監督:中田秀夫 2022年9月に松竹から配給
“それ”がいる森の主要登場人物
田中淳一(相葉雅紀)
本作の主人公。妻・爽子の父親と折り合いが悪くなり、単身で福島市のオレンジ農家で働いている。
赤井一也(上原剣心)
淳一の息子。母親とケンカし、東京から来てしばらく淳一の元で生活することとなる。森で奇妙な物体に遭遇。
北見絵里(松本穂香)
一也の担任の先生。転校してきた一也のことを何かと気にかける。
赤井爽子(江口のりこ)
淳一の妻で一也の母親。経営者の父親の元で働いている。
児玉勉(小日向文世)
小学生のころ天源森で銀色の飛行物体、化け物を目撃した過去を持つ。UFOのことなどを独自に調べ上げ、淳一にいろいろとアドバイスをする。
“それ”がいる森 の簡単なあらすじ
「リング」で日本中にホラーブームを巻き起こした中田秀夫監督が新たに仕掛けた、得体のしれない“それ”の恐怖を描いた新しいホラー作品です。
転職してオレンジ農家で働く淳一の元に東京から息子の一也が転がり込み、しばらく一緒に生活することになりました。
その頃、学校近くの天源森で子供の失踪事件が起きます。
そして森から得体のしれないモノの気配が漂い始め、徐々に町を飲み込んでくのでした。
“それ”がいる森 の起承転結
【起】“それ”がいる森 のあらすじ①
ニュースで流れる、東京新宿・歌舞伎町で起きた強盗事件。
ホストクラブに男女2人組の強盗が押し入り、7500万もの大金を奪って逃走していると報じられています。
福島県天源森まで逃げてきた強盗犯のカップルは、ほとぼりが冷めるまで強奪した金を森の中に隠しておこうと、地面をシャベルで掘ります。
女が「少しくらい」と札束を1つ手にしますが、男は「怪しまれるから」とバッグに戻し、バッグを穴に埋めました。
用を足しに行った男の姿が見えなくなり、女は必死で探しますが、見つけたのは男の腕でした。
そして森に女の悲鳴が響き渡ります。
—2月。
天源森近くのオレンジ農園で働く田中淳一は、オレンジを収穫しながらその出来のよさに喜んでいました。
しかし病気の木を見つけ、被害が広がらないように仲間と手分けして切っていきます。
そこに東京から家出してきた小学生の息子・一也がやってきました。
驚く淳一でしたが3年ぶりの再会を喜びます。
夜、一也の母親で淳一の妻・爽子が東京から訪れました。
3年前まで淳一たち家族は東京で暮らしていましたが、生花販売の経営者である爽子の父親と折り合いが悪くなった淳一が家を出ていました。
爽子の元に残った一也でしたが、最近塾のためにサッカーを辞めさせられたことで爽子と険悪になってしまい、爽子は「しばらく預かってほしい」と一也に頼みます。
淳一は了承しました。
転校して登校する初日、一也の担任の先生である北見絵里が一也を迎えに来てくれました。
そしてクラスで転校生として紹介され、新しい学校生活がスタートしました。
ユウジという大柄な少年と仲良くなった一也は、放課後、天源森の中にあるユウジが作った秘密基地に案内されます。
基地の手前には大きな落とし穴があり、2人はジャンプして中に入って「熊が来ても平気だ」と笑いました。
【承】“それ”がいる森 のあらすじ②
基地から帰る途中、2人は銀色の奇妙な物体を見つけます。
一也のスマホで写真を撮ろうとしますが、スマホの電源が切れていて撮ることができませんでした。
上空にカラスが集まり、気味が悪くなった2人は急いでその場を後にします。
翌日、ユウジが昨日見た金属の物体のことをクラスメイトに話しますが、みんな信じませんでした。
ショウタという少年が「証明してみろよ」と言い、ユウジは「証明出来たら一也を仲間だと認めろ」と言い返します。
そして母親のスマホを持ったユウジと一也は再び森へ向かいました。
しかしそこにあの物体はありません。
日が暮れ始め、2人は帰ることにしましたが、獣の唸り声のようなものが聞こえてユウジはスマホを構えました。
草が揺れたところを撮影すると一瞬何かが見え、何かがユウジの頭を押さえつけました。
驚いた一也は逃げようとしますがそのまま気絶してしまいます。
家では淳一が、電話も出ず帰宅しない一也を心配していました。
ユウジも帰宅していないということで、淳一はスマホの位置アプリで一也の居場所を特定し、絵里と天源森へ向かいます。
絵里は学校で聞いた銀色の物体を見に行ったのかもしれないと言います。
そして2人は倒れている一也を発見しました。
急いで病院に運びますが特に異常はなく、淳一は一応爽子にも連絡を入れます。
目を覚ました一也は何かに怯えた様子で、見つかっていないユウジのことも何も話そうとしません。
警察や消防隊と一緒に、淳一、絵里も捜索のため森へ入ります。
そしてそこで札束の入ったカバンと、あの強盗犯2人の遺体が見つかりました。
横には草が焼けて煙が立つ円形の痕があります。
警察は熊の仕業だと判断しますが、淳一はこの焦げ跡が気になりました。
そして近くではユウジの靴が発見されます。
