監督:ティムール・ベクマンベトフ 2008年9月に東宝東和から配給
ウォンテッドの主要登場人物
ウェスリー・ギブソン(ジェームズ・マカヴォイ)
主人公。顧客サービスの会社に勤務。お人よしで利用されやすい。
キャシー(クリステン・へイガー)
ウェスリーと同せい中。ひそかに別の男性とも付き合っている。
フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)
百発百中の殺し屋。運転技術も卓越している。
スローン(モーガン・フリーマン)
フォックスが所属する組織のリーダー。権謀術数に長けている。
クロス(トーマス・クレッチマン)
スローンの右腕。裏切り者のレッテルを貼られて現在の消息は不明。
ウォンテッド の簡単なあらすじ
ごく普通のサラリーマンとして生きてきたウェスリー・ギブソンをスカウトしたのは、「フラタニティ」の指導者・スローンです。
暗殺者として開眼していくウェスリーは、生まれて間もない頃に生き別れになった父親について探っていきます。
スローンこそが父を策略にはめた張本人だと見破り、ウェスリーは敵討ちを果たすのでした。
ウォンテッド の起承転結
【起】ウォンテッド のあらすじ①
幼い頃からパニック障害に悩まされているウェスリー・ギブソンは、顧客管理担当として就職した先でもうまくいっていません。
住んでいるのは電車の騒音と振動が激しい高架下にあるアパートで、恋人のキャシーからはもっと静かな場所へ引っ越したいと文句を言われていました。
いつものように真夜中過ぎに退社してドラッグストアで精神安定剤をもらいにいくと、店内にいた見知らぬ男から銃口を向けられます。
ウェスリーを赤いスポーツカーに乗せてその場から無事に逃がしてくれたのは、フォックスと名乗る女性です。
たどり着いた先は中世ヨーロッパ様式の城壁に囲まれた紡績工場で、彼女のボス・スローンが詳しいいきさつを説明してくれます。
つい先日メトロポリタンビルである男性が亡くなったこと、凄腕のスナイパーだったこと、彼こそが生後7日目のウェスリーを置いて失踪した父親だったこと。
ウェスリーの父は1000年ほど前に機織り職人たちによって創設された、秘密結社「フラタニティ」の一員でした。
【承】ウォンテッド のあらすじ②
自らの身に危機が迫っていることを察知していた父は、これまでに稼いできたかなりの額の報酬をウェスリーの口座に送金していました。
働く必要がなくなったウェスリーは嫌みな上司の目の前に辞表を突き付けて、キャシーと浮気をしていた同僚を殴りつけてオフィスを飛び出します。
スローンの話によるとウェスリーはパニック障害ではなく、急激に大量のアドレナリンが放出されているそうです。
実戦で安定した力を発揮するためには、殺しの達人たちに混じって肉体のコントロールを学ばなければなりません。
飛び回るハエの羽を狙って撃ち落とす、発射した銃弾の軌道を意志力だけでねじ曲げる、猛スピードで横移動するシャトルを素手でキャッチ。
厳しいトレーニングにたちまち音を上げそうになったウェスリーに、スローンは父の死にまつわる疑惑を伝えます。
クロスという裏切り者が自分よりも腕の立つ父を始末するために、ビルの屋上に呼び出して不意打ちを食らわせたそうです。
【転】ウォンテッド のあらすじ③
機織りマシンが縦糸と横糸を使った暗号でターゲットの名前を送信、スローンが解読、戦闘員たちがミッションを遂行。
すべては乱れきった世の中を変えるためでもあり、ひとりの悪人を始末して1000人の善人を救うためでした。
数々の訓練をクリアして組織に認められたウェスリーも、クロスとの直接対決を目指して次々と任務をこなしていきます。
ウェスリーが先日ドラッグストアで騒ぎを起こした男を目撃したのは、アパートに隠していた拳銃を取りに帰った時です。
彼こそがスローンが言っていたクロスだと気がつきますが、左腕に銃撃を受けてしまい捕まえることができません。
ウェスリーの腕から摘出された弾丸を調べてみると、チェコ東部のモラヴィア地方にある武器工房で作られたものだと判明します。
現地まで乗り込んでいったウェスリーはサポート役として同行していたはずのフォックスに走行中の特急列車から突き落とされそうになりましたが、救いの手を差し伸べてくれたのがクロスです。
【結】ウォンテッド のあらすじ④
クロスは列車ごと海の底谷へと墜落していき、生還したウェスリーは彼こそが実の父親だったことに気がつきました。
クロスがフラタニティを去ったのはスローンが組織の力を乱用していたため、ドラッグストアで発砲したのはウェスリーに接触しようとしていたフォックスを止めるため。
クロスはこれまでも我が子の成長をかげながら見守っていて、すべては自分とは違う真っ当な人生を歩んでいってほしかったからです。
この6週間で300万ドルにまで膨れ上がっていたはずの預金残高は14ドル足らずしかなく、ドラッグストアの一件でウェスリーもウォンテッド(指名手配)されているために元の生活には戻れません。
紡績工場へ帰ってきたウェスリーは、機織り機が最後の標的の名前「スローン」を紡ぎ出していく様を目の当たりにします。
先回りしていたスローンは背後から射殺しようとしますが、目の前の青年がウェスリーの替え玉であることに気が付いていません。
スローンが足元に刻まれた「X」の文字を見た瞬間に、どこからともなく飛んできた銃弾に頭部を貫かれるのでした。
ウォンテッド を観た感想
自分自身を「金もなく意気地もなく将来性もない」と卑下する、何とも残念な若者・ウェスリー・ギブソンが主人公です。
ウェスリー役を演じているジェームズ・マカヴォイはいかにも草食系男子といった風ぼうで、およそドラマチックな予感は伝わってきません。
「君の中にはライオンが眠っている」というスローンの言葉通りに、徐々に隠された力を解き放って見違えるようにワイルドになっていました。
生身の俳優たちによるスピーディーなアクションの合間に、VFXを駆使した撃ち合いが挿入されていて迫力があります。
宿命の敵と思っていた相手が父、身近にいたあの人がラスボスなどどんでん返しも用意されていて驚かされますよ。
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