監督:モルテン・ティルドゥム 2017年3月にソニー・ピクチャーズ エンタテインメントから配給
パッセンジャーの主要登場人物
ジム・プレストン(クリス・プラット)
アヴァロン号のエコノミークラスの乗客の男性。職業はエンジニア。
オーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)
アヴァロン号のファーストクラスの乗客の女性。職業は作家。
アーサー(マイケル・シーン)
アヴァロン号のバーテンダー。人造人間なので、やや融通が利かない。
ガス・マンキューゾ(ローレンス・フィッシュバーン)
ジムと同じくポッドの誤作動により目覚めてしまった船内クルーの1人。
パッセンジャー の簡単なあらすじ
宇宙への移住希望者らは、宇宙船の中で冬眠しています。
地球から目的地に到着するまで120年かかるので、その間ポッドの中で眠ることで歳をとらないようにしているのです。
しかし乗客ジムのポッドのみがエラーを起こし、30年目で目覚めてしまいました。
孤独に耐えられなくなった彼はある日美しい女性客オーロラを見つけ、彼女を意図的に目覚めさせます。
しばらくは幸せな日々を送るジム。
しかし、自分のポッドが故障したのはジムの作為によるものだと知ったオーロラの態度は一変します。
そんな中宇宙船が危機的な状況に追いやられ、2人は協力しこれを乗りこえます。
オーロラは再び冬眠する機会を得ますが、ジムと生きる決断をしました。
パッセンジャー の起承転結
【起】パッセンジャー のあらすじ①
人類は、宇宙への移住計画を試みています。
選ばれた5000人の希望者は、120年かけて目的地であるスペースコロニーに移住する予定です。
宇宙船の名はアヴァロン号と言い、5000人と宇宙飛行士らを乗せ移動しています。
人々は全て各自の冬眠ポッドに入っているので、歳をとることはありません。
コロニーまでの旅は一見、確実な物に見えました。
しかし発射から30年たったある日、1つのポッドが作動してしまいます。
中に入っていたのはジムという若い男性で、技術者でした。
船内は大勢の乗客に向けてのアナウンスのようなものが流れていますが、周りを見渡しても他の乗客の姿はありません。
ジムはパニックに陥り、船内を駆け回り自分が置かれている状況を把握しようとしました。
そしてなぜか自分のポッドだけ誤作動を起こし、目覚めてしまったのだと理解します。
状況をのみ込んだジムは、クルーを起こそうとしたり、再びポッドに入り冬眠しようとしたりあらゆる手段を尽くしますが、どれも上手くいきませんでした。
仕方なくアヴァロン号のバーで、人造人間のアーサーを話相手に酒を飲みます。
一時期は船内のアミューズメントを最大限に利用し、楽しむことにも挑戦しましたが、孤独の苦しみにはかないません。
1年後ジムは身だしなみにも気を使わなくなり、髭は伸び放題になっていました。
ほぼ廃人と化したジムは宇宙遊泳のアトラクションを試みた際、自殺を考えもしますが、そこは何とか踏みとどまります。
【承】パッセンジャー のあらすじ②
そんな時ジムは、冬眠ポッドの中で眠る美しい女性を見つけました。
その女性はオーロラという名前で、ジムの理想の女性にとても近い存在でした。
ジムはその日以来オーロラに興味を持ち、彼女についてあれこれ調べます。
宇宙船内のデータから、彼女が作家であることが分かりました。
そこにはオーロラのインタビューの動画もあり、彼女が話しているのをジムは夢中になって眺めます。
ジムは、オーロラに恋心を抱き始めたのです。
以前よりも幾分マシな時を過ごすジム。
けれども実際のオーロラは、ポッドの中ですやすやと眠っているのでした。
そのうちジムの中に、「オーロラのポッドに細工をし、故意に彼女を目覚めさせたい」という衝動が生まれます。
エンジニアであるジムにはそれが可能でした。
しかしジムの不運にオーロラを付き合わせるのは、決してしてはならないことです。
ジムの葛藤は次第にひどくなり、バーでアーサーにも相談します。
ジムは何度も「決してしてはいけない事だ」と肝に銘じます。
けれども結局孤独から逃れたい気持ちや、オーロラと話したい誘惑に勝てませんでした。
そしてついに彼女の冬眠ポッドをいじり、彼女を起こしてしまいます。
ジムは慌てて、その場を立ち去りました。
