監督:蜷川実花 2012年7月にアスミック・エースから配給
ヘルタースケルターの主要登場人物
りりこ(沢尻エリカ)トップモデルとして君臨しながら、実は大きな秘密を抱えている。それは全身整形であるこということ。しかしそのことが次なる事件が起きる。麻田誠(大森南朋)検事。りりこの通う美容クリニックの不正を捜査している。羽田美知子(寺島しのぶ)りりこのマネージャー。りりこに支配され、彼女自身どんどん深みにハマっていく。沢鍋錦二(新井浩文)りりこのヘアメイク担当のおねえ。絶対の信頼を置いている。
ヘルタースケルター の簡単なあらすじ
1996年まで漫画家・岡崎京子先生が連載していた漫画を元に写真家で映画監督の蜷川実花さんの二作目の映画としで作られた映画です。
漫画のストーリーは未完となっています。
主人公に沢尻エリカさんを迎え、トップモデルのりりこのトップからの転落を美しい極彩色の中で描く物語です。
りりこを演じた沢尻エリカさんのフルヌードなど、体を貼った演技が注目の映画です。
ヘルタースケルター の起承転結
【起】ヘルタースケルター のあらすじ①
トップモデルとして君臨するりりこ。
表紙を飾り、テレビへの露出も増えている彼女。
しかしりりこはカメラのシャッターが押される度に自分がどんどん消費されていると感じています。
そんなりりこの顔を歪んでいると表現する男がいます。
彼は検事の麻田です。
美容クリニックの捜査をしているのです。
その頃のりりこと言えば、自身の完璧さを感じながら日々を過ごしています。
仕事で嫌なことがあれば、マネージャーの羽田に水を吐きかけて八つ当たりをするのです。
忙しい中、仕事の合間を縫って恋人である社長の御曹司・南部貴男と情事。
しかしその夜は仕事を得る為にプロデューサーとベッドを共にするのです。
そうして消費されていく自分を感じながら、りりこは日々を過ごしています。
そんな中りりこはひたいにできたアザに気づきます。
それはメイク担当の錦二も気づいていました。
それを社長に話すと、驚愕の事実を話されるのです。
なんとりりこは、耳と性器、目玉と爪以外はすべて作り物=全身整形でり、あざはその後遺症だと言うのです。
錦二を丸め込み、社長は全てを彼に任せると言います。
自身の高級な指輪で買収しながら。
【承】ヘルタースケルター のあらすじ②
りりこはメンテナンスのために再手術をすることになります。
しかしそれは精神的にも肉体的にも厳しい物でした。
そんな中美容クリニックにアザだらけの女性が殴り込みに来ます。
その女性はメンテナンスができなくなり、後遺症が出た女性でした。
その頃検事の麻田は女性の不審死に関係すると思われる、美容クリニックについて調べています。
そのクリニックで手術をすると、永遠に薬を飲み続け、そして定期的なメンテナンスも必要だと彼は話します。
それに対し、刑事は「女は欲張り」だと告げます。
ある夜のこと、酔ってりりこは羽田の前で大暴れします。
アザが再び大きくなり、新たなアザさで見つけてしまったのです。
狂ったように笑うりりこに、羽田は心配そうな顔で見つめます。
りりこに押し倒され、呆然としながら彼女のキスを受け入れる羽田。
下着を取った自身の股を舐めるように指示し、羽田を自身の物にします。
その頃、社長の元に一人の高校生がやってきます。
丸みを帯びた彼女はちかこと名乗ります。
実は彼女はりりこの妹でした。
そんな中りりこは大きなダイヤの着いた指輪を錦二に見せます。
婚約指輪の様でした。
その夜、りりこの自宅にちかこからの手紙が置いてありました。
りりこはバスルームでその手紙を読み、呆然とします。
そこに羽田がやってきます。
りりこに今まで以上に尽くす姿がまるで恋人気取り。
りりこはそれが嫌で仕方なく、「調子に乗るな、変態女」とまで言い放ちます。
余りの言い草に羽田は涙を流して帰宅します。
そんな羽田に南部との婚約を新聞社にリークさせるりりこ。
そうして羽田を支配して行くのです。
そうしてもう一つ頼み事をするのです。
それは妹のちかこと会う算段を付けてもらうのです。
仕事の合間を塗って、メンテナンスを開始したりりこ。
その頃検事の麻田はりりこの顔をテレビで見る度に持論を繰り広げます。
そうして言います。
「まさにヘルダースケルター、ひっちゃかめっちゃか」
【転】ヘルタースケルター のあらすじ③
そんな中りりこにライバルが現れます。
まだ18歳の吉川こずえです。
彼女は最初りりこと人気を二分し、共演を果たします。
しかしその生まれながらの美しさに皆が魅了されます。
