「時をかける少女」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|大林宣彦監督

映画 時をかける少女

監督:大林宣彦監督 1983年7月に東映洋画から配給

時をかける少女の主要登場人物

芳山和子(原田知世)高校1年生。理科実験室でラベンダーの香りの煙でタイムリープの能力を得る。深町一夫(高柳良一)薬学用の植物の採取を目的に、現代に来た未来人。堀川吾朗(尾美としのり)和子の同級生で幼なじみ。造り酒屋の跡取り息子。

時をかける少女 の簡単なあらすじ

土曜の放課後、芳山和子は、同級生の深町一夫と浅倉吾朗らとともに理科室の掃除をしていました。

実験室の物音を聞いた和子が中に入るとフラスコが割れて、ラベンダーの香りの白い煙が漂い始めました。

和子は気を失い、その日を境に同じ情景を繰り返すようになります。

深町は、和子がタイムリープを起こしていると教えます。

深町は何者なのか温室へ向かうとラベンダーの香りがします。

和子は深町のもとへたどりつきます。

深町は、自分は未来人で薬学に必要な植物の採取のためにこの時代に来たことを告白します。

そして2人はあの日の理科実験室に戻ります。

そしていつかまた会えることを約束し、別れていくのでした。

時をかける少女 の起承転結

【起】時をかける少女 のあらすじ①

はじまりは理科実験室

雪山のスキー合宿の日、芳山和子と幼なじみの浅倉吾朗が一緒にいると、深町一夫が現れました。

和子は、深町のことを存在感が無く、変わった人だと言います。

集合場所に行くと、深町のスキー板がありません。

不思議なゲレンデの夜でした。

新学期の土曜日の放課後、掃除当番だった芳山和子は、同級生の深町と吾朗らと理科室にいました。

2人がごみ捨てに行っている間に、和子は隣の実験室で物音を聞きます。

確かめようと中に入った時、突然フラスコが落ちて割れ、ラベンダーの香りの不思議な白い煙が漂い始めました。

においをかいだ和子は気を失ってしまいます。

保健室で気が付いた和子は、吾朗と深町と一緒に下校します。

気遣う2人に対して、自分はどこか変ではないかと問いかける和子でした。

帰る途中に深町の家があり、祖父母が紅茶を飲んでいます。

深町は和子を家に迎えいれます。

和子は温室が気になって中を見たいと頼みます。

そこで綺麗なラベンダーの花を見つけるのでした。

【承】時をかける少女 のあらすじ②

繰り返す月曜日

次の日の日曜日、起きて朝食をとる時間に、何か自分の感覚に違和感がありました。

疑問に思いながらも、和子は吾朗に借りたハンカチを返しに行きます。

そして月曜日の朝、和子は吾朗と深町に元気になったことを告げます。

どこかおかしな感覚を持ちながらも、いつも通りの学校生活を送ります。

その夜、突然地震が起こりました。

和子は吾朗の家の方に火の手が上がっていることを心配し、慌てて駆けつけました。

深町も同じように心配して来ていました。

幸い火事は無事に収まり、2人は安心して帰ります。

深町は明日草花の採集のため、学校を休むことを告げました。

次の日の火曜日、妙な夢を見て起きる和子でしたが、学校に向かいます。

吾朗と和子が一緒に並んで歩いていると、お寺の瓦が落ちてきます。

危ない!と吾朗を助ける和子ですが、はっと気が付くとそれは、夢でした。

起きて学校へ行く和子でした。

もちろん今日は火曜日です。

しかしその日は前日に体験したことと同じことが起こります。

和子は同じ月曜日を繰り返していたのでした。

その夜、やはり地震があります。

和子は深町に自分の身に起きたことを話ました。

するとテレポーテーションとタイムトラベルを同時に起こしていると言われます。

困惑する和子でしたが、深町が自分に共感してくれたことをうれしく思うのでした。

【転】時をかける少女 のあらすじ③

時を旅する

次の日の火曜日、和子が体験したように、お寺の瓦が落ちてきました。

助けた吾朗の指に傷を見つけます。

小さい頃和子と深町は一緒に事故にあり、深町が手に傷を負った記憶があります。

しかし実際に傷があったのは吾朗でした。

深町との思い出が実は吾朗との思い出だったと気づく和子は、深町は何者なのかと不思議に思い、彼を探しにいきます。

そしてもう一度、温室でラベンダーの香りをかいだ和子は、タイムリープを起こして深町のもとへたどりつきました。

深町は高い断崖にいました。

突然現れた和子に驚いた深町は、自分は薬学に必要な植物の採取のために、この時代にやって来た未来人であることを告白しました。

元の普通の女の子に戻りたいという和子に深町は、あの土曜日の理科実験室に帰ろうと呼びかけます。

何度も時をさまよいながらも、土曜日の理科室を目指して時を旅するうちに、和子は、幼い頃の自分や過去の出来事を体験します。

そして、和子は土曜日の放課後に戻ることができたのです。

【結】時をかける少女 のあらすじ④

別れと未来

理科室のカギを渡された和子は1人で実験室に向かいます。

そこには深町が待っていました。

自分が未来人であることを明かしてしまった深町は、もとの時代に帰らなくてはいけません。

その上、深町が関わったすべての人の記憶も消さなくてはいけません。

深町との思い出は、あの不思議なスキー合宿の夜から始まっていたのです。

思い出を消さないでと懇願する和子に、吾朗と幸せになるべきだと諭します。

この苦しい気持ちは愛なのか、時間はどうして過ぎていくのかと、和子は自分の思いをぶつけます。

そして2人は、たとえ記憶をなくしても、いつかまた会えることを約束し、別れていくのでした。

幾年の後、和子は大学に残って薬学を学んでいます。

吾朗とは相変わらず、仲のいい幼なじみのつきあいです。

ある日大学にやってきた青年に廊下で、薬学部の部屋を聞かれます。

答える和子は何かを感じて、一瞬振り返ります。

深町も一瞬振り返るのですが、あえなく遠ざかってゆくのでした。

時をかける少女 を読んだ読書感想

ロケは、大林宣彦監督の出身地である広島県尾道市で行われました。

坂が多く、昔ながらの厚い瓦屋根の古い町並みは情緒があります。

現在では開発された場所も多くありますが、風情のある町として人気が高い観光地となっています。

私は、この映画は本当に大好きで何回も観ました。

そのたびに切なくて、泣いてしまうのです。

思春期から大人へと、変わっていく不安定な少女の気持ちを、切なく表している映画だと思います。

この作品には、別れの場面が2つあることが分かります。

深町が未来へ帰ってしまう1度目の別れと数年後の大学の廊下での2度目の別れです。

ただ2度目の別れは少し未来を感じます。

もしかして、再会した2人に発展があるのかなと泣きながら期待してしまうのでした。

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