同時にジムはアーサーに「このことは秘密だ!」と口止めします。
一方目覚めたオーロラは最初の内、何が起こったのか分からないという風でした。
そこでジムはオーロラに声を掛け、状況を説明します。
自分は皆よりもおよそ90年も早く目覚めてしまったのだと知った彼女はえらく気が動転し、あらゆる手を尽くそうとしました。
ちょうど1年前のジムのように…。
しかし半ば諦めモードに入り、ジムと船内のゲームや食事を楽しむようになっていきます。
【転】パッセンジャー のあらすじ③
いつしか2人はラブラブモードになりました。
ジムは以前経験した宇宙遊泳をオーロラにも教え、そのロマンチックなデートに彼女は酔いしれました。
2人の生活は万事快調に見えます。
ジムはオーロラの誕生日に、指輪を用意しデートに誘いました。
その後2人はアーサーのバーに行き、3人で楽しくおしゃべりをします。
「ジムと私の間に秘密はない」オーロラは言います。
それにジムが合意したのを確認したアーサーは、「秘密がない」と受け止めてしまい、ジムがオーロラを意図的に起こしたことを暴露してしまいます。
その場で凍て付くオーロラ。
彼女は、ジムにあらゆる説明を求めます。
これによりオーロラとジムとの関係は一変しました。
オーロラはヒステリックになり、自分の人生を奪ったジムを拒絶します。
ジムは和解を求め続けました。
そんな折、ガスという名のクルーが冬眠ポッドから目覚めます。
ジムやオーロラと対面したガスは、最近船内の状況がおかしいと聞き、制御室などに入り調査します。
すると宇宙船が小惑星とぶつかったことにより、損傷していることが分かりました。
その上ガスの冬眠ポッドは、元々正常に機能していませんでした。
そのせいでガスは相当に弱っており、しばらくしてから死亡しました。
【結】パッセンジャー のあらすじ④
ガスの死に際に、ジムは彼のID付腕輪を受け取ります。
これによりジムたちは、船内のどの部屋にも入ることができるようになりました。
船内では次々とあらゆる機能がエラーを起こし、ジムとオーロラは喧嘩をしている場合ではなくなります。
機関室には、イン石がぶつかったとみられる穴が開いていました。
ジムは宇宙服に着替え、船外作業をすることを決意します。
オーロラは「必ず生きて戻ってきて」と、ジムに本当の気持ちを伝えました。
その後宇宙船自体が大ピンチとなり、ジムは自分を犠牲にする覚悟でオーロラに指示をします。
その後ジムは命綱も切れ、宇宙船から遠のいていきました。
オーロラは宇宙服を着こみ、ジムを救済します。
何とかピンチを切り抜け、2人はまた信頼関係を取り戻すことができました。
ジムは医療用のポッドを使用すれば、1人は再び冬眠することができると言い、それをオーロラに勧めます。
しかしオーロラはそれを断り、残りの人生をジムと過ごすことを決意しました。
およそ88年後、アヴァロン号の多くの乗客が冬眠から目覚めます。
惑星への到着まであと数カ月です。
船内には緑があふれ、ジムが植えた木は大きく育っていました。
パッセンジャー を観た感想
映画『パッセンジャー』の魅力は、何と言ってもその設定の面白さにつきます。
まず冒頭から、一般人乗客を乗せた宇宙船内で、イレギュラーな事態が発生するというアクシデントが起こります。
これにより観客は、この物語の世界に一気に引き込まれることでしょう。
テンポ良く進むストーリー、一人芝居をする俳優の演技力も秀逸です。
また本作品はSF映画としても楽しめますが、テーマから考えると恋愛映画のテイストが強いのも特徴と言えるでしょう。
地球上では何も良いことがなかった美女オーロラが、ジムという特別な男性に出会うことで一喜一憂する姿が感動的でもあります。
しかし、ジムが起こした行動は通常の常識で考えれば許されるようなことではなく、これについては賛否両論があるようです。
また細かい点で言えば、ファーストクラスのオーロラと、エコノミークラスのジムとで、食事内容が違うことなどから幾分貧富の差も感じられます。
このような細部へのこだわりがこの映画をリアリティのあるものにし、それによって登場人物に感情移入しやすくなっているのも魅力です。
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