監督:デヴィッド・フレイン 2020年3月にIFCフィルムズから配給
CURED(キュアード)の主要登場人物
セナン(サム・キーリー)
本作の主人公。四年間の感染状態から回復する。
コナー(トム・ボーン=ローラー)
セナンと同時期の回復者。社会復帰後の待遇に不満を持っている。
アビー(エレン・ペイジ)
ジャーナリスト。セナンの義姉。回復後のセナンを引き取る。
キリアン(オスカー・ノーラン)
アビーの息子。セナンを迎え入れ、仲良くなる。
ライアンズ博士(ポーラ・マルコムソン)
感染者の治療法を研究している博士。感染者の安楽死処分に反対している。
CURED(キュアード) の簡単なあらすじ
ゾンビのように凶暴化する感染症が流行するも、治療法が発見された世界。
回復した人たちは社会復帰を試みますが、世間の目は冷たく、トラブルが多発しています。
セナンは感染時の記憶がフラッシュバックし、罪の意識に苛まれますが、義姉のアビーとその息子キリアンに迎え入れられる事で、救われ始めました。
しかし、セナンと同時期に社会復帰したコナーは世間の態度や待遇に耐えられず、「回復者同盟」を結成。
やがて社会への報復としてテロを起こします。
隔離されていた感染者を開放し、再びパニックになった街の中、セナンはキリアンを救うべく学校へ駆け出すのでした。
CURED(キュアード) の起承転結
【起】CURED(キュアード) のあらすじ①
感染した人間がゾンビのように凶暴化してしまう「メイズ・ウイルス」が流行した近未来のヨーロッパ。
多くの犠牲者が出るも、パンデミック発生から数年後に治療法が発見されたことで秩序が取り戻しました。
感染者の約75%が自我を取り戻しており、残りの25%の感染者も軍の隔離施設に収容されており、脅威は去っています。
回復者は社会復帰を試みるも、感染時の記憶による罪悪感で自殺、市民からの差別などトラブルが多発しています。
回復者の一人であるセナンは、義理の姉アビーに引き取られました。
感染時のフラッシュバックに苦しむセナンは、自分の兄であり、アビーの夫でもあるルークが死亡した時の事も伝えられず、罪悪感に苛まれます。
それでも新しい生活のため、感染者の治療センターでライアンズ博士の下で働き始めます。
ライアンズ博士は感染者の治療に反対しており、必死に治療の研究を続けています。
セナンと同時期に回復した元弁護士のコナーは、社会復帰後の待遇に不満を感じて父親に前職への復帰を訴えるも、元感染者である事で疎まれ、冷たい態度で拒否されてしまいます。
【承】CURED(キュアード) のあらすじ②
治療センターで働くセナンは、元はポーターであり、医療の知識はありませんが感染者は回復者を襲うことがないため、治療時に感染者を押さえたり、身の回りの世話などを行っていました。
治療中の感染者が、実はジョーという仲間の研究員でもあるため、ライアンズ博士は研究に没頭しているのでした。
アビーとキリアンと暮らす事で家族の温もりに触れ、セナンは救われていきます。
しかし、回復者も危険だと主張する市民たちのデモや襲撃事件が多発しており、アビーの自宅も、セナンを受け入れているために嫌がらせを受けます。
危険を感じた回復者たちは、ひそかに社会への不満を話し合うために集まり、やがて「回復者同盟」を結成します。
回復者同盟のリーダーとなったコナーは、セナンに深い絆を感じているため、半ば強引に勧誘します。
セナンは隔離施設での恩義のため、一度は同盟に加わりますが同盟の危険な思想を感じたことと、アビーとキリアンへの思いから、コナーと決別します。
【転】CURED(キュアード) のあらすじ③
感染時の記憶を思い出すセナン。
実はセナンを襲って感染者にしていたのはコナーで、さらに、感染したセナンは兄のルークをも食い殺してしまっていたのでした。
アビーに正直に当時の真相を打ち明けると、夫を殺されたと知ったアビーは激しく怒り、責め立てます。
セナンは一人、家を出ていくことになりました。
一方で、軍からも危険視されていたコナーは警察からも追われますが、警察を殺して逃げ延びたコナーは、回復者同盟と計画していたテロを実行します。
ジョーを軍に隔離されてしまったライアンズ博士を利用して、治療センターに侵入し、感染者の収容施設に入り込むと、感染者たちを解放しました。
感染者は町にあふれ出し、一般人を襲い始めました。
襲われた一般人も発症し、被害はどんどん拡大していきます。
ライアンズ博士は利用された事に気付きショックを受けますが、施設に残っていた、回復したジョーの姿を発見します。
二人が喜びに浸るのもつかの間、ライアンズ博士は感染者に襲われ倒れます。
ジョーは悲しみに暮れ、ライアンズ博士の隣に寄り添うのでした。
アビーは小学校に残っているキリアンを助けたいのですが、軍に止められてしまいます。
セナンはアビーの声を聞き、小学校へと向かいます。
【結】CURED(キュアード) のあらすじ④
小学校にたどり着き、キリアンと合流したセナンは感染者を退けながら逃げ惑います。
そこに現れたコナーは、セナンを裏切り者とののしり、強い憎しみをもって襲い掛かりました。
感染者からキリアンを逃がしながら、コナーに殴られるセナン。
武装車がコナーを撃ち、倒れている隙にキリアンを抱えてなんとか逃げ出しました。
コナーは倒れた場所からいつの間にかいなくなっています。
家に帰り、アビーと合流しましたが、そこでも感染者が襲ってきました。
撃退しましたが、その際キリアンがかまれてしまいました。
このままでは感染者になってしまうため、泣く泣くアビーはキリアンを殺そうとしますがセナンが「僕が治す」と、キリアンを抱えて去って行きました。
やがて感染者は制圧され、平穏が戻ってからしばらくたったある日。
コナーは回復者の権限復帰の第一人者としてたたえられている様子です。
感染者が潜伏している旨のニュースを見ていたアビーは、感染者となったキリアンを育てているセナンが映る映像を見て安堵の表情を浮かべるのでした。
CURED(キュアード) を観た感想
今までにありそうでなかった題材ということもあり世界観の把握と各キャラクターの感情移入にじっくり集中でき、飽きることなく観る事ができました。
ゾンビ化回復後の世界で描いてほしいことはひととおり表現されていたので、非常に満足しました。
ゾンビ化した人への差別的行動、またそれに対する報復行動が恐ろしいものとして描かれており本当に怖いのは病気よりも人間の感情・行動であるとを痛感する映画でした。
現在の新型コロナウイルス蔓延の状況化において、感染者の扱いについてどこか重なる面もあり、人間の心理について考える良いきっかけにもなりました。
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