映画「生きちゃった」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|石井裕也

映画「生きちゃった」

監督:石井裕也 2020年10月にフィルムランドから配給

生きちゃったの主要登場人物

山田厚久(仲野太賀)
本作の主人公。ネット書籍の仕分けの仕事をしています。妻と娘・鈴と暮しています。

山田奈津美(大島優子)
厚久の妻。婚約者がいた厚久に、あることで救ってもらい結婚。

武田(若葉竜也)
厚久と奈津美の同級生。厚久の一番の理解者。

生きちゃった の簡単なあらすじ

厚久、奈津美、武田は学生時代の同級生です。

厚久と奈津美は結婚し、厚久は、奈津美に良い暮らしをさせることを夢見て英会話や中国語を習い、いずれ武田と起業しようと考えています。

しかし、厚久が具合が悪くなり会社から早退すると、奈津美はある男と浮気をしていました。

感情を言葉で伝えるのが苦手な厚久は、動揺したものの離婚を受け入れ家を出ます。

奈津美は、厚久と暮していた家で新しい人と一緒に暮らし始めますが…。

生きちゃった の起承転結

【起】生きちゃった のあらすじ①

妻の不貞

厚久と武田は、中国語と英語を習っていました。

その理由は、起業するためです。

起業して厚久は、妻・奈津美と娘・鈴を幸せにしようと考えています。

厚久と武田は、英語だと本音がスラスラ出ることが不思議でした。

厚久と奈津美と武田は学生時代の同級生で仲良しで、今も武田は厚久の家によく来て自然にそこで過ごします。

そんな時、奈津美は武田に育児の不満を打ち明けます。

お盆に厚久と奈津美と鈴は、厚久の実家へ帰省しますが、奈津美は厚久の実家が苦手でした。

厚久の両親は少し変わっていて、特に母が奈津美と鈴へ不快な態度を取ります。

さらに厚久には引きこもりの兄がいるのでした。

そんな夜、鈴が灯りを利用して影絵をしていると、厚久も一緒にきつねの影絵を作りますが、鈴はきつねじゃなくて犬だといいます。

すると、鈴に犬が欲しいのか?と聞くと、鈴は、そうとは言ってないといいながら、まんざらでもない顔をしました。

書籍のネット販売倉庫で働く厚久は、突然耳鳴りがして早引きさせてもらい家に帰りました。

家に帰ると、扇風機が回ったままで奈津美の姿が見当たりませんでした。

しかし、隣の部屋で奈津美と見知らぬ男性の浮気している現場を厚久は、目撃してしまいます。

【承】生きちゃった のあらすじ②

厚久、武田、奈津美の関係

厚久は奈津美から、あなたから愛情を感じずにずっと苦しかったといわれ、かつて厚久に婚約者がいたことを蒸し返されます。

その婚約者は早智子といい、厚久は婚約破棄して奈津美と結婚したのです。

厚久は離婚についての大切な話をしているのに、大切なことは何も言わず「じいちゃんがいたのかいなかったのか」と関係無い話をしだします。

厚久は出て行き、鈴はもうすぐ小学生になります。

厚久は経済的に苦しく英会話を辞めました。

しかし、厚久は今も奈津美と鈴に庭つきの家と犬を飼いたいと思い続けています。

ある日、奈津美は武田の部屋を訪れます。

武田は奈津美をズルいと罵りますが、何も知らないのに責めないで欲しいと言い返されます。

武田は、「厚久は奈津美が大変な時に婚約破棄までして奈津美を救ったのに。」

と言うと、奈津美は救って欲しかったのではなく愛して欲しかったといいました。

武ちゃんと結婚すればよかったと高校生の時からずっと好きだと奈津美に言われて武田は困惑します。

さらに、奈津美はある日家に帰ると早智子が家に来ていて厚久が泣いていたという武田の知らなかった話をしました。

奈津美は厚久はそれ以来変わったと思っていたのです。

今は奈津美には好きな人・洋介がいて、その気持ちを否定したくないと思い厚久のことは好きだったけど今は女でいられると武田にいうのでした。

武田は苛立ち奈津美を追い返しますが、去り際に「なんかあったら電話しろ」といいます。

厚久は心の中では泣いてるけれど涙がでない、奈津美を悲しませた自覚があると武田に言います。

