監督:マイク・ニコルズ 1991年11月にパラマウント・ピクチャーズ・コーポレーションから配給
心の旅の主要登場人物
ヘンリー・ターナー(ハリソン・フォード)
凄腕の弁護士。強盗に銃で撃たれ重度の障害、記憶喪失になる。
サラ・ターナー(アネット・ベニング)
ヘンリーの妻。夫を賢明に支える。
レイチェル・ターナー(ミッキー・アレン)
ターナー夫妻の一人娘。
ブラッドレー(ビル・ナン)
ヘンリーのリハビリトレーナー。退院した後もヘンリーの良き相談相手になる。
ブルース(ブルース・アルトマン)
ヘンリーと同じ弁護士事務所の同僚。サラと一時期不倫関係にあった。
リンダ(レベッカ・ミラー)
同じ弁護士事務所に勤めているヘンリーの不倫相手。
心の旅 の簡単なあらすじ
凄腕の弁護士のヘンリー・ターナーはタバコを買いに行った店で強盗に撃たれ、意識不明の重体になります。
クリスマスの日、意識が戻るも重度の身体障害が残ります。
さらに記憶喪失になり、妻や娘、職場の人や過去の自分のこと、ほとんど忘れてしまいます。
それでも、賢明にリハビリに励みます。
退院後、ヘンリーは家族や職場の同僚と過ごす中で、過去と今の自分とのギャップに戸惑い悩みます。
同僚のブルースが妻へ宛てた手紙から2人の不倫が発覚します。
ヘンリーは怒り家を飛び出しますが、実は自らも同じ弁護士事務所のリンダと不倫をしていたことを知ります。
ヘンリーは戸惑うが、一番大切なものは家族だと気づき、新しい人生を歩み始めます。
心の旅 の起承転結
【起】心の旅 のあらすじ①
ニューヨークの凄腕弁護士で仕事人間のヘンリー・ターナーはある夜、タバコを買いに行った店で強盗に撃たれます。
警察から事件の詳細を聞いた妻のサラは病院へ向かいます。
そこには意識不明のヘンリーの姿がありました。
サラは病院に通い、賢明に看病します。
クリスマスの日、奇跡的にヘンリーは目を覚まします。
しかし、サラは医師から銃で撃たれた際に脳が酸欠状態になった結果、重度の身体障害があり、リハビリに最低3ヵ月かかると聞かされます。
さらに記憶喪失になり、妻や娘のレイチェルのこともわからなくなります。
リハビリ施設へ移ったヘンリーはリハビリトレーナーのブラッドレーと出会います。
明るくユニークなブラッドレーのおかげで順調に回復していきます。
話すリハビリをするも上手くいかないヘンリーに、ブラッドレーは大量の調味料を混ぜた卵料理を食べさせることで言葉を発させることに成功します。
またブラッドレーに支えられながら立ち、歩行器を使い歩く練習もします。
ヘンリーの努力の結果、退院できることになり、家族の元へ帰ることになります。
しかし、家族の記憶がないヘンリーは帰りたくないと駄々をこねます。
しかし、靴紐が結べないヘンリーにレイチェルが昔、ヘンリーに教わったやり方で結んであげます。
するとヘンリーは家の灰色のカーペットを思い出し、家に帰ることを決めます。
【承】心の旅 のあらすじ②
ヘンリーは家に帰ると豪華な内装に驚きます。
前は気に入らなかったテーブルを褒めます。
ベッドに入ると大量の枕を床にポイポイッと投げ捨てるヘンリーの姿に妻は少し驚きます。
翌朝、家族3人で朝食をとりますが、これまで朝食は一緒に食べたことがありませんでした。
家政婦のロゼフがヘンリーの好きな卵料理を用意するが、ブラッドレーのせいで嫌いになり、拒否します。
妻と娘は学校に向かい、家に残ったヘンリーはロゼフに昔の自分は仕事人間だったと聞かされます。
職場復帰したヘンリーは過去の自分が弁護した事件について調べます。
