監督:マイケル・ベイ 2005年7月にワーナー・ブラザースから配給
アイランド(2005)の主要登場人物
リンカーン・6・エコー(ユアン・マクレガー)
この物語の主人公。トム・リンカーンの臓器移植の目的で作られたクローン。
トム・リンカーン(ユアン・マクレガー)
ロスに住むセレブ。肝臓が悪く余命2年と診断されている。
ジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)
この物語のヒロイン。サラという名の女性のクローン。
マック(スティーヴ・ブシェミ)
バイオテック社の従業員でリンカーンと仲が良い。
アルバート・ローラン(ジャイモン・フンスー)
ブラックホーク警備会社の人物。タフガイだが心ある人物。
メリック博士(ショーン・ビーン)
バイオテック社の博士。
アイランド(2005) の簡単なあらすじ
同じ服を着た者が、閉ざされた空間で暮らしています。
皆は「ここにいる人は大気汚染から救済された生き残り」だと聞かされています。
しかし実は、そこはクローン製造所であり、彼らは自身がクローンであることを知りません。
皆の唯一の希望は「アイランド」に行くことです。
主人公リンカーンは、そんな施設に疑いを持っていました。
ある日彼は、アイランド行きが決定した妊婦が殺害されるところを目撃してしまいます。
身の危機を感じたリンカーンは、親しい女性ジョーダンを連れ施設から脱走しました。
リンカーンらは博士から雇われたローランに追われますが、無事問題を解決します。
リンカーンは施設に戻り、仲間のクローンを開放しました。
アイランド(2005) の起承転結
【起】アイランド(2005) のあらすじ①
舞台は、大気汚染が深刻になった地球です。
人々は外界をシャットアウトした、謎の施設の中で生活しています。
施設の中は汚染の心配もなく安全とされていなすが、全員が同じ服装で健康なども管理されていました。
食堂では男女が入り混じり、会話は許されますが接触は禁止で、親密に見える男女は注意を受けます。
主人公リンカーンは、恐ろしい夢にうなされて目覚めます。
各自の部屋はそれぞれ個室になっており、美しく清潔な住居と言えるでしょう。
しかしリンカーンは全員が同じ真っ白い服を着て、組織から健康管理される生活に疑問を持っていました。
他の人々は、そのことがもう当たり前すぎて何かに不満を感じている気配もありません。
住民らの夢は同じで、「アイランド」という極楽に行くことでした。
そこは地球上で唯一汚染されていない美しい島だと聞かされています。
「アイランド」へ行ける者の抽選は不定期に行われ、選ばれた人は大きなモニターに顔が映し出されます。
選ばれた人は狂喜し、施設を出てからは2度と戻って来ません。
そんな日々を送る中、リンカーンはジョーダンという女性に、密かに恋をしていました。
メリック博士は、リンカーンに女性との接触は禁止だと忠告します。
人々は作業場で、何のためになるか分からない流れ作業をさせられています。
そこでリンカーンはシステムエラーが起こったとうそをつき、マックという男に会いに行きました。
マックの職場は人々の住居空間と違い、薄汚れていましたが、リンカーンはこの男と話をするのが好きで時々訪ねるのです。
そこでリンカーンは、蛾を見つけます。
彼は外の大気は汚染されているはずなのに、なぜ虫が生きているのだろう?と疑問に思いました。
一方マックはある部屋に呼び出され、出向きます。
何と、そこではクローン人間が生み出されていたのです。
【承】アイランド(2005) のあらすじ②
その直後アイランドの抽選があり、ついにジョーダンが選ばれます。
ジョーダンは喜び、リンカーンもこれを祝福します。
しかしその晩リンカーンは、再び悪夢にうなされ目覚めたので、深夜に立ち入り禁止区域へ侵入しました。
看護師の服を身にまとい変装したリンカーンは、あたりをうろうろします。
そこでは先日アイランド行きが決定した妊婦が、赤ん坊を出産していました。
しかしアイランドへ行けるはずの妊婦が、現実には看護師に殺害されたのを見てしまいます。
赤ん坊は、この母親とそっくりの私服を着た女性の元に届けられました。
またアイランド行きの当選者であったスタークウェザーが、肝臓を摘出されそうになり、必死で逃げているところを目撃してしまいます。
恐ろしいものを見たリンカーンは、女性の住居空間へ乱入し、ジョーダンの部屋へ急ぎます。
リンカーンは状況を説明しても納得しないジョーダンの手を引き、施設から逃亡しました。
多くの職員らしき人物に追われますが、何とか切り抜け、長いトンネルを抜けると外の世界に出ることができたのです。
外の世界は美しく、見た限り大気汚染などされていません。
