監督:外崎春雄 2020年10月に東宝、アニプレックスから配給
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の主要登場人物
竈門炭治郎(花江夏樹)
本作の主人公。鬼にされてしまった妹・禰豆子を人間に戻すため、鬼殺隊に入る。真面目で心優しく慈悲深い少年。「水の呼吸」の使い手。
煉獄杏寿郎(日野聡)
鬼殺隊の中でも秀でた強さを持つ「柱」の一人であり、「炎の呼吸」を使う「炎柱」。全てを受け入れる包容力、その確かな戦闘能力と頭の回転の速さを持つ。
魘夢(平川大輔)
十二鬼月の「下弦の壱」。人の夢を操り、精神を崩壊させる。無限列車の乗客たち全てをのみ込もうと企む。
猗窩座(石田彰)
十二鬼月の「上弦の参」。好戦的であり、強者を好む。強くなるためには鍛錬の時間が必要だと考え、鬼である自身を至高だと信じており、煉獄にも鬼になるよう勧誘する。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 の簡単なあらすじ
鬼殺隊である主人公・炭治郎たちは任務の為、無限列車へ。
しかしそれは「魘夢」に支配された、死へ向かう列車への乗車でした・・・。
幸せな夢の中で身動きのとれなくなった炭治郎達は、それぞれの夢の中で、守るべきものの為戦い始めます。
興行収入歴代一位を射程圏内にいれた本作品は、評判に劣らない作品の完成度の高さに注目度を上げて続けており、その様子はまさに社会現象といえます。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 の起承転結
【起】劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 のあらすじ①
炭治郎達は鬼殺隊としての任務遂行の為、蒸気機関車へと飛び乗ります。
初めての機関車に興奮する「伊之助」、それをなだめる「善逸。」
彼らは炭治郎と行動を共にする仲間です。
程なくして、どこからともなく聞こえてくる「うまい!うまい!」という声。
大量の弁当を食らうのは炎柱・煉獄杏寿郎。
驚く面々ですが、不思議な包容力を携えた煉獄にすっかり魅せられてしまいます。
そんな鬼殺隊の面々の明るいやり取りに、思わず笑みが出るのも束の間、車掌が切符を切った直後、暗闇の中の列車は一瞬にして鬼の住処へと変化するのです。
驚く炭治郎達をしり目に、一瞬で鬼を倒してしまう煉獄。
勝利に喜ぶ炭治郎達は、煉獄へのさらなる忠誠を誓います。
が・・・しかし、それは煉獄の見ている夢の中の出来事でした。
“切符を切ることで発動”する血鬼術に、煉獄はすでに入り込んでしまっていたのです。
そして、他の鬼殺隊の面々もすっかり眠りに落ちてしまっています。
夢を操る魘夢の力は強大です。
幸せな夢から抜け出せなくなっている間に、その人間の“精神の核”を破壊するのです。
家族を鬼に惨殺されてしまったという過去を持つ炭治郎にとって、”家族と過ごす、ごく普通の生活”は、なによりも手に入れたいと望んでいる、でもかなうことのない“夢”でした・・・。
【承】劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 のあらすじ②
炭治郎は、幸せな時間をかみしめていました。
母や兄弟と過ごす平和な時間、まさに戻りたいと願っていた日々がそこにあったのです。
しかし、そんな時間に終わりを告げたのは、残酷にも現実世界の炭治郎自身でした。
「起きろ。
起きて戦え!」そう自分に言われた炭治郎は、行かないでと涙を流す家族の姿を振り切り、現実世界へ戻ることを決意します。
夢の中で自決することで現実世界に戻ることのできた炭治郎は、一人で魘夢と相対します。
しかし、その首を斬っても魘夢は消滅しません。
炭治郎が夢の中にいる間に列車と融合していたのです。
状況は最悪でした。
首の位置はわからず、列車に乗っている乗客全てが魘夢の体内に取り込まれてしまっているのです・・・。
徐々に目を覚ましていった鬼殺隊のメンバーと共に乗客を守りながら、ついに首の位置を突き止めた炭治郎と伊之助。
しかし、それでもなお魘夢は、炭治郎に夢をみせます。
そしてそれは、さっきまでとは違う、“悪夢”でした。
夢の中で家族から罵倒を受けた炭治郎は、“自分を責め、落胆するだろう”という魘夢の目論見に屈せず憤慨します。
そして「家族を侮辱された」という怒りは力に変わり、ついに魘夢の首を断ち切ることに成功するのです。
【転】劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 のあらすじ③
満身創痍の戦いに傷を負っていた炭治郎に、煉獄が止血法を教えるさ中、別の鬼が現れます。
それは、魘夢以上の力を持つ上弦の参・猗窩座でした。
そして唐突に、煉獄に対し「鬼になれ」と誘います。
もちろん煉獄はこれを拒否します。
“長命の鬼であれば、鍛錬を続け至高の強さを手にすることができる”と説き、勧誘を繰り返す猗窩座に対し、煉獄は“老いることも死ぬことも、人間の美しさである”と答えます。
そして「君と俺は、価値基準が違う」と突き放したのです。
二人の戦いは壮絶でした。
傷を抱えた炭治郎はもちろん、伊之助も手を出すことはできません。
中途半端に助けに入っても、ただ足手まといとなる事が明白だからです。
それでも戦い続ける煉獄の決意は、亡くなった母が残した「弱き人を助けることは、強く生まれた者の責務です」という言葉から生まれたものでした。
その言葉を胸に、煉獄は、最後の力を振り絞り剣を振り下ろしました。
そしてそれは相打ちとなり、両者とも動けなくなりました。
【結】劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 のあらすじ④
硬直状態の二人に、夜明けが迫っていました。
陽にあたると消滅してしまう猗窩座は、最後の力を振り絞りその場から逃げ出します。
とっさに追いかけ「逃げるな!」と叫ぶ炭治郎でしたが、その言葉は、“死を目前とする煉獄”を直視できない自分に対しての言葉でもあるようでした。
猗窩座からうけた一撃が致命傷となっていたのです。
そんな炭治郎に、煉獄はこんな言葉をかけます。
「胸を張って生きろ。」
それは、成すすべなく見ているしかなかった炭治郎達を救う、優しい強者の言葉でした。
そんな煉獄の目の前に現れたのは、懐かしい母の姿でした。
全てを受け入れていた煉獄は静かにこう聞きます、「俺はちゃんとやれただろうか?」そして、母は優しい笑顔と共にこう答えました、「立派にできましたよ。」
満面の笑みを浮かべた煉獄はそのまま息を引き取ります。
炭治郎達は、乗客全員を守りぬいた、強く、優しい煉獄を想い大粒の涙を流します。
そして煉獄の言葉を胸に、共に強くなることを心に誓ったのです。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 を観た感想
それぞれの正義・強さ・優しさに心をつかまれる映画でした。
炭治郎からはまっすぐな優しさを。
それは、彼の夢の外側の世界の描写でもあったように、青く透き通った優しさです。
無邪気に人を信じて、自分の核を差し出してしまう純粋無垢さは、「滑稽だ」と笑ってしまうことのできない、緊張感すら抱かせてくれます。
そして、煉獄さんからは強く生きる意志を。
赤い炎に包まれる姿は、その強そうな見た目とは裏腹になぜか安心感を与えてくれます。
鬼はたくさん出てくるし、血も出るし、びっくりするシーンもたくさんありますが、見終わった後は、哲学書を読んだ時のように、澄んだ穏やかさと純化された使命感に包まれる。
そんな素敵な映画でした。
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