物を確認すると、小銭が入っている缶の中に鮎子のママからの手紙が入っています。
その内容は、次の鮎子の誕生日に迎えに行くと書いてありました。
その後、鮎子はいなくなりました。
その日は鮎子の誕生日です。
双葉と安澄は、鮎子の以前住んでいたアパートを見に行くとうずくまっている鮎子を発見。
双葉は鮎子に仕事をサボったバツとして明日は一人で浴槽掃除を言い渡し、抱き上げて家に連れて帰りました。
次の日の朝、幸野家はしゃぶしゃぶです。
鮎子は、泣きながら「もっと一生懸命働くのでここにいたい。」
と訴えます。
双葉は鮎子を優しく受け入れるのでした。
【転】湯を沸かすほどの熱い愛 のあらすじ③
ある日、一浩は俺に出来ることは無いか?と双葉に聞きます。
双葉は、エジプト旅行の約束を果たして欲しいといいますが、結局一浩に銭湯を任せて安澄と鮎子をつれて車で旅行に行きます。
双葉は、本当のことを言うと言って出発しました。
高速のパーキングエリアで、ヒッチハイクをする男性・拓海と出会います。
拓海は家庭環境が悪く目的も無く旅をしていました。
そんな拓海を双葉は抱きしめて、北に行くのを目的にするように指南します。
拓海と別れ、三人はタカアシガニを食べに行きました。
会計するからと安澄と鮎子を先に車に向かわせた双葉。
すると双葉は、タカアシガニのお店の店員・君江の頬を打ちます。
双葉は、安澄に実は君江は毎年幸野家にタカアシガニを送ってくれる人だと告げます。
さらに、君江は一浩の最初の奥さんだと言うのです。
安澄は双葉が産んだ子ではありませんでした。
君江は、耳が聞こえず育児することを放棄してしまったのでした。
双葉は、嫌がる安澄に君江に挨拶しなさいと置いていきます。
双葉は、事情を話さず安澄に手話を覚えさせていたのでした。
【結】湯を沸かすほどの熱い愛 のあらすじ④
安澄を迎えにきた双葉は、倒れてしまい病院に運ばれます。
これから双葉の長い入院生活が始まります。
毎日、母親が迎えにくる夢を見るという双葉は、母親はもう亡くなっていると感じていました。
実は、双葉も母に置き去りにされた子どもだったのです。
しかし、一浩を探してくれた探偵に双葉は実母も探してもらっていて、実母は生きていたのです。
早速会いに行く双葉ですが、実母に拒否され会ってもらえません。
日に日に双葉の容態は悪くなり、時々君江が家のことを手伝いにやってきてくれることになりました。
安澄が君江を待っていると現れたのは拓海です。
拓海は旅を終え、双葉に会いにきたのでした。
一浩は、双葉のためにみんなを巻き込んであることをします。
病院の庭で組体操のピラミッドをして双葉に見せるのでした。
自分がみんなを支えると双葉に宣言してみせます。
拓海が銭湯を住み込みで手伝ってくれて、安澄は毎日双葉のお見舞いに行きます。
双葉の最期に安澄は涙をこらえて大丈夫と励ますのでした。
双葉は亡くなり、銭湯でお葬式を挙げます。
お経はCDを流し、霊きゅう車は探偵が手配しました。
探偵は、双葉のためなら何でもしてあげたい、それ以上に与えてもらったとみんな思っているからと一浩と話します。
本当はダメだといいながら、一浩たちは双葉の遺体を銭湯のボイラーで焼き、そのボイラーで沸かしたお湯にみんなで入ります。
銭湯の煙突から双葉のような情熱的な赤い煙がでるのでした。
湯を沸かすほどの熱い愛 を観た感想
余命少ない母が残される娘のために出来る限りのことをする物語だとは知っていましたが、予想をはるか超えて斬新なお話でした。
序盤に、双葉がセカンドオピニオンを勧める一浩に対してやらなくてはならないことがあると言っていたので、安澄のいじめ問題の解決と気弱の安澄が自分亡き世界で生きていけるように訓練するのかと思っていましたが、それだけではなく驚きました。
ラストは特に衝撃で、詳しく説明されていませんが双葉がみんなに遺言でお願いしたのだと思います。
結局子どもを産んでいない双葉ですが、母性あふれる素敵な人だと思いました。
コメント