監督:ロベルト・ベニーニ 1999年4月に松竹富士/アスミック・エースから配給
ライフ・イズ・ビューティフルの主要登場人物
グイド(ロベルト・ベニーニ)
本作品の主人公。陽気でしゃべりなユーモアあるユダヤ系イタリア人。古本屋店主
ドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)
グイドの妻。小学校教師。嫌なことがあるとしゃっくりが出る。
ジョズエ(ジョルジョ・カンタリーニ)
グイドとドーラの息子。戦車が大好き。シャワーが嫌い。
エリゼオ(ジュスティーノ・ドゥラーノ)
ジョズエの叔父。30年に渡りホテルの給仕をしてきた。
ライフ・イズ・ビューティフル の簡単なあらすじ
第71回アカデミー賞で作品賞の他7部門にノミネート、3部門受賞作品。
第二次世界大戦が目前に迫る1939年の北イタリアの田舎町に叔父のエリゼオ頼ってやってきたグイドは、小学校教師のドーラにひとめぼれ。
二人は結婚し、息子も産まれるが、ユダヤ人迫害でナチス・ドイツの強制収監所に送られる。
グイドは希望を失わず、息子ジョズエのために命を賭けて嘘をつき続ける姿を描く。
ライフ・イズ・ビューティフル の起承転結
【起】ライフ・イズ・ビューティフル のあらすじ①
1939年、ユダヤ系イタリア人のグイドは、本屋を開く夢を描き、叔父のエリゼオを頼って、イタリア・トスカーナ地方にやってきました。
そこで美しい小学校教師ドーラと運命的な出会いをします。
生活のためにホテルのボーイをしながら、ドーラの前に思いもかけないやり方で登場しては、なんとか彼女の気を引こうと奮闘します。
一方、ドーラも町の役人で幼なじみと婚約していたが、ユニークなセンスを持ち合わせるグイドに心を奪われ始めていました。
ついにグイドは、ホテルで行われている婚約パーティの最中に、大胆にも馬で乗り込み、ドーラを連れ去る事に成功。
駆け落ちながらも、二人は晴れて結婚しました。
2年後には二人の間に、息子ジョズエも産まれ、家族3人は、小さいながらも本屋を営みながら、一家で幸せな日々を送っていたました。
しかし、幸せな日々は長くは続かず、ムッソリーニによるファシズム政権下で、ユダヤ人の迫害がグイドたちが住む小さな街まで迫っていました。
【承】ライフ・イズ・ビューティフル のあらすじ②
ダヤ人迫害は、突然やってきます。
ある朝、ドーラが母親を食事に呼ぶため外出したとき、ナチス・ドイツ軍が侵攻してきました。
グイドとジョズエは叔父のエリゼオと共に強制収容所に連行されてしまいます。
ドーラも自ら収容所行きの列車に乗り込みました。
収容所では、男女別々の生活を送ることになり、グイドとジョズエは一緒にですが、ドーラとは別々の場所でジョズエは母と引き離れにされてしまい、不安になります。
グイドはその不安な気持ちをなんとかしてあげたいとユーモアなアイデアで嘘をつきます。
それは「1000点獲得するゲームなんだよ」「泣いたりしたら減点、ママに会いたがったりしたら減点。
いい子にしていれば点数がもらえ、1000点たまったら勝ち」「軍服を着た悪者に見つからないようにかくれんぼをするんだ」「勝ったら、本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ」と教えこみ、ジョズエを励まし続けました。
また、女性の収容所に押し込められたドーラにも、強制労働の合間を縫って、命がけで放送室に忍び込み出会った時の様に呼びかけたりと、息子だけではなく愛する妻をも励まし続けます。
【転】ライフ・イズ・ビューティフル のあらすじ③
ジョズエには、お気に入りの戦車を得るためまでのゲームであり、とにかく生き抜いて得点を稼げば、戦車がもらえるのだと、グイドはことあるごとに嘘をつき続けました。
辛い日々もグイドの機転の利いた話術によって、ゲームに様変わりをしていきます。
グイドが昼間、肉体労働に駆り出されている間、独り部屋に残ったジョズエは、2段ベッドに隠れては、戻ってきたグイドに「今日も見つからなかったよ」と満面の笑みで報告します。
「シャワーの日」は、実は毒ガスによって殺害される日でしたが、ジョズエはシャワーを嫌い、父の言うことを効かなかったため、運よく難を逃れていました。
得点を稼ぐために、戦車に乗っておうちに帰るために、逃げ隠れ続けることでジョズエは希望を失わずに収容所生活を送っていました。
グイドもまた息子への嘘や笑顔のジョズエを見ることを自らの希望にしていました。
グイドは機転や、なぞなぞに好きのドイツ人医師レッシングの助けもあり、生き延びることができていました。
【結】ライフ・イズ・ビューティフル のあらすじ④
ついに戦争の終わりがきます。
収容所は撤退準備をはじめます。
グイド達は、ナチス・ドイツ撤退と共に収容所から逃げようとします。
ジョズエをゴミ箱にひそかに隠して、ドーラを捜すうちに兵士につかまってしまいます。
グイドは背中に銃をつけられながらジョズエが隠れている場所を通るとき、おどけて行進ポーズをとってみせます。
その後、物陰に連れていかれ銃殺されてしまいます。
それが父グイドの最期の姿でした。
ジョズエはグイドの言いつけを守り、人の気配がなくなるまでずっとゴミ箱の中に隠れていました。
ドイツ兵が去った翌朝、ジョズエは連合軍の戦車が近づいてくるのを見て、「最後まで見つからなければ、ご褒美に本物の戦車がもらえるんだ!」という父の言葉通りだと大喜びしました。
戦車に乗せられたジョズエは母ドーラを見つけ、無事再会を果たします。
成長したジョズエは「こうして僕は、父が体を張って守ってくれたおかげで今、生きている」と父に感謝し、物語は終わります。
ライフ・イズ・ビューティフル を観た感想
子どもに対する親の無償の愛を感じる作品です。
戦争を背景とした作品をコメディタッチで表現することに賛否が伴うが、自分たちがおかれている過酷な状況を理解したうえで、純粋無垢な息子の笑顔を守るために父親は最後まで弱さを見せずに振る舞う強さや深い愛情に心を打たれました。
すべての嘘は、父親にとっては未来や希望だからこそ命がけで息子を守ったのです。
ただ、あと1日、半日と心では思いながらも、最後は悲しい結末になっていましました。
しかし、生き残ったジョズエはこの物語を「私への贈り物だ」と話していますので、父親の思いはしっかり受け取ったと思います。
どう生きるかは全て自分次第である、それまで明るく懸命に生きてきた人生が美しいのではないのかと思いました。
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