映画「人魚の眠る家」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|堤幸彦

人魚の眠る家

監督:堤幸彦 2018年11月に松竹から配給

人魚の眠る家の主要登場人物

播磨薫子(篠原涼子)
本作の主人公。瑞穂の母。瑞穂は生きていると信じ続ける。

播磨和昌(西島秀俊)
薫子の夫。脳死は生きているのか疑問を持ち始める。

星野祐也(坂口健太郎)
和昌の会社の研究者。瑞穂に電機の刺激を与えてくれる。

川島真緒(川栄李奈)
星野の彼女。動物病院の看護師。

人魚の眠る家 の簡単なあらすじ

プールで溺れ脳死となった娘・瑞穂を一度は臓器提供しようとした瑞穂の両親・薫子と和昌でしたが、瑞穂の指が動くのを見て死んでいないと感じます。

和昌の会社の研究者・星野に力を借り、瑞穂に電機刺激を送ると瑞穂は手足が動くようになっていくのでした。

瑞穂の看護にのめり込む薫子を見て周りは、本当は瑞穂は死んでいるのにと感じはじめて…。

人魚の眠る家 の起承転結

【起】人魚の眠る家 のあらすじ①

瑞穂はまだ生きている

薔薇の庭のあるお屋敷にボールを投げ入れてしまった男の子は、ボールを拾いに庭に入るとそこには意識がないまま車いすに乗った少女がいました。

瑞穂と生人の母・薫子は、夫・和昌と別居中ですが、瑞穂のお受験のために離婚していないのでした。

和昌は、障がい者の脳の指令を利用したロボット開発をする会社の経営者で、忙しく過ごしています。

瑞穂と生人は、今日はおばあちゃんとプールに行きます。

おばあちゃんに子どもを預けて 薫子と和昌はお受験の面接の練習のため塾に行きました。

しかし、面談中に連絡が入り、二人は病院へ。

瑞穂は、プールの排水溝に指を入れてしまい溺れて脳死状態になってしまったのです。

医師に臓器移植の意思を問われますが、まず脳死判定をしたいという薫子に医師は脳死判定は臓器移植が前提であると言われてしまいます。

逆に考えると日本では、脳死か心臓死か選ぶ権利があると医師は言うのでした。

薫子は泣き悩みますが、とても優しかった瑞穂に聞けるのならきっと必要としている人に臓器をあげると言うだろうと考え、臓器提供を決めるのでした。

いざ、臓器提供を行う寸前に瑞穂の指が、かすかに動きます。

それを見た薫子は、瑞穂は死んでなんかないと叫ぶのでした。

【承】人魚の眠る家 のあらすじ②

心臓移植を待つ少女

薫子は、瑞穂を在宅介護したいと申し出ます。

薫子と和昌は、介護のため離婚を白紙に戻しました。

和昌は、研究者・星野の説明によって特殊な横隔膜ペースメーカーを埋め込めば人工呼吸器が外せることを知ります。

早速、瑞穂にその手術を行い人工呼吸器が外せるようになりました。

和昌は、星野の力を借り瑞穂に人工神経接続技術を使うことにします。

しかしまだ前例はありませんでした。

瑞穂は、星野が流す電機の刺激で足が動くようになります。

もっと瑞穂に刺激をと欲張った薫子は、勝手に電機を流し星野に注意されますが、星野は薫子の気持ちを察し、電機を流す頻度をあげるために会社帰りにも来てくれるようになり、彼女の真緒との約束を忘れるほど瑞穂の研究にのめり込みます。

誠意ある星野を薫子は信頼していきました。

瑞穂の研究に夢中になる星野を、真緒は疑い始めます。

薫子の家の前でたたずむ真緒を薫子は家に上げ、電気で動く瑞穂を真緒にみせ、星野は瑞穂の第二の父親だといいました。

和昌は、真緒に瑞穂への治療行為を責められ、さらに社員から会社での星野の扱いについて、私物化だと問題視されます。

久しぶりに瑞穂に会った和昌は、薫子と星野が動かす電機刺激でお土産を受け取りわらっているように口角が上がる瑞穂を見て、衝撃を受け疑問を抱き、星野の研究に一区切りつけさせて本来の研究に戻るよう指示します。

星野は彼女たちに必要なのは自分だと言い切り、和昌に嫉妬をしてるのではないかと感情をぶつけます。

薫子は、だいぶ状態が安定した瑞穂を毎日外に連れ出します。

薫子の母はその様子を心配するようになりました。

和昌は、心臓移植を待つ少女のため100万円の寄付をしました。

その少女の父親は、手術費の募金が貯まってもドナーが現れることは願わないようにしていると言い、さらに脳死の子の親にとってはその子は生きていると言ってくれて和昌は救われます。

