監督:イザベル・コイシェ 2003年10月に松竹から配給
死ぬまでにしたい10のことの主要登場人物
アン(サラ・ポーリー)23歳。17歳で出産し、結婚。現在は2児の母。ドン(スコット・スピードマン)アンの夫。甲斐性はないものの、優しき男性。リー(マーク・ラファロ)測量技師。アンの最後の恋人。アンの母(デボラ・ハリー)自身の人生にも娘の人生にもあまり上手くいっているとは思っていない女性。
死ぬまでにしたい10のこと の簡単なあらすじ
アンは23歳。
失業中だが優しい夫・ドンと可愛い娘二人とトレーラー暮らし。
そんな中自身が末期ガンであることを知らされ、命の期限を知ります。
そうして自分が今まで出来なかったこと、やってこなかったことに挑戦するために、10個のリストを作ります。
その中には自分が初めてキスをした男性の子を産み、現在にいたることでできなかったこと、他の人と恋愛してみたいと思います。
死ぬまでにしたい10のこと の起承転結
【起】死ぬまでにしたい10のこと のあらすじ①
カナダ・バンクーバー。
アンは夜間に大学の清掃をしている23歳の女性です。
一緒に働くローリーは拒食症気味。
彼女は最近アンが痩せたことに言及し、ダイエットをしているのかと問います。
しかし彼女には身に覚えがありません。
アンの母はホテルの工場でマフィンを焼いています。
そのマフィンを幾つか袋に詰め、工場の外でアンの迎えを待ちます。
母を車に乗せ帰宅します。
母は夫に仕事を斡旋する話をしますが、アンは断ります。
夫のドンは現在失業中なのです。
アンは母の家の庭にトレーラーハウスを置いて、二人の可愛い娘と夫と暮らしています。
母は工場で弾かれたマフィンを孫娘たちの朝食にと渡します。
ベッドに潜り込むと、夫のドンが目を冷まします。
狭いベッドの中、冷たい足をドンは温めようとしてくれます。
彼の優しさに感謝します。
翌朝、ドンが子供たちを学校まで送ってくれます。
その前の朝食は戦争です。
しかし優しさに包まれたようなアンの話し方は子供たちへの愛に溢れています。
ドンたちが出かけた後、アンは急激な腹痛に倒れてしまいます。
それを洗濯物を干す為にトレーラーハウスにやてきた母が見つけます。
病院に運ばれるアン。
子供たちの迎えを頼みたいと看護師に話しますが、なかなか取り合ってくれません。
時刻は4時近く。
看護師に伝わったかを聞くと、苦言が。
それにアンは反論します。
それから少しして、トンプソン医師が検査をします。
表情から芳しくない様子です。
他の医師が呼ばれ、セカンドオピニオンをしている様でした。
待合室の椅子には座らせます。
隣通しに座り、トンプソンはアンに結果を話します。
結果はガンでした。
両方の卵巣に腫瘍があり、胃に転移し肝臓にも転移していました。
若いアンは進行が早く、手の施しようがありません。
余命は2・3ヶ月程度。
セカンドオピニオンを勧められますが、他の冷たい医師は嫌だと突っぱねます。
【承】死ぬまでにしたい10のこと のあらすじ②
気分は「世界中のドラッグを試したい。」
帰宅すると、ドンが子供たちを寝かしつけているところでした。
ドンはプール作りの仕事が決定。
深夜出かけたアンは、夜中のカフェに入ります。
アンは17歳で出産、19歳で2人目を出産しました。
実父は10年刑務所で会っていません。
カフェでアンは今までしたくてもできなかったこと。
してこなかったことを書き出し、【死ぬまでにしたい10のこと】を書き出していきます。
その様子を1人の男性が見つめています。
しかしアンは気づきません。
翌朝パンケーキを作り、娘たちを学校へ送り出します。
そして自身は美容室へ。
つけ爪もしたいのですが、今日はネイリストがいないので翌日また来ることに。
アンは夫にも母にも秘密を持ったことで孤独を感じています。
孤独を抱え、バーへ行きますが、結局コインランドリーへ向かいます。
そこには先日カフェにいた男性も居合わせました。
彼はアンにコーヒーを買いますが、ソファで眠ってしまっています。
彼はアンの洗濯物を畳んでくれたりと気にしてくれている様子です。
彼の名前はリー。
洗濯物の中から彼の私物である本があり、電話番号が書かれていました。
空虚の中、アンは過ごします。
母と言えば孫たち人生の陰鬱さを語り、アンと喧嘩をします。
その夜アンは娘とも喧嘩をしてしまいます。
ドンと言えば酔っ払って帰宅します。
外に出ると新しい隣人がタバコを吸っています。
アンは車の中でテープを吹き込んでいます。
