監督:マジッド・マジディ 1999年7月にアスミック・エースから配給
運動靴と赤い金魚の主要登場人物
アリ(ミル=ファロク・ハシェミアン)
主人公の9歳の少年。貧しい家庭に生まれ、病気の母を手伝う。妹の靴を失くしてしまう。
ザーラ(バハレ・セッデキ)
アリの妹。アリが修理に出していた靴を失くし、アリの靴を履いて学校に通う羽目になる。
アリの父(アミル・ナージ)
一家の大黒柱。後に庭師の仕事を始める。
アリの母(フェレシュテ・サラバンディ)
病気を患っている。家賃のことで大家と度々言い合いをしている。
運動靴と赤い金魚 の簡単なあらすじ
貧しい家庭に生まれたアリはお使いの途中で修理した妹のザーラの靴を失くしてしまいます。
苦肉の策で兄妹2人でアリの一足の靴を交互に履くことにします。
そんな中、マラソン大会の3等になると運動靴が貰えることを知り、アリはザーラのために大会に出場します。
しかし、一生懸命になるあまり1等になってしまい、結局は靴も貰えませんでした。
運動靴と赤い金魚 の起承転結
【起】運動靴と赤い金魚 のあらすじ①
修理に出していた妹の靴をアリは受け取りに行きます。
無事に靴を受け取り、八百屋にお使いに行きます。
店先に靴を置きます。
アリが店内でじゃがいもを選んでいる最中に不要品と勘違いされ、妹の靴が回収されてしまいます。
貧しい家庭のアリは八百屋の店主にツケにしてほしいと頼みます。
買い物を終え、靴がないことに気づいたアリは周囲を探します。
その際、八百屋の売り物をひっくり返してしまい、怒られます。
結局、見つからないまま家に帰ります。
家に帰ると妹のザーラに靴のことを聞かれます。
アリは妹に靴を失くしたと言い、両親に内緒にしてほしいとお願いします。
学校に行けないとザーラは泣いてしまいます。
アリはもう一度探しに行きます。
途中、友達にサッカーの練習に誘われるも、それどころではありません。
結局、見つからないまま家に帰ります。
靴を失くしたことを両親の前では話題に出来ないので、アリとザーラはノートに書くことで意思疎通を図ります。
アリはザーラに自分の靴を履いて学校に行くよう言います。
嫌がるザーラでしたが、アリから鉛筆を貰い承諾します。
【承】運動靴と赤い金魚 のあらすじ②
翌日、ザーラはアリの靴を履いて登校します。
学校が終わるとアリとの待ち合わせ場所にザーラは急いで向かいます。
ザーラがアリの元へ到着すると履いているスリッパと靴を急いで履き替え、遅刻寸前でアリは学校につきます。
ザーラは時間を気にし、急いで下校します。
焦りとザーラには大きすぎる靴のせいか、途中で片方の靴が脱げてしまい、溝に落ちて流されてしまいます。
靴がとれずにザーラが泣いているとそれを見たおじさんがとってくれます。
ザーラは急いでアリの元へ向かいます。
ザーラはアリに耐えきれず、父に靴を失くしたことを言いつけようとしますが、アリは給料日までどうせ買ってもらえないと言います。
アリは急いで学校へ向かうも遅刻してしまい、教頭に怒られます。
アリは教室へ向かいます。
そこでテストの満点が3人の内、1人がアリだと言われ、笑みを浮かべます。
ご褒美に綺麗なペンをアリは貰い、家に帰りザーラにあげます。
ザーラはとても喜びます。
ザーラは学校の朝礼で自分の靴を履いている子を見つけます。
休み時間にその子の顔を確認します。
ザーラは帰りにその子の後をつけて家を特定します。
アリとザーラは2人でその子の家へ行きます。
丁度、その子と父親が出てきます。
父親は目が見えていないようで、その子と手を繋ぎ、出かけて行く様子を見て2人はその場を後にします。
【転】運動靴と赤い金魚 のあらすじ③
アリの学校ではそろそろ県内の学校対抗マラソン大会が開催されると発表されます。
参加希望者は受付をしてテストを受けるように言われます。
アリは父の庭師の仕事について行くことになります。
2人で自転車に乗り、高級住宅街へ向かいます。
ことごとく断られますが、1件仕事を任されることになります。
アリはその家で同い年の子と遊び、父は庭の木を消毒したり手入れをし、お金を受け取ります。
多めのお金を貰い、父は何でも買えるぞと喜びます。
それを聞いたアリは靴も買える?と聞きます。
父はもちろんと答えます。
意気揚々と自転車で下っていると自転車が壊れ、怪我をしてしまいます。
ある日、ザーラはいつものようにアリの元へ急いでいると、アリから貰ったペンを落としてしまいます。
そのペンをザーラの靴を履いているあの子が拾います。
その子は学校でザーラにペンを返します。
ザーラは喜びます。
ザーラはその子と一緒にいる時にその子の靴が新しくなっていることに気づきます。
ザーラの靴はボロボロだったからもう捨てたと言われ、ザーラは悲しくなります。
アリの学校で県内の学校マラソン大会の入賞者の賞品が発表されます。
3等になると運動靴が貰えることをアリは知ります。
【結】運動靴と赤い金魚 のあらすじ④
アリは急いで参加希望をするも、受付は終了しています。
アリは涙ながらに必死に参加を訴えます。
心打たれた先生は承諾します。
アリはマラソンのテストを受けます。
先生はアリのタイムを見て驚きます。
アリはザーラにマラソン大会に参加し、3等になり運動靴を貰ってくると宣言します。
マラソン大会当日、アリはボロボロの運動靴で必死に走ります。
ザーラと自分の靴を交互に履いて過ごす日々を思い出しながら、賢明に走ります。
周りのことなんか見えていません。
そのせいか、アリは頑張り過ぎて3等になる筈が1等になってしまいます。
先生や取材陣や周囲の人々は歓声を上げる中、アリだけは泣きそうな顔をしていました。
家に帰ったアリの様子から靴が貰えなかったことを知ったザーラはふて腐れ、その場から去ります。
アリはボロボロの靴を脱ぎ捨てます。
靴底には穴が開いています。
アリの足は肉刺だらけで痛々しいです。
アリはその足を家の前の金魚のいる溜め池に入れます。
するとアリの足にまるで慰めるかのように金魚がすり寄って来ます。
そして、アリの父は新しいザーラの靴を買い、家路に着きます。
運動靴と赤い金魚 を観た感想
日本からするとイランの映画というと馴染みのない方も少なくないかもしれませんが、良作な映画が沢山あります。
手始めにこの映画から入門してみてはいかかでしょうか。
映画製作において規制があるイラン映画ですが、子供を主役にし、ささいな日常の出来事から見事なドラマを作り上げた心が豊かになる映画です。
貧しい生活の中で小さな子供達が親を手伝う姿は今の日本では見ることは少ないでしょう。
靴なんてボロボロになるまで履くことがありますか?決して貧乏な暮らしが良いとは思いませんが、この映画のアリの家族団らんの風景を見ると懐かしい気持ちにさせてくれます。
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