りりこを差し置いて表紙を飾り出したこずえ。
そんな彼女にりりこはどんどん嫉妬心を燃やします。
その頃から薬の量もどんどん増えていきます。
そうする中でりりこはどんどん現実と幻想の狭間が分からなくなり、どんどんパニックを起こすようになります。
そうして彼女の本当の声、「こんな仕事もう辞めたい」とまで言い出します。
そんな混乱の中で最も衝撃的な記事を見つけます。
恋人の南部が結婚すると書かれているのです。
しかしその相手はりりこではなく別の女性でした。
南部を問い詰めますが、のらりくらりと交わす彼に嫌気がさします。
りりこは再び羽田に八つ当たりをします。
その延長で彼女の若い恋人、奥村伸一を羽田の目の前で寝とってしまいます。
すっかりりりこの虜になった伸一。
りりこの言いなりになり、南部の婚約者の顔に硫酸をかける事件まで起こします。
人間関係を壊して行き、どんどん自身の仲間を増やしていくりりこ。
しかし彼女のタイムリミットはどんどん近づいています。
検事の麻田は美容クリニックの不正を暴くために密かに動きを早め、りりこに逢いに来ます。
青く美しい世界が広がる水族館にりりこはいました。
その大きな水槽の前で初めて検事の麻田とりりこは対面します。
麻田はりりこに美容クリニックの不正と内情を話して欲しいと告げ、「比留駒春子さん」と本名で呼びかけます。
そして羽田と伸一にやらせたことをそれとなく話します。
困惑するりりこを置いて麻田は去ります。
ある一つの資料を渡して。
中身は美容クリニックを利用し、継続出来ずに亡くなった女性たちの資料でした。
そうしてりりこは羽田に次なる命令をします。
「こずえの顔をずたずたにして」と。
【結】ヘルタースケルター のあらすじ④
その頃のりりこはすっかり現実と妄想の区別が付かなくなっていました。
羽田はこずえを襲う瞬間を虎視眈々と狙っています。
テレビ収録中のりりこはケーキを前に歓喜の声に妄想の中の蝶を追い払う動作をしてしまいます。
しかしそこには何もありません。
おかしな動作を繰り返すりりこ。
周りも困惑しながらもカメラは回り続け、最後はケーキごと投げ飛ばしてしまいます。
りりこの意識は混沌とした中にあります。
パニックになるりりこ。
痙攣しながらその場に倒れ込んでしまいます。
その頃のこずえを襲うつもりだった羽田。
こずえはそれを見て「やれば」と言います。
こずえはどんどん自分たちモデルはすげ変わっていくだけだと知っているのです。
何もかも無くしたりりこ。
雨の中で座り込んでしまいます。
そんな中りりこの部屋に留まった羽田は、以前麻田がりりこに渡した資料を見つけ、りりこの真実を知ってしまいます。
そしてそれを新聞社・週刊誌にリークするのです。
世間はりりこの本当の姿を知り、沸き立ちます。
その頃検事の麻田は世間に捜査資料が漏れたことにより、責任を取らされることに。
りりこは世間に弁解の会見をすることになります。
その頃には全身アザだらけになっていました。
真っ白なドレスに身を包んだりりこはフラッシュの嵐の中、椅子に座ります。
りりこはその中で突然静寂を感じます。
立ち上がり、右手に持っていたナイフを自身の右目に突き刺したのでした。
右目から血を流すりりこ。
それがりりこがテレビ出演した最後の瞬間でした。
りりこは伝説となりました。
街中にはりりこの看板が出ていました。
写真集が復刊することの記事でした。
その頃のこずえ。
細々とモデルの仕事は継続していました。
そしてそこであるお店の存在を聞かされます。
雑踏の中でこずえは羽田の姿を見つけます。
彼女について行くと、そこには真っ赤なドレスを着込んだりりこが。
驚くこずえにりりこは一言。
「ふっ」と笑うのでした。
ヘルタースケルター を観た感想
この映画では美しい女性たちが使い捨ての様に使われて、すげ変わっていくのを描いています。
それは人間のみに限った話ではないことを表しています。
その世界観を蜷川実花さんの美しい、目の冴えるような写真の中で見ることができる幸せ。
そして狂っていくりりこを演じた沢尻さんの女優魂を強く感じる映画でした。
全体的に男女の絡みが多く、ちょっと驚きますが、ほぼ原作通りで嬉しくなります。
岡崎京子先生はリハビリを続けているものの、恐らく続編は描かれないと思いますが、未だに忘れられない存在な岡崎先生の漫画は凄いと感じます。
そしてそれを映画化してくれた蜷川実花さんも凄いと感じる映画でした。
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