一方メリック博士は、短期間で促成できる「アグネイト」について、セレブ達に説明をしています。
セレブらは、「アグネイトは植物と同じで思考力や感情を一切持たないクローン体だ」という説明を受けました。
クローンが逃亡したと知った博士はブラックホーク警備のローランを呼び、リンカーンとジョーダンの追跡を依頼します。
【転】アイランド(2005) のあらすじ③
一方リンカーンらはマックからもらったマッチ箱を頼りにバーを見つけ、中へ入ります。
中では地球上の人々が普通にお酒を楽しんでおり、変わった格好のリンカーンらをひやかします。
リンカーンはそこでマックを見つけ、なぜ自分らを騙したのかと責め立てました。
マックは2人を連れて自宅に戻り、詳しい事情を説明します。
そこでリンカーンとジョーダンは自分達が人間ではなく、実在する人間のコピー、すなわちクローンであると知らされます。
2人はマックの家で服を着替え、現金やクレジットカードを受け取りました。
その後マックは2人にロス行きの列車に乗せるため駅まで送りますが、何者かに殺害されてしまいました。
一方列車に乗り込みロスに到着したリンカーンとジョーダンは、情報ブースで彼らのオーナーを探そうとしますが、その前に警察に捕まってしまいます。
2人はパトカーで護送されていましたが、ローランらブラックホーク警備の連中が警察を襲撃しました。
理由は、警察にクローンの存在がバレるとまずいからです。
そこでリンカーンとジョーダンはどさくさに紛れ、逃げました。
そして2人は、人間のトム・リンカーンの家を訪ねます。
トムは肝硬変を患っており、リンカーンはそのためのコピーだったのです。
リンカーンはトムに助けを求めますが、席を外した隙にアグネイトの製造元であるバイオテック社に密告します。
リンカーンとトムは、世間に全てを知ってもらうためテレビ局に出向きますが、実際トムにその気はありませんでした。
その後ローランらに追いつめられたトムとリンカーンは、互いに自分が人間だと言い張ります。
それによりローランはどちらが本物か分からなくなり、人間のトムの方を殺してしまいます。
【結】アイランド(2005) のあらすじ④
ジョーダンの元へ帰ったリンカーンは生まれて初めてキスをし、肉体関係を持ちました。
翌日、リンカーンのところにバイオテック社から連絡が入ります。
事情を知らないバイオテック社は、リンカーンをクライアントのトムだと思っているのです。
そこで宣伝担当の男の話から、4世代のアグネイトが全て処分することになったと知ります。
驚いたリンカーンは仲間を助けるため、施設に戻る決意をしました。
そのころ施設内では、アイランド行きの当選者が多数発表されていました。
殺されるとは知らず喜ぶアグネイト達の中には、リンカーンの友達もいます。
施設に侵入したリンカーンとジョーダンは、白衣を着て医師のふりをして紛れ込みました。
リンカーンの身近な友人らが、密室で殺されそうになった時、ローランとジョーダンが現れ救助します。
ローランはこれまで散々2人を追ってきましたが、クローンに仲間を助ける心があることを理解したのです。
アグネイトのリンカーンが生きていると知ったメリック博士は、リンカーンを追い詰めます。
しかしリンカーンは施設内のホログラムを破壊し、逆に博士を倒しました。
施設内のアグネイトらは、全員建物から出ていきます。
初めて感じる外の空気、アグネイトらは明るい太陽の下、走り出します。
唯一人間であるローランも、彼らと共に歩いていました。
アイランド(2005) を観た感想
本作品前半は、クローン製造所の内部の表現がユニークで特に魅力的です。
例えば白を基調とした清潔感のあるプライベートルームの描写や、クローゼットをはじめとするハイテク設備などに心を奪われるでしょう。
しかしその反面、自由を奪われた者がその環境に何の疑いもなく適応し、単調な毎日を過ごす光景は奇妙でもあります。
人は、以前からあった何かを奪われると反発しますが、最初から与えられていない物に対しては気づきにくい傾向があるのかも知れません。
真っ白な施設の中を、同じ服を着たアグネイトらが大量に歩いて出勤する光景は特に不気味です。
またこのシーンはジョージ・ルーカスのデビュー作である『THX-1138』を思い出させられます。
ディストピア作品でこのような映像が楽しめるのは、映画という表現ならではでしょう。
さらに本作品の特徴としては、これらのよく練られたシナリオに加え、ド派手なアクションシーンが存分に楽しめるところにあります。
特にリンカーンがジョーダンを連れ、施設から脱走するシーンは必見です。
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