学校では森に入ったことで先生から叱られ、「ユウジは熊に襲われた」と話すショウタとケンカになり、一也は心を閉ざすようになってしまいました。
【転】“それ”がいる森 のあらすじ③
ある夜、ビニールハウスに何者かの気配を感じた淳一が様子を見に行くと、そこで2体の銀色の化け物のようなものを目撃してしまいます。
同じころ、一也の同級生が自室で勉強中、銀色の化け物に連れさられてしまいました。
強盗犯の遺体発見や2人の子供の失踪を受けて町長は報道機関のインタビューに応じ、「天源森の熊を探し出す」と宣言しました。
そしてまもなく猟友会によって熊が捕殺されます。
町の人はみな胸をなでおろし、学校でも子供たちにもう安心だ、と伝えられましたが、捕殺された熊の胃の中からは、キノコしか発見されませんでした。
ユウジを心配して一人森に入った一也は、位置情報アプリを見て探しに来た淳一に叱られます。
しかしそこで一也は淳一に、鉄のような物体のことや、ユウジが奇妙な化け物に襲われたと明かします。
そして、襲われた時に落としたユウジのスマホがあるはずだと言い、その日はとりあえず家に戻って、翌日淳一はスマホを探すために1人森に入りました。
枯葉の下からスマホを発見し、画像を確認すると、そこにはまるで宇宙人のような銀色の生き物が映っていました。
それは淳一がビニールハウスで見た化け物にそっくりです。
そして帰宅した淳一はまたも、ビニールハウスでその化け物と遭遇してしまいました。
3体もいます。
化け物が近づいて来て絶体絶命な中、病気のオレンジの枝に触れた化け物が苦しみだしてみな逃げて行き、淳一は「助かったー」と声を漏らしました。
町では一連の事件が「熊」ではなく「不審者」ではないかと噂が立ち、町中でも銀色の化け物を目撃する人が出てきました。
淳一はユウジのスマホを警察に見せて化け物のことを話しますが、警察は「被りものだ」と、全く信じようとしません。
淳一は過去に似たようなことがなかったか調べ、1962年にあった小学生2人の失踪事件にたどり着きます。
そして絵里と共に目撃者、児玉勉の元へ向かうことにしました。
【結】“それ”がいる森 のあらすじ④
児玉の家には世界中のUFO関連の資料が溢れていました。
そして児玉から過去の事件の話を聞き、児玉もまた警察に相手にされなかったと知ります。
淳一の元にキャンプ場で家族が襲われたと連絡が入り、淳一は化け物が大人ではなく子供を狙っていると考えました。
さすがに事態を重く見た警察が、子供たちを学校に避難させます。
学校では一也が「人間じゃない」と言って先生たちに訴えますが、まだ信じてもらえません。
淳一は、化け物がオレンジに触れて逃げ出したことを思い出して、ビニールハウスに残された化け物の粘液の分析を依頼します。
児玉からは、化け物は人間の子供を食べることで成長しているようだと連絡が入りました。
森へ入った警察官たちはみな殺され、町では停電が発生。
校舎からは外を歩く数体の化け物が見えます。
やがて化け物は校舎内へと入り込み、教員は子供たちを体育館の用具室へと移動させました。
淳一は分析結果を聞き、化け物が植物レベルの細菌に対応できないと知って病気のオレンジの汁を染み込ませた棒を用意します。
化け物に連れて行かれた友達を追って一也が森へ入ると、目の前で友達は捕食され、化け物は分裂して2体になりました。
そこに淳一がやってきてオレンジの汁が染み込んだ棒で戦います。
しかし1体が淳一と一也を追ってきました。
2人は森の秘密基地へと向かい、追ってきた化け物は落とし穴に落ちながら淳一と一也を飲み込みます。
しかし化け物はそのまま細菌でもがき苦しんで死に、2人は化け物の腹を裂いて外に脱出しました。
警報音を鳴らしながら赤く光った宇宙船が飛び立っていきます。
「あいつら逃げたの?」と聞く一也に、「だといいけどな」と淳一は答えました。
1か月後。
すっかり学校にもなじんだ一也は同級生と楽しそうにサッカーに興じていました。
淳一と爽子は一也を見つめながら、こっちで3人で暮らそうと話しをします。
その上空を飛行物体が飛んでいきました。
“それ”がいる森 を観た感想
全く得体のしれない”それ”の正体に、絶妙な恐怖演出で迫っていきます。
さすが中田秀夫監督ですね。
とは言っても「リング」のような恐怖レベル強ではなく、子供でも観れそうな比較的マイルドな怖さに落ち着いていると思います。
親子は無事生還しますが、そこからも上空を飛ぶUFOはまだまだ宇宙人たちの活発な動きを表していますね。
意味ありげなラストが良かったです。
そしてエンドロールで流れ続ける本物?のUFO画像、映像も興味深かったです。
ホラーというより、SF要素の強い作品でした。
キャストもとても豪華ですし、子供たちの演技も自然で見やすかったです。
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