何者(朝井リョウ)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

何者

【ネタバレ有り】何者 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:朝井リョウ 2012年11月に新潮社から出版

何者の主要登場人物

二宮拓人(にのみやたくと)
社会学部の5年生。学生サークルで演劇の脚本を元大学生のギンジと作っていた。Twitterの裏アカウントで誰にも言えないことを日々呟いている。

神谷光太郎(かみやこうたろう)
拓人の友人でルームシェアをしている。社会学部の5年生。就活開始前までバンド活動していた。性格は明るく、コミニケーション能力が高い。

田名部瑞月(たなべみづき)
光太郎の元恋人で拓人の片思いの相手。社会学部の5年生。米国でインターンシップを経験しており、留学生交流会で理香と出会う。

小早川理香(こばやかわりか)
拓人達の部屋の上の階に恋人の隆良と住んでいる。外国語学部国際教育学科の5年生就職活動に対する意識が高い。

宮本隆良(みやもとたかよし)
理香の彼氏。就活対策本部に参加するものの、就職活動に批判的であった。

何者 の簡単なあらすじ

たまたま知り合った、学生5人の就活物語です。しかし、ただ就活をしていることを描いているのではなく、イマドキの若者ならではの就活の仕方や、今の私たちになくてはならないSNSを通して変化していく人間関係を描いています。大学生5年目の5人は各々の就活情報を交換し、切磋琢磨しながら共に就活を乗り越えようと「就活対策本部」をつくるところから物語は始まります。

何者 の起承転結

【起】何者 のあらすじ①

就活対策本部

拓人と光太郎の友人である瑞月は、理香と留学生交流会で出会いました。

偶然にも理香は、拓人達の上の階に住んでいました。

同じ大学5年生で就活生と言うこともあり、自分の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まろうと提案をしました。

理香の部屋にはパソコンやコピー機もあるので、エントリーシートなど必要な書類をプリントアウトするにはとても便利だったので、よく皆で集まり就活状況の報告をしていました。

どのようにエントリーシートを書いているか、模擬面接の対策、OB訪問等、有益となる情報を交換し互いに就活に対する意識を高めていました。

しかし。

みんなで協力して就活を乗り越えていこうと話をしていると、理香と同棲している恋人の隆良は、就活をする彼らを理解できないと言うかのように「みんなで同じ方向に歩いていくなんてしたくない。

就活、就職をしなくても生きていけるようになりたい」と持論を言うのでした。

【承】何者 のあらすじ②

内定者

5人の中で最初に内定が出たのは瑞月でした。

希望していた職種とは少し違いますが、大手の企業でした。

理香の部屋でいつものメンバーで内定祝いをしました。

そこで、「意識高い系」の理香はその程度の職場では満足しないと言うような発言をしていました。

次に内定が出たのが光太郎でした。

光太郎も、希望していた企業ではありませんでしたが、就きたかった出版系の会社です。

拓人は祝福しました。

しかし、仲間内から内定者が出てしまうと、内定が決まっていない者は焦りを感じます。

ある企業の面接で拓人と理香は同じグループディスカッションを受けました。

理香は米国留学や海外ボランティアの経験を元に発言をしますが、他の面接者が話しているのを遮ってしまっていました。

グループディスカッションを行う上で、良い行動とはいえません。

周りが内定を決めていき、焦っているようでした。

【転】何者 のあらすじ③

裏アカウント

拓人は光太郎の内定先が気になり、企業の評判を自身の携帯電話で検索していました。

また、理香も瑞月の内定先の評判をパソコンで検索していました。

そして、ある日、互いに、友人の内定先の評判を検索している事を知られます。

そこで、理香は「拓人くんが内定出ない理由が分かる」というのです。

理香は拓人の裏アカウントの存在を知っていました。

Twitterのアカウントはメールアドレスで検索することができるのです。

拓人はその裏アカウントで誰にも話せない本音をつぶやいていました。

そして、理香は続けて「みんな、そんな拓人くんのこと『痛い』って思っているよ。

カッコ悪い姿を見せたくないって観察者ぶってる人なんか、どの会社だって欲しいと思うわけないじゃん。」

と告げます。

拓人は理香に図星をつかれてしまいました。

【結】何者 のあらすじ④

何者にもなれない

拓人は就活2年目の就活浪人です。

光太郎は単位が足らず留年しており大学5年生、瑞月と理香は留学をしており大学5年生、隆良は1年間休学をしているので大学5年生なので、他の人は初めての就活ですが、拓人だけが1年目で内定をもらえず2年目だったのです。

拓人は自分のことは棚に上げて、いつも他人を観察し悪態をついてました。

時には仲間の裏アカウントを特定し、その内容をチェックしていました。

その行動は「自分が何者でもない」という不安を隠す為のものなのです。

「何者にもなれない」自分からは目を逸らし、他人の評価ばかり気にしています。

そして拓人の裏アカウントにはこのようなつぶやきもあります。

「今年も内定が出ない。

理由が分からない。」

しかし、物語の最後、拓人は理香に言われた言葉で成長をしたのか、面接官の問に「短所はカッコ悪いところです。」

「長所は、自分はカッコ悪いということを、認めることができたところです。」

と答えていました。

自分のカッコ悪いところを目を逸らさず、ちゃんと向き合って初めて”自分”が何者なのか理解できるのでしょう。

何者 を読んだ読書感想

この物語を就職活動中に読んでいたら病んでいたかもしれないな、と思いました。

この小説は「」のつぶやきが、物語の重要な要素になっている新しいタイプの小説でした。

物語の途中に「アカウント名」で登場人物たちのつぶやきが書かれていました。

特につぶやきが多かったのは、拓人と理香でした。

この人が内定をもらったところまでは描かれていませんでした。

就職活動に焦るのと比例して、つぶやきが増えたのでしょうか。

実際に私も、理香のように「面接行ってきた」「エントリーシート書いた」など、よくつぶやいていたかもしれません。

私たちの生活に溶け込んでいるなどは、今ではなくてはならないものかもしれませんが、人間関係に一番影響してくるものなのだなと感じました。

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