映画「半世界」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|阪本順治

半世界

監督:阪本順治 2019年2月にキノフィルムズから配給

半世界の主要登場人物

高村絋(稲垣吾郎)
本作の主人公。炭焼き職人。

沖山瑛介(長谷川博己)
元自衛官。離婚して田舎に戻ってきた。

高村初乃(池脇千鶴)
絋の妻。昔は田舎町のマドンナ的存在。

岩井光彦(渋川清彦)
絋と瑛介の幼なじみ。自動車販売会社を経営している。

半世界 の簡単なあらすじ

絋と瑛介と光彦は、田舎町の幼なじみ。

小さい田舎町では全ての人が知り合いで、時に窮屈です。

久しぶりに戻ってきた瑛介は、どこか様子がおかしいのです。

心配した絋は世話を焼きます。

しかし絋も瑛介を心配するほど余裕はなく、仕事の問題、息子の問題を抱えていました。

しかし、友情により瑛介の気持ちはほぐれていきますが、ある日、瑛介は事件に巻き込まれてしまいます。

半世界 の起承転結

【起】半世界 のあらすじ①

田舎のコミュニティ

久しぶりに瑛介が帰ってきました。

幼なじみの絋と光彦は、知らされていなくて驚きます。

瑛介は自衛官をやめ、離婚をしていて人を避け口数も少なくなっていました。

そんな瑛介を絋は気にしていました。

絋は、父親がやっていた炭を作る仕事を継いでいました。

炭職人は、山にこもり孤独で精神的にも肉体的にもキツい作業ですが、絋は一人で働いていました。

絋には、妻・初乃と息子・明が居ます。

明は、反抗期で親の言うことをきません。

光彦は、明に対して無関心すぎるもっと構ってやった方がいいと絋に忠告しますが、子どもがいないくせにと言ってしまい光彦を怒らせます。

しかし光彦は、夜中に絋の家におしかけ謝らせるのでした。

光彦の口ぐせは、絋と瑛介と自分は正三角形の関係と言うことです。

誰かが欠けたら成立しません。

その後、明は単なる反抗期ではなく、いじめに遭っているようだと分かり初乃は心配しますが、絋はそれほど気にせず、ますます明から反発されるのでした。

【承】半世界 のあらすじ②

炭職人の重労働

瑛介は、家にこもり何かに苦しんでいるようでした。

そんな瑛介を心配した絋は、飲みに誘います。

光彦も加えスナックで飲んでいると、酔っ払った瑛介は次第におしゃべりになります。

自衛官時代の部下の面白い話をして、三人は昔のように盛り上ります。

その後三人は、子どもの時のように海に行き、おしくらまんじゅうをするのでした。

瑛介は店から持ち出したウィスキーを海に流しました。

その後も仕事をせずこもってる瑛介を、絋は自分の仕事をボランティアで手伝わせます。

炭焼きの仕事は、まず山で木を切りクレーンで下におろし窯まで運びます。

炭焼きの作業は1000℃にもなり重労働です。

さらに配達、営業も絋が一人でこなしていたことに瑛介は驚きます。

しかも絋の父親時代からの取引先には、父の炭と比べられ取引が無くなってしまいます。

その様子をみて瑛介は俺も頑張るからと言いますが、その言葉の真意を絋は汲み取ることが出来ませんでした。

一方、明は万引きをしてしまいましたが、それでも自分に関心がない父に悲しみを感じます。

しかし、明は仲間をかばったことで、これでもういじめられないと思い込むのでした。

【転】半世界 のあらすじ③

瑛介の衝動性

明のいじめがエスカレーターしはじめ、絋は瑛介に今度明をご飯に誘って欲しいと頼みます。

瑛介は、明がいじめられてる現場に遭遇し、子どもたちを恫喝し明を連れ帰ります。

自衛官として鍛え抜かれた瑛介は、明に一番デカい奴以外は大したことないからやっつけろと言い戦い方を教えます。

そして、うどんを食べながら明に絋の子どもの頃の話をしてあげました。

そのおかげか、絋と明の関係は少しだけ改善されていきます。

ある日、自動車販売店を営む光彦の家に、買ったクルマを使ったあと返品するチンピラがきて暴れ回ります。

仕事の途中、通りかかった絋と瑛介は助けに向かいますが、瑛介は恐ろしいほど強い力でチンピラを殺してしまう勢いです。

興奮がピークな瑛介に絋は死ぬから止めろと叫びます。

自衛官時代からカッとなると抑えがきかなかったと言う瑛介。

今回の件は、光彦が瑛介をかばいましたが、瑛介は出頭するのでした。

その後、瑛介は行方がわからなくなっていました。

心配した絋は、防犯のため瑛介の家の雨戸に木を打ちつけ、家に戻ってきたら連絡しろと張り紙をしておきます。

ある日、光彦の父親が瑛介を漁港の方で見かけたといいます。

【結】半世界 のあらすじ④

突然の絋の旅立ち

絋は漁港に向かい瑛介を見つけました。

絋は、以前瑛介が荷物を送っていた先に連絡し、瑛介の事情を把握していました。

瑛介の苦しみは、部下の死を自分のせいだと責めていたのです。

しかし、絋はそれは瑛介のせいでは無いと慰めます。

瑛介は、絋は世間を見ているけれど自分は世界を見ていたといいます。

けれど、海の上にいるとホッとすると言いました。

一方、いじめに遭っていた明は、瑛介に教えてもらい自信がつき友達をやっつけます。

一番体のデカいボスは勇気ある明の行動を認め、実は転校前は、ボスも明のポジションだったと告白します。

ある日、初乃が同窓会に行くと言うと絋は嫉妬します。

初乃は、同窓会に行くのをやめて、以前絋が営業をかけ断られたホテルに、再度炭を売り込み行きます。

その間も絋は炭を焼きます。

すると絋は、心臓に異変を感じ倒れてしまいました。

慌てて帰ってきた初乃を待って絋は旅立ちます。

初乃は自分も棺に入りたいと泣き叫ぶのでした。

葬儀に明をいじめていたボスが陰から参列してくれて、それに気がついた明は、少し嬉しく思うのでした。

瑛介と光彦は、子どもの頃に埋めたタイムカプセルを掘り起こすと、指で二等辺三角形を作ってるポラロイド写真がありました。

中学時代に、絋が瑛介の母を悪く言ったことで仲違いしてしまった時、光彦の計らいで仲直りした時の写真でした。

明は、初乃から炭焼きの窯をどうするか決めていいと言われ、作業場を利用してボクシングの練習をするのでした。

半世界 を観た感想

この映画は好みが分かれると思います。

退屈と感じてしまえばそれまでですが、説明が足りない分いくらでも想像をかき立てることができる映画です。

絋と初乃の夫婦間の雰囲気がリアルでした。

きっと絋と初乃は、学生時代人も羨む美男美女のカップルで何、も無い田舎では、互いにこの結婚だけを勝ちだと思っていたように感じます。

そんな二人も今はくたびれた雰囲気が人間らしくていいです。

瑛介のサイコパス味と初乃の絋への想いには、グッと惹きこまれました。

瑛介は部下を救えなかったけれど、明のことは救いました。

それだけでいいと思います。

そして、光彦の父やスナックのママなど今もあの場所に居るような気がする映画でした。

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