監督:ブレット・ラトナー 2014年10月にパラマウントから配給
ヘラクレスの主要登場人物
ヘラクレス(ドウェイン・ジョンソン)
本作の主人公。怪力で正義感が強いが、神の子ではなく生身の人間。傭兵として仲間たちとともに各地を転戦している。
アムピアラオス(イアン・マクシェーン)
ヘラクレスの仲間で予言者。神の声を聞く力があり、戦の行方をある程度知ることができる。ヘラクレスの悪夢の意味を教えるなど、彼の良き助言者でもある。
イオラオス(リース・リッチー)
ヘラクレスの甥。口が達者でお調子者。ヘラクレスの戦功を神話にアレンジして広めていて、ヘラクレスの武勇を高めるのに役立っている。
ユージニア(レベッカ・ファーガソン)
トラキアの王女。国内の混乱を収めるようヘラクレスに依頼する。幼い王子アリウスの行く末を案じている。
コテュス(ジョン・ハート)
現トラキア国王で、ユージニアの父。野心家で全ギリシアの制覇を狙っている。
ヘラクレス の簡単なあらすじ
怪力の傭兵ヘラクレスはトラキアの王女ユージニアに頼まれ、体重分の金貨と引き換えにトラキアの内乱を終結させるため戦うことになります。
トラキア兵を鍛え上げ、強力な軍隊をつくりあげたヘラクレスは反乱軍と戦い勝利しますが、実はトラキア王コテュスが王位を奪った暴君であり、反乱軍は正義のため戦っていたことを知ります。
ヘラクレスはトラキアを救うためコテュスと戦いますが、捕らえられてしまいます。
ヘラクレスの前に現れたアテネ王エウリュステウスは、冥土の土産にとかつて彼の妻子を殺したことを告白します。
怒りを燃やしたヘラクレスは戒めを解き放ち、仲間たちとともにコテュスと戦い、トラキアを無事暴君から救いました。
ヘラクレス の起承転結
【起】ヘラクレス のあらすじ①
巨体と怪力を持つ傭兵ヘラクレスは、預言者アムピアラオスや女戦士アタランテ、投げナイフ使いのアウトリュコスなどを引き連れて旅を続けていました。
ヘラクレスが達成したという十二の難行は彼の甥のイオラオスが広めたものですが、その噂がヘラクレスの武名を高めていました。
ヘラクレスは傭兵を引退し、黒海の北で静かに暮らすことを考えていましたが、彼の評判を聞いたトラキアの王女ユージニアが国内の混乱を収めてほしいと頼みにきます。
トラキアは武将レーソスの反乱により内戦状態になっていたのです。
トラキアへ赴いたヘラクレスは、国王コテュスから国内の事情を聞かされます。
トラキアはレーソスとの戦いで兵を使い果たし、国内には農民や商人しか残っていません。
しかもレーソスは妖術を使い、半神半獣の怪物ケンタウロスを率いており普通の人間には殺せない、とコテュスは語ります。
結局、体重の二倍の金貨と引き換えに、ヘラクレスはレーソスと戦うことを決意するのです。
【承】ヘラクレス のあらすじ②
レーソスが軍を率い、トラキア国内のベッシ族の土地に向かっていると知らせが入ります。
ベッシ族は勇猛ですが未開な部族なので、レーソス軍には到底勝てないと判断したトラキア王コテュスは軍を率い、ベッシ族を助けに向かいます。
ヘラクレスも訓練を施した農民兵を率いて王に付き従いますが、いざ到着するとベッシ族の死体の山が築かれていました。
しかしこれは罠で、ベッシ族の一部はレーソスの妖術により操られ、死んだふりをして待ち伏せていたのです。
農民兵たちはヘラクレスの訓練通り、盾で壁をつくり王の周囲を守ります。
ヘラクレスが向かってきたベッシ族を殴り飛ばすと味方は勢いづき、ヘラクレスと仲間たちは襲い掛かってくるベッシ族を次々と倒していきます。
しかしベッシ族の猛攻の前に盾の壁は破られ、コテュス王も一時は危機に陥りますが、ヘラクレスと仲間たちは戦車を用いてベッシ族を撃退しました。