娘たちの20歳までの誕生日のためのテープです。
仕事中、アンは気分が悪くなります。
ローリーは心配し、尋ねます。
アンは自身の今までの苦悩をぶちまけます。
ローリーは口に物を運びながら聞きます。
終わった時、ローリーはダイエット名を言わないよう言います。
【転】死ぬまでにしたい10のこと のあらすじ③
アンは先日会ったリーに本を返したいと電話します。
彼の家に招かれたアン。
中は家具一つありません。
アンとリーは本を椅子に向かい合って会話をします。
そうして「私は幸せそう?」とアンは聞きます。
「いいや」とリーは言います。
車の中でテープを聞かないか、とリーに誘われアンは車へ。
土砂降りの雨の中、アンは彼にキスをせがみます。
そうして二人は車の中で初めてキスを交わすのです。
アンはドンに自身がいなくなった後の心の支えを探し、ローリーに白羽の矢を立てますが、彼女の過食気味な雰囲気に子供たちもドンも引き気味です。
その夜、ドンはアンをどれだけ愛しているかを語ります。
アンは「愛している、忘れないで」と伝えます。
。
そんな中、新しい隣人に子供たちが懐きます。
彼女の名前もアンでした。
雰囲気の良い彼女に、アンは惹かれます。
そうして彼女に子供たちを30分預けることに。
アンはリーに愛に行きます。
二人は愛を育む様にキスを交わします。
帰宅したアンが見たのは、隣人のアンがとても雰囲気良く子供たちと遊んでいる姿でした。
翌日、庭に洗濯物を干している時に隣人のアンをコーヒーブレイクに誘います。
そこで彼女がかつて看護実習時に出会った双子の赤ちゃんの話を聞きます。
赤ちゃんたちはターナー症であり、両親も見放したのです。
30時間後、その子たちを看取った彼女はその後からは老人看護専門の看護師になったのです。
その話を聞いてアンは涙を流します。
驚いた隣人のアンは、謝ります。
そんな彼女にアンは食事に誘います。
【結】死ぬまでにしたい10のこと のあらすじ④
アンはリーとも良い関係でした。
彼の家で裸で抱き合いながら、アンは彼に抱かれながら本を読んでくれるよう頼みます。
選ばれた本はあまりにも悲しい本でした。
アンは機嫌を損ねてしまいます。
自身に重なったからです。
リーは言います。
アンのことが分かるのは「たったの10%程度」だと。
少ししてアンは母に父の居場所を聞きます。
病室で爪を綺麗にしてもらい、父に面会に行きます。
彼は少し離れた刑務所の中でした。
父は孫娘たちの話を聞き、「無駄に生きていない」と言います。
靴を作っていることを話ます。
サイズを今度教えて欲しいと言います。
体調が悪いアンは寝込むことが多くなります。
ドンは貧血ではないことを感じていますが、アンははぐらかします。
そんな中でもドンや母へメッセージをテープに吹き込みます。
リーにもメッセージを吹き込みました。
リーをデートに誘ったアン。
男性を夢中にさせることに成功したことに気づきます。
しかし途中で気分が悪くなり、ドンが迎えに。
その様を見ていたリーは悲しみを抱えます。
隣人のアンが夕食にやってきます。
アンはベッドの中です。
雰囲気の良い隣人のアンと子供たち、そしてドン。
ブーズ暖簾の向こう側の世界を見つめます。
目を瞑るアン。
彼女達の幸福を願って。
アンからのメッセージを託された人々。
リーはアンのメッセージを聞きます。
トンプソン医師はアンに託された子供たちのメッセージを順番に棚に並べます。
色々な人達がアンと出会い、別れました。
その中で夢中になり、結果別れてしまったリー。
彼はアンの言いつけ通り、壁を塗ります。
そうして一人微笑むのでした。
死ぬまでにしたい10のこと を観た感想
アンはとても幸せな女性ですが、23歳という若さで自身の命の期限を知ります。
そうして自身がしてこなかったことと、したくてもできなかったことを書き出し、実行していきます。
その中で傷つける結果になったり、自分が思った通りの結果ではなかったりと、人生はなかなか上手く行きません。
それでも最後の恋人にリーを選んだのはとても良い事だったと思います。
彼は何も聞かず、最後まで彼女のすべてを受け入れることを覚悟していました。
ドンも勿論良い人ですが、また違ったタイプです。
こんなに愛されている人に命の機嫌が迫っている。
なかなかに悲しさの中にある映画でした。
自己投影しやすい映画で、涙無しには見られない映画でした。
良い作品です。
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