監督:堀江貴大 2021年9月にハピネットファントム・スタジオから配給
先生、私の隣に座っていただけませんか?の主要登場人物
早川佐和子(黒木華)
結漫画家。夫の俊夫とは結婚して5年経つ。
早川俊夫(柄本佑)
漫画家だが最近は描いていない。優しく気配り上手だが気弱な面もある。
桜田千佳(奈緒)
佐和子の担当編集者。あっけらかんとした性格で俊夫の漫画のファンでもある。
下條真由美(風吹ジュン)
田舎でひとり暮らしをする佐和子の母。
新谷歩(金子大地)
佐和子が通う自動車学校の教官。
先生、私の隣に座っていただけませんか? の簡単なあらすじ
結婚して5年。
漫画家の佐和子は、同業の夫・俊夫と共に母が暮らす田舎で過ごす事になりました。
優しく頼りになる俊夫ですが、佐和子の担当編集者・千佳と密かに不倫していました。
ある日、佐和子の部屋で新作漫画の原稿を見つけた俊夫は、そこに自分達の不倫が描かれている事に驚きます。
さらには、妻自身の不倫を示唆する物語も…。
これはフィクション?それとも実話?俊夫は、嫉妬と疑念で混乱していきます。
先生、私の隣に座っていただけませんか? の起承転結
【起】先生、私の隣に座っていただけませんか? のあらすじ①
漫画家の佐和子は、長く続けた連載を終えひと心地ついていました。
担当編集者の千佳から早くも次の連載の準備をもちかけられると、働きすぎの妻を心配した夫・俊夫がやんわりと制します。
千佳と俊夫のやりとりを眺める佐和子。
同業の夫・俊夫とは結婚して5年。
俊夫は、常に佐和子の事を気遣う優しく理解のある夫です。
帰ろうとする千佳を横目に、俊夫に駅まで送ることを促す佐和子。
すると、2人を見送った佐和子のスマホが鳴ります。
それは、ひとりで暮らす母・真由美が事故にあったという連絡でした。
心配した佐和子は、俊夫と共にしばらくのあいだ実家で暮らす事にします。
実家は、車がないと不便な場所。
俊夫の薦めもあり、免許を取得するため自動車学校に通い始めます。
しかし、実際に車に乗るとアクセルが踏めません。
佐和子は、運転恐怖症かも知れないと落ち込みます。
さらに、新作の構想を千佳にダメ出しされてしまいます。
そんな折、自動車学校でいつもと違う教官の指導を受けることになった佐和子は運転ができるように。
そして、新たな作品を描き始めます。
【承】先生、私の隣に座っていただけませんか? のあらすじ②
活き活きと自動車学校に通うようになった佐和子。
ある日、俊夫は佐和子の自室で彼女の新作のネームを見つけます。
そこに描かれていたのは、自分達とよく似た人物でした。
身に覚えのあるシチュエーションと会話。
夫と担当編集者を送り出した漫画家の主人公が、2人がキスしているのを目撃してしまうシーンです。
戦慄する俊夫。
あの時、見られていた?もしかしたら、不倫がばれてしまったのかも知れない。
俊夫は急いで自動車学校へ向いますが、佐和子にいつもと変わった様子はありません。
ほっとしたのも束の間、ネームの続きを読んだ俊夫は再び焦り始めます。
なぜなら、そこには佐和子に似た主人公と自動車学校の教官・新谷の不倫が描かれていたからです。
慌てて自動車学校に乗り込む俊夫。
しかし、佐和子と新谷のやりとりに疑わしいところは見られませんでした。
それでも、疑念がぬぐえない俊夫はついに佐和子を問いただします。
あの漫画は実話ではないか、と。
すると、佐和子からあの漫画が実話なら俊夫君は不倫しているの?と問い返されてしまいます。
俊夫は言葉に詰まり、不倫を認めることはできませんでした。
【転】先生、私の隣に座っていただけませんか? のあらすじ③
佐和子は仕事と自動車学校の二重生活を続け、ついに運転免許を取得します。
ある日、ドライブをしたいとひとりで出掛けると、夜が更けても帰ってきませんでした。
心配する俊夫に、「私たち2人ともあの子に捨てられちゃったのかもね」とつぶやく真由美。
その予感が当たったのか、佐和子は翌日になっても帰ってきませんでした。
俊夫が不安に駆られていると、自宅のファックスに原稿が届きます。
それは、佐和子から送られてきたネームの続きでした。
そして、そこには新谷とホテルで過ごす場面が描かれていたのです。
頭を抱える俊夫のもとに、今度は千佳がやってきます。
千佳は佐和子の新作ネームを絶賛し、不倫の事などなかったかのようにのびのびと過ごします。
妻の実家で、妻の母と不倫相手の3人で過ごす状況に狼狽する俊夫。
しかし、その日も佐和子は帰ってきませんでした。
そして失踪から数日、ついに佐和子が帰宅します。
ところが、その隣には新谷の姿があったのでした。
【結】先生、私の隣に座っていただけませんか? のあらすじ④
真由美、俊夫、千佳、誰もが新谷との関係を訝しげに見つめるなか、佐和子は仕事のため一人自室にこもってしまいます。
しびれを切らした俊夫が、新谷に2人の関係を問いただします。
しかし彼は、佐和子と自動車学校以外で会うのは今日が初めてだと告げます。
誘われたから食事に来ただけで、佐和子がここ数日間どこで何をしていたかは知らないと言うのです。
俊夫は、佐和子が自分のために頑張って免許を取ったのだと聞くと、何かを決意したかのように席を立ちます。
原稿を描く佐和子に、話がしたいと呼びかける俊夫。
俊夫は、千佳と関係があったことを打ち明けました。
なぜ、自分が聞いた時に話してくれなかったのかと問い詰める佐和子。
一方で、東京に帰ると言う俊夫に対し、原稿のペン入れは俊夫先生にして欲しいと頼みます。
先生、私の隣に座っていただけませんか?と。
俊夫は、「新谷先生のことはフィクションだよね?」と改めて確認します。
「心が動いた?」と聞く佐和子。
俊夫が漫画を描けなくなったのは、何に対しても心が動かなくなった事が理由だったからです。
佐和子が俊夫のアシスタントをしていた時のように、並んで漫画を描く2人。
しかし、翌朝俊夫が目覚めるとそこに佐和子の姿はありませんでした。
新谷の姿も一緒に。
先生、私の隣に座っていただけませんか? を観た感想
静かにじわじわと夫を追い詰めていく展開は、不倫に対する復讐モノとしては新しく非常に面白かったです。
何より、黒木華さんと柄本佑さんの演技が抜群に良かったです。
華やかではないけれど、腹に一物あるような女性を演じさせたら黒木さんはぴったりはまると感じました。
佐和子の漫画を見て、現実とフィクションの境界線が曖昧になり混乱する俊夫。
観ているこちら側も、最後まで真実が分からず佐和子に翻弄されてしまいました。
また、脇を固める奈緒さん、風吹ジュンさんの演技もすばらしく、日本映画らしい魅力的な作品だと感じました。
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