監督:トラヴィス・ファイン 2012年12月にビターズ・エンドから配給
チョコレートドーナツの主要登場人物
ルディ・ドナテロ (アラン・カミング)
ショーパブでダンサーとして働くゲイの男。
ポール・フラガー (ギャレット・ディラハント)
ルディのバーの常連で、ゲイであることを隠し生きる検察官。
マルコ・ディレオン (アイザック・レイヴァ)
ルディの隣の部屋に住むダウン症の少年。
チョコレートドーナツ の簡単なあらすじ
2012年のアメリカ映画。
1970年代に、ゲイの男性がニューヨークで育児放棄された障害児を育てたという実話を基に作られた映画。
1970年代後半のカリフォルニア。
アパートの隣の部屋で、ドラッグ中毒の母親から虐待を受けているダウン症の少年マルコの存在に気付いたゲイのルディは、マルコを母親から助ける為に、マルコを引き取り、恋人のポールと2人で育てて行く事を決意します。
しかし、ゲイの2人に対する偏見や差別が、彼らの幸せな生活の邪魔をするのでした。
日本語版のキャッチコピーは、「僕たちは忘れない。
ぽっかりと空いた心の穴が愛で満たされた日々—。」
チョコレートドーナツ の起承転結
【起】チョコレートドーナツ のあらすじ①
1979年、カリフォルニア。
ショーダンサーとしてゲイバーで働くルディと、検察官のポールはルディの働くバーで出会い、すぐにお互い惹かれ合い交際を始めます。
ポールは仕事の事もあり、自分がゲイである事を周りにはずっと隠して生きてきました。
ルディの住むアパートの隣の部屋では、ダウン症のマルコという男の子を持つ母親が2人で住んでいました。
マルコの母親は、夫を亡くしてから薬物依存症となり、マルコの世話もせずに、虐待をしたり、ほぼ育児放棄という形で、ドラッグや男に溺れてだらしない生活をしていました。
ルディはそんなマルコの事を心配し、いつも気にかけていました。
そんなある日、マルコの母親は薬物容疑で逮捕され、マルコは一人残されてしまいます。
ある夜、ルディは、施設から抜け出し、自分の家に帰ろうと夜道を1人で彷徨うマルコを発見します。
障害者のマルコを引き取ってくれる新しい里親は簡単には見つからないと考えたルディは、自分がマルコを引き取り、ポールと一緒に育てる事を決意します。
そしてチョコレートドーナツが大好きなマルコと、ルディとポールの3人の新しい生活が始まるのでした。
【承】チョコレートドーナツ のあらすじ②
ルディとポールは、まるでマルコの本当の親のように、愛情をかけてマルコを育てます。
身体に悪いからとチョコレートドーナツを食べさせないようにするルディに対して、チョコレートドーナツがマルコの大好物だと知っていたポールは、たまにはいいよとマルコにドーナツを与え、幸せそうにドーナツを頬張るマルコを見て、2人は幸せを感じるのでした。
バーでは普段、口パクで歌いながらショーダンサーとして働いていたルディでしたが、いつかはシンガーとして自分の声で歌える日を夢見ていました。
そんなルディの夢を知っていたポールは録音機を買い、彼の歌を録音し、レコード会社などチャンスがあるところに片っ端から送るのでした。
ポールは自分の仕事の知識を使い、ルディとともにマルコの監視者として法的にも認められるように手続きをとります。
そしてマルコは学校へ通えるようになり、ハロウィンやバースデーなど今まで経験する事のなかったイベントや楽しい思い出を作っていきます。
【転】チョコレートドーナツ のあらすじ③
順調に家族の絆を築き上げていた3人でしたが、幸せな日々はそう長くは続きませんでした。
検事のポールは、自分がゲイである事を隠し、ルディのことは従兄弟だと?をついましたが、ある日上司のホームパーティにルディと一緒に招かれた際に、ルディとポールが同性愛者だという事が周囲にバレてしまい、ポールはクビにされてしまいます。
そして世間の偏見から、同性愛者の保護のもとマルコを育てるのは教育に良くないと、マルコは家庭局に保護され、マルコは2人と離ればなれになってしまいます。
ルディはマルコを家庭局の保護下からどうにか取り戻したいと、ポールに相談し、裁判を起こす事を決意します。
同性愛者という事で避難される2人でしたが、マルコの通っていた学校の先生は、マルコが2人に引き取られてから、精神面でも学習面でも良い方向に成長したと裁判で証言します。
しかし、相手側の弁護士は、ルディとポールの同性愛関係の話ばかり聞き出そうとし、同性愛者による子育ては、マルコの教育に影響が良くなかったと主張します。
【結】チョコレートドーナツ のあらすじ④
裁判の結果、検事はマルコがルディとポールの元で暮らすのはふさわしくないと判決が下ります。
落ち込んだルディの元に、ブロードウェイのバーから歌手の仕事の話が舞い込んできます。
裁判の為にゲイバーを辞めていたルディは、その仕事の話を即承諾します。
そして、もう一度裁判を試みる事を決意し、新しく黒人の弁護士を雇います。
今度こそ、マルコを取り戻せると信じていたルディでしたが、相手側の弁護士はマルコの母親を仮出所させ、裁判に出廷させます。
その結果、マルコの養育権は母親に戻り、ルディとマルコは離ればなれになってしまうのでした。
母親の元に戻ったマルコは、ここは自分の家じゃないと必死に訴えます。
母親は、再び薬物に手を出し、前の生活に戻ってしまったマルコは、ルディとポールの家を探しに夜の街を彷徨います。
そして、バーでシンガーとして歌うルディとタイプライターを打つポール。
ポールが裁判に関わった人々に宛てた手紙が読まれ、そこには新聞の片隅の切り抜きに、マルコが家を求めて3日間さまよった後、橋の下で死亡したと綴られていました。
ポールは、あなたたちが気にも留めない人生だというセリフを残し、ルディがマルコを想い力強く歌うシーンで物語は幕を閉じます。
チョコレートドーナツ を読んだ読書感想
アメリカの実話を基にしたストーリーという事もあり、とても考えさせられる映画でした。
同性愛者に対する理不尽な世間の偏見により、マルコに対するルディとポールの美しい無償の愛が受け入れられないのは、とても悔しかったです。
チョコレートドーナツが大好きだったマルコが、嬉しそうにドーナツを食べる姿を見つめる2人のシーンは今でも心に残っています。
最後にマルコが母親の元から家出して、ルディとポールを探しに行く様子がとても切なく、シンガーを夢見ていたルディがマルコを想い、力強く歌うシーンはは心に刺さり、涙が止まりませんでした。
新しい家族のカタチを考えさせられる、悲しくも美しい大好きな映画のひとつです。
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