すると自分の仕事の仕方に疑問が出てきます。
サラと前は外で手を繋ぐことはなかったのに今では繋ぎ、なんと熱烈なキスまでしちゃいます。
サラの友人の新しいマンションのお披露目パーティーで有能な弁護士が大きな子供になってしまったと悪口を言われヘンリーは落ち込みます。
ベッドで落ち込んでいるとブラッドレーが訪ねて来ます。
ヘンリーはブラッドレーに昔と今の自分の違いに悩んでいると相談します。
ブラッドレーは人の言うことは気にするな、いつか自分が見えてくると助言します。
【転】心の旅 のあらすじ③
家にヘンリーの同僚のブルースから贈り物が届きます。
何気なく中の青い封筒を見ます。
どこかで見覚えがあるヘンリーは前に家を探索した時にサラのクローゼットの引き出しにこの封筒の束があったことを思い出します。
クローゼットから一封取り出し、手紙を読むとブルースと不倫関係にあると疑わしい内容でした。
帰ってきたサラをヘンリーは問い詰めます。
すると一時期、関係があったと認めます。
怒ったヘンリーは家を飛び出します。
その時、自分達夫婦は冷え切っていたとサラに聞かされます。
一度、職場へ行くもリッツ・カールトン・ホテルへ行きます。
そこに職場のリンダという女性が後をつけてきたと言い、訪ねて来ます。
ヘンリーはリンダから自分と愛し合っていたと告げられます。
毎週火曜日と木曜日にこのホテルで逢い引きしていました。
サラと別れると約束もしていました。
驚愕したヘンリーはホテルを後にします。
昔の自分を受け入れられず、湖の前のベンチでヘンリーは考え込みます。
そして、答えを導き出します。
【結】心の旅 のあらすじ④
ヘンリーは電車に乗り、マシューズの家を訪ねます。
その人はかつて、自分が弁護した事件で負かした相手でした。
その人が有利になる証拠を手渡します。
その足で弁護士事務所へ向かいます。
ボスのチャーリーに弁護士を辞めると告げます。
そして、不倫相手だったリンダにもさよならを告げます。
そして、家に帰ります。
サラに昔、2人が出会った時に言った台詞“フグを食べたことは?”と訪ねます。
サラは涙し謝罪します。
2人は抱き合います。
ヘンリーは自分が変わったこと、前に着ていた洋服が今は気に入らないこと、前は好きだった卵料理が嫌いになったこと、弁護士の仕事を辞めたこと、そして、今まで家族を蔑ろにしてきたことを謝罪します。
一番大切なものは家族だと気づきます。
レイチェルが通う寄宿学校の訓示の最中にヘンリー、サラ、飼い犬のバディがレイチェルを迎えに行きます。
ヘンリーは先生の前に行き、11年間の父親としての自分を反省します。
そして、これから再出発するために家族皆で学校を後にします。
心の旅 を観た感想
インディ・ジョーンズシリーズやSWシリーズなど数々の超大作に出演してきたハリソン・フォード主演の隠れた名作です。
仕事人間で冷徹な夫から記憶喪失になり、豹変する夫を見事に演じています。
この映画で最も注目してほしいところは父と娘の関係性です。
今まで、父から高圧的に娘に接するだけの関係でしたが、記憶喪失後はむしろ娘が父に教える立場になります。
図書館での過ごし方や娘の部屋のベッドで字が読めなくなった父に教える姿は微笑ましく、読めるようになると家族全員で抱き合って喜び回ります。
家族で喜びを分かち合う素晴しい名シーンです。
派手な演出はなくたんたんと物語が進みますが、最後には感動が静かに胸に広がる、家族愛を描いた作品です。
コメント
わかりやすい解説ありがとうございます。
随所に登場する「賢明」は「懸命」ではないでしょうか?