監督:マイケル・マン 2004年10月にパラマウント映画から配給
コラテラルの主要登場人物
ヴィンセント(トム・クルーズ)
主人公。高額な報酬で暗殺を請け負う。いかなる状況でも感情に左右されない。
マックス・ドローチャー(ジェイミー・フォックス)
乗客に誠実なタクシードライバー。正確な体内時計を持ち車内を清潔に保つのがポリシー。
アイダ・ドローチャー(イルマ・ホール)
マックスの母。おしゃべりで寂しがり屋。
フェリックス(ハビエル・バルデム)
ヴィンセントの雇い主。非合法な手段で自らの組織を維持する。
アニー・ファレル(ジェイダ・ピンケット・スミス)
若手の検事として活躍中。公判の前には精神的な不安に襲われる。
コラテラル の簡単なあらすじ
ロサンゼルスでタクシーの運転手をしているマックス・ドローチャーは、ある晩にヴィンセントという殺し屋を乗せてしまいます。
黙々と任務を遂行していくヴィンセントが最後に狙うのは、直前にマックスと意気投合した乗客のアニー・ファレルです。
アニーを救うためにやむなくマックスは、ヴィンセントの凶行を力ずくで止めるのでした。
コラテラル の起承転結
【起】コラテラル のあらすじ①
ロサンゼルスのタクシー会社で12年間働いているマックスは、いつか自分でリムジン・サービスを起業するのが夢です。
ある時に法曹関係の仕事をしているという若い女性、アニー・ファレルを乗せて最短ルートで目的地まで送り届けました。
マックスの正直さを気に入ったアニーはダッシュボードに名刺を置いていき、困った時には相談にのると言い残していきます。
お次の客は不動産業で契約をまとめにやってきたヴィンセントと名乗る男性で、空港からサウス・ユニオン地区の1039番地まで7分とかかりません。
マックスの運転技術を見込んだヴィンセントは今夜だけ自分の専属ドライバーにならないかと提案してきました。
朝まで貸し切りで600ドル、午前6時発の便に間に合えばさらに100ドル。
普段の勤務であれば夜通し走り回ったとしても350〜400ドル程度で、急な病気の時の保障もありません。
破格の値段にひかれてマックスはヴィンセントから前金の300ドルを受け取りましたが、指定された場所で停車していると上空から射殺された男性が落ちてきます。
【承】コラテラル のあらすじ②
人を殺してきたとあっさりと認めたヴィンセントは遺体をトランクに積み込み、屋根の血液をペットボトルの水で洗い流しました。
先ほど落下してきた男性は麻薬密売組織のボス・フィリックスの下で働いてるラモンという密告屋で、4カ月前からロス市警察に情報を横流ししています。
ラモンを担当していた組織のお抱え弁護士・クラークも、すでにヴィンセントが片付けてしまったようです。
ふたりとも検察側の証人で、告発を逃れたいフィリックスがヴィンセントに口封じを依頼していました。
ヴィンセントがタクシーを離れて「仕事」をしている間、マックスの両手はハンドルにしっかりと縛りつけられているために動かせません。
助けを呼ぶためにやみくもにクラクションを鳴らしていると、やって来たのはパトロール中の警察官ではなく数人組の強盗です。
車内にあったブリーフケースを盗もうとした不届き者は、戻ってきたヴィンセントにあっさりと返り討ちにされてしまいました。
【転】コラテラル のあらすじ③
ジャズが大好きだというヴィンセントは、西海岸でも有名なプレーヤーが演奏するお店でマックスに1杯おごってくれます。
オーナーのダニエル・ベイカーは19歳の頃からこの店で働いていて、若き日にはあのマイルス・デイヴィスと共演をしたほどのトランペット奏者です。
マイルスのことなら何でも知っていると豪語するダニエルでしたが、ジャズのうんちくに関してはヴィンセントには敵いません。
マックスが母親・アイダのお見舞いに行く