監督:飯塚健 2020年7月にエイベックス・ピクチャーズから配給
ステップの主要登場人物
武田健一 (山田孝之)
本作の主人公。妻・朋子に先立たれ美紀を育てるシングルファーザー。営業から総務部へと異動。
武田美紀 (田中里念)(白鳥玉季)(中野翠咲)
健一の娘。とてもしっかりしていておしゃまな女の子
斎藤奈々恵 (広末)涼子
健一の仕事仲間であり、再婚相手。
村松明(國村隼)
健一の亡き妻・朋子の父。健一を自分の息子のように思っている。
ステップ の簡単なあらすじ
妻・朋子を亡くし残された娘・美紀を一人で育てる健一ですが、美紀が保育園の頃は愛情不足でグズり大変な毎日を送ります。
小学生になった美紀には成長に伴った新たな問題が出てきますが、健一は美紀の気持をよくわかっていました。
段々と美紀も手がかからなくなり、健一は以前のように仕事をバリバリこなすようになっていきそこで出会った斎藤と…。
ステップ の起承転結
【起】ステップ のあらすじ①
武田健一は、30歳の若さで妻に先立たれ、まだ2歳にならない美紀を1人で育てなくてはならなくなりました。
そのため、営業の部署から総務部に異動させてもらいフレックス制を利用し、美紀を育てています。
美紀が保育園デビューし最初は順調でしたが、ある時からグズリがひどくなりました。
健一は、その理由が分からず保育士のケロ先生から小さい子は言葉に出来ないから小さいサインが出ていないかと言われてしまいます。
しかし、美紀のグズリの原因はケロ先生にありました。
他の子どもは、家に甘えられる場所があるけれど美紀には母は居ない為ケロ先生に甘えています。
しかしケロ先生が行事の用意で忙しいために美紀の甘えを後回しにしていたのでした。
そのため美紀は愛情不足になっていたのです。
ケロ先生も母を早くに亡くしたために美紀の気持ちが良くわかり、ひいきをしてしまうといい美紀の母はもっと美紀を抱っこしたかっただろうと無念の気持ちを感じ泣いてしまいます。
健一は自分も美紀を抱っこしているのにと思う反面、ケロ先生の優しさにふれついケロ先生を食事に誘いますが、ケロ先生は同僚と結婚が決まっていると断るのでした。
【承】ステップ のあらすじ②
美紀が小学生になり、図工の時間にお母さんの絵を描くということで美紀の担任は頭を悩ませていました。
他にそういう子がいなくどのように美紀に絵を描かせたらよいかと健一と面談したいというのです。
そこで健一は、担任から思いがけない話を聞きます。
美紀が嘘をついたと言うのでした。
美紀が自己紹介で、お母さんが家に居ると言ったと言うのです。
しかし、健一は美紀は嘘を言ったのではなく、家で美紀の母が美紀を見守っているという意味だったと感じました。
しかし担任は、健一に負けず嫌いと嘘は違うと責めるのでした。
美紀は写真を見ながら母の絵を描く練習をしていました。
それを見て健一は、健一の通うカフェの店員さんが亡き妻に似ていることから美紀と店員さんを会わせて遊んでもらいます。
美紀はお姉さんと写真の母をイメージして絵を仕上げました。
クラスメイトにヒドイことを言われても自分の気持をハッキリ伝えられ、健一にも優しく美紀はだんだん成長しています。
健一は、義理の父母の親切に複雑な気持ちを抱えながらも美紀と亡き妻の接点を絶やさぬように努力しつづけるのでした。
【転】ステップ のあらすじ③
朋子が亡くなり10年が経ち、義理の父は仕事のトラブルから意地で退職し、義理の兄夫婦は不妊治療を止め、今でも健一と付き合いは続いていました。
美紀も小学校高学年になり手がかからなくなり、ますます明るく生意気な女の子に成長。
健一は総務から営業開発の仕事へと移り、そこで知り合った女性・斎藤奈々恵となんとなく良い雰囲気になっています。
そのことを、義理の兄と父に気が付かれてしまった健一は、まだ曖昧な報告しかできませんでした。
しかし気を利かせた義理の父が、運動会のお弁当を毎年作ってくれる義理の母が具合が悪いと嘘をつき、彼女に作ってもらえと言ってきました。
けれど、奈々恵は作ってあげるとは言ってくれず、健一に作り方を教えてくれると言い奈々恵の家でお弁当の巻きずしを作る練習をすることになりました。
二人きりになってドキマギする健一でしたが、奈々恵の家にはへそのをがあり奈々恵はあえて出しておいたといいます。
奈々恵には子どもを死産した過去があり、それを健一には知っておいて欲しいと涙ぐみながら話すのでした。
美紀も奈々恵と健一がそういう関係だということに気が付いていて、運動会に来ないことを気にしていました。
順序が違うからと説明する健一しつつ、今度会ってくれと美紀にお願いすると運動会の練習につきったあと、美紀は「いいよ」と言ってくれるのでした。
そう振る舞ったけれど本当はまだ子どもの美紀は、奈々恵と食事をしたあと吐き熱を出すようになります。
【結】ステップ のあらすじ④
美紀はその後健一に見えない壁を作っていき、奈々さんと行けばいいと一緒に出掛けてくれなくなりました。
それでも、健一のために食事を作ってくれたり優しい一面はありますが、中学生になるタイミングで祖父母の家に住むと言い出すのでした。
健一は、美紀が奈々恵を無意識に拒絶してることを義父母に相談すると、最初から親子になれるわけじゃないんだからと優しく説教されました。
義父母に背中を押された健一は、美紀に告知なく奈々恵を朝ごはんに誘うという荒療治に出ましたが、美紀は部屋にこもってしまいます。
何度ぶつかってもいいと覚悟した健一でしたが、美紀は割と早く部屋を出て来てくれました。
やっと再婚できた健一ですが、義理の父が倒れてしまい美紀の前ではカッコつけたい義父は美紀を病室に呼びません。
もうすぐ小学校を卒業する美紀は、祖父の病室で謝恩会を開くことにし招待状を作っている時、奈々恵をはじめて「お母さん」と呼びました。
つらい思い出を増やしたくないという理由で病室で謝恩会をすることに好意的ではない義父に向かって、義父との別れは美紀を優しくして一生懸命生きることにつながると健一は息子として義父に話すのでした。
週末に季節外れの雪が降り、病室から見える雪景色の中、祖父は美紀にカッコつけるためスーツに着替えます。
義父は奈々恵に健一と美紀を頼むとお願いし、「ずっと仲良く幸せに朋子のぶんも生きてくれ」とお願いしました。
健一は死に逝く義父に、元・妻朋子へ「美紀は優しい子に育ってくれた」と伝言を頼むのでした。
健一は卒業式の前夜、仏壇の朋子に向かってたくさん話しました。
そして卒業式当日、美紀は母の写真に向かって元気に行ってきますと言い家を出ると、中学生になったらパパじゃなくてお父さんと呼ぶという美紀に、「反抗期になった時あんまり嫌ってくれるなよ」と思う健一でした。
ステップ を観た感想
単なるシングルファーザーの奮闘記ではなく、家族の愛の物語です。
親切な義父母に違和感を覚えていた健一と、無意識に奈々恵を拒絶する美紀。
その二つがリンクしていて、年月を経て本当の親子のようになっていった義父母と健一、美紀と奈々恵の対比が自然でした。
いろんな人の愛に支えられて成長していく美紀が、単なる可哀想な子どもではなくてきちんと意見できるたくましい子で良かったです。
いろんなエピソードがある中、美紀が母の似顔絵を描く宿題のシーンだけが、苛立ちを感じさせます。
担任の対応に腹が立ちましたが、それすら軽く乗り越えていく健一と美紀はこれからもいろんなことを乗り越えていくのだろうと思わせてくれました。
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