【転】人魚の眠る家 のあらすじ③

脳死とは死か生か

しかし、ついに生人まで瑞穂は死んでるのに機械で動いているだけだと薫子に言い、イトコの若葉も同じように思っていることがわかりショックを受けます。

和昌も、外に連れ出すと瑞穂が見世物になっていると薫子に言うのです。

心臓のドナーを待っていた少女は、ドナーが決まらないまま急変し亡くなりました。

生人の誕生日会に瑞穂を同席させようとする薫子に反発した生人は、友達を呼びませんでした。

生人は友達に瑞穂は死んだと言ってしまっていたのです。

そんな生人を薫子は叩きますが、いじめられそうだったからと言い訳する生人を和昌はかばい瑞穂は、医学的には死んでいると言ってしまいます。

薫子は、110番し瑞穂に包丁を当て、私が娘を刺して心臓を止めたら罪に問われるか聞きます。

警察は殺人罪になると薫子に言いました。

医師からは脳死と言われていて、すでに死んでいるのに殺人罪になるのですか?と問う薫子に警察も困ってしまいます。

薫子は、生きているのか死んでいるのか法律に決めてもらう。

生きていたなら人殺しになるというのなら喜んで刑に服すと言い、包丁を瑞穂にかざした時、和昌は瑞穂をかばいました。

和昌は瑞穂を殺さないでくれといい、最初に薫子に希望を与えたのは自分だったと詫びます。

包丁を再び振りかざす薫子に向かって、瑞穂が溺れた本当の理由を若葉が話はじめました。

若葉はプールで指輪を落とし、それを取ろうとした瑞穂は排水溝に吸い込まれてしまったということです。

若葉は大人になっておばちゃんを手伝うといい泣きながら何度も謝りました。

生人も学校でお姉ちゃんは生きていると言うと泣くのでした。

薫子は包丁を捨て謝り、家族の心が一つになりました。

【結】人魚の眠る家 のあらすじ④

瑞穂との別れ

星野は真緒に謝りに行きます。

真緒は、やさしくおかえりなさいと受け入れてくれるのでした。

以前、瑞穂が外に出ると見世物になると言っていた和昌は、散歩しようと言ってくれて家族4人で外に出ます。

少し前に薫子が瑞穂を連れ出していたのには、理由がありました。

瑞穂が脳死になる前に、キレイな場所があると言っていたのに仕事が忙しかった薫子はちゃんと聞いていませんでした。

薫子は、瑞穂を連れてその場所を探していたのでした。

和昌が連れてきてくれた散歩の場所が、そこだったのです。

その場所は、隙間がハート型に見える木の根でした。

ある日、瑞穂は目を覚まし「おかあさん、ありがとう。」

と言ったのです。

薫子は、これが瑞穂との別れだと気が付いていました。

瑞穂についている機器の警告音で、夢からさめた薫子です。

瑞穂は投薬すれば延命できると医師から言われますが、薫子と和昌は脳死判定をし臓器提供をすることを決めます。

和昌は、脳死が人の死かどうかまだわからず心臓が止まった時に死を実感すると医師に言うと、まだどこかで心臓は動いているから娘さんはまだ生きていると医師は和昌に言ってくれました。

瑞穂から心臓をもらった男の子は、何かに引き寄せられ以前いった薔薇の庭のある家に向かいますが、もうそこは更地となっていたのでした。

人魚の眠る家 を観た感想

とても考えさせられる映画でした。

途中、瑞穂に電機を当て続ける薫子にホラーを感じるような演出があり違和感を覚えました。

精神的に参っていたとはいえ、どちらかと言うと、薫子以外の人の反応の方がおかしいと感じていました。

薫子が包丁を振りかざした時も正気でないとは思えませんでした。

こうでもしなければわかってもらえない事を薫子はちゃんとわかっているように見えました。

その後の展開で、その考えが正しいとわかりホッとしました。

篠原涼子さんの狂っているようにも、正気にも取れる演技には脱帽です。

星野の恋人・真緒か、若葉が瑞穂を殺してしまうのかとハラハラしましたが、どちらも善人でよかったです。

心臓移植を待っていた父の考え方が、このドラマのキーポイントだと思います。

当事者の父が、臓器提供を急かさないことに意味があったと感じます。

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