ヘラクレスがユージニアに傷の手当てをしてもらい眠りにつくと、地獄の番犬ケルベロスと戦う悪夢を見るます。
予言者アムピアラオスは、ケルベロスをまだ終えていない難行のことだとヘラクレスに告げるのでした。
【転】ヘラクレス のあらすじ③
ヘラクレスの訓練により精強な軍へと育ったトラキア軍は、トラキア国境のアスティカス山のふもとでレーソス軍と激突します。
トラキア軍は見事勝利し、敵の将軍を捕虜にして凱旋します。
捕らわれた将軍はへラクレスに「お前は暴君の側についた」と告げます。
宴の席で、ヘラクレスはユージニアが敵将に水を飲ませようとするのを見、彼女がレーソスに同情していることを悟ります。
そして、本当は戦を起こしたのはコテュスの方ではないかとユージニアに問いただします。
ユージニアは自分の夫はかつては王で、コテュスに毒殺されたと告白します。
これがレーソスが王に背いた原因だったのです。
コテュスの側についたのは息子アリウスを守るためだとユージニアは語り、国を出るとき息子を連れて行ってほしいとヘラクレスに頼みます。
コテュスは今後トラキア軍を率いるようヘラクレスに求めますが、事の真相を知ったヘラクレスは断りました。
王から報酬を受け取ると、ヘラクレスはコテュスからトラキアの民を救う決意を固めるのでした。
【結】ヘラクレス のあらすじ④
ヘラクレスは仲間たちとともに王宮に攻め入りますが、多くの兵士たちに包囲され、一度は武器を捨て降伏します。
コテュスはアリウスを連れ去り、ヘラクレスは鎖で地面に繋がれてしまいました。
ヘラクレスの前にアテネの王エウリュステウスが現れ、コテュスはエウリュステウスと組んでギリシア全土を征服するとヘラクレスに宣言します。
ヘラクレスはかつてエウリュステウスが自分を薬で眠らせている間、妻と子を番犬に殺させたことを思い出します。
エウリュステウスはヘラクレスの名声を恐れ、彼を家族を殺した凶悪犯に仕立て上げたのです。
そしてコテュスはヘラクレスの目の前でユージニアを処刑しようとします。
怒りに燃えるヘラクレスは鎖を地面から引きちぎり、エウリュステウスの番犬を殺します。
見苦しく命乞いをするエウリュステウスを刺し殺したあと、ヘラクレスはアリウスの救出に向かいます。
ヘラクレスはコテュスの背後に並ぶ兵士たちにともに戦おうと呼びかけますが、コテュスはアリウスを人質に取り、ヘラクレスに降伏を呼びかけます。
このとき、アウトリュコスの投げたナイフがアリウスを捕まえていた兵士に命中し、ヘラクレスは危機を脱しました。
コテュスはヘラクレスが倒したヘラ像に押しつぶされ、トラキアは暴君から解放されたのです。
ヘラクレス を観た感想
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスを主人公とした作品ですが、神話らしさは薄く、歴史映画のような雰囲気の強い作品です。
ヘラクレスは悪を決して許さない人物で好感が持てますし、仲間たちの個性もきちんと出ています。
弓使いの女戦士アタランテの戦場での活躍は見ごたえがありますし、一見恐ろしく見える狂戦士テュデウスが幼い王子アリウスを守る一幕は胸が熱くなります。
アムピアラオスが自分が死ぬ場面を予言していたのに、ヘラクレスの活躍で予言が外れるなど笑えるシーンもあります。
尺が1時間34分と短く、ストーリーがシンプルでテンポよく進むため飽きることなく最後まで観ることができました。
重装歩兵と騎馬の激突など、歴史好きな人にも楽しめるシーンが多く、ギリシャ神話ファンだけでなく古代ギリシャ史好きな方にも広くおすすめできる作品です。
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