帰りたくないという厚久を武田は家に泊めましたが、武田の家に奈津美のマフラーがあり家に来たことを知ってしまいます。

武田は厚久に疑われていると感じますが、厚久は本音を言わずに昔歌手を目指していたころの歌を歌うのでした。

【転】生きちゃった のあらすじ③

奈津美の悲劇

半年が経ち、洋介は豹変し働かなくなっていました。

スーパーで働いていた奈津美は、お金が足りず厚久にお金の無心をします。

厚久は電話で奈津美になにか言おうとしますが、何も言えませんでした。

厚久は、奈津美と別れたことを親に報告します。

引きこもりの兄は、相変わらず働きもせずに大麻を吸って親をイラつかせます。

洋介は、新しく仕事を始め順風満々のように見えました。

厚久に会いにきた兄は、厚久の家に洋介がいて、洋介を追いかけ何かを言おうとしますが、言葉が出ずに洋介に殴られました。

さらに兄は洋介を追いかけ、殴り返し殺害してしまいます。

洋介が亡くなり半年後、奈津美は洋介の作った借金の連帯責任になっていたことが判明。

結局、奈津美は洋介とは籍を入れていませんでしたが、風俗で働きお金を返すことになりました。

奈津美が居ない時に厚久の元婚約者が来たのは、実は早智子は赤ちゃんが出来ない体だったから別れて良かったと言いに来たのでした。

厚久は早智子に謝り、奈津美を大切に思っていると告げたのでした。

そんなやりとりを奈津美に見られたというわけでした。

奈津美は鈴を母に預けて風俗で働いていましたが、その半年後お客に殺されてしまいます。

厚久の元に警察が訪ねてきて、厚久は奈津美が殺害されたことを知るのでした。

【結】生きちゃった のあらすじ④

本当に言いたいこと

厚久と武田は、お葬式に行きますが、奈津美の母にもう関わらないでと追い返されます。

鈴のことは忘れてくださいと言われてしまうのでした。

それでも帰らない厚久のところに鈴がきて、影できつねを作ってくれましたが、すぐに義母に連れて行かれます。

やりきれない厚久は、武田と一緒にラブホテルに行き、奈津美の大好きだったパピコをお供えします。

ラブホテルで、奈津美を本当に愛していたのか?それとも早智子を忘れられなかったのか?と武田に聞かれた厚久は、英語で奈津美を今でもずっと愛していると答えます。

武田は、厚久を車に乗せて、奈津美の実家へ向かいます。

鈴の実家は、一戸建てで庭があり犬を飼っていて、厚久が鈴に与えたかったものがすべてありました。

厚久は、鈴を一目見ただけで去ろうとします。

厚久はずっと言えなかったこと「鈴はお父さんの宝物だよ。

できれば一緒に暮らしたい。」

という言葉を言いたいけれど、今まで本当に思っていることは言えなかったから言えないと言うのでした。

しかし、武田がそんな厚久を見て泣きだし「俺が見ててやるから本当のことを言え。」

と背中を推してくれるのでした。

厚久は泣きながら鈴に会いに行くのでした。

生きちゃった を観た感想

この映画は、人間関係がこじれてしまったことで起きた悲劇を描いています。

深く説明せず見ている側が勝手に感じて良い作風になっていて、厚久と武田と奈津美の学生時代からの三角関係は、きっと武田が厚久を好きだったからこじれたのでしょう。

そもそも奈津美と武田が一緒になっていたら悲劇は起きなかったと感じます。

さらに、厚久の家には、母と兄と厚久にコミュニケーション能力になにかしらの問題があり、生きづらさを感じてます。

気持ちを言葉にするのが下手でも愛情はあるということが描かれていましたが、結局武田にしかそれは伝わっていません。

ラスト、厚久が鈴に気持ちを伝えて何かが変わるといいなと思いました。

厚久が奈津美を救ったできごとは何だったのか?厚久の兄が殺害した人は奈津美の新しい彼氏だということは分かっているのか?という謎が残りましたが、どのように解釈しても良い作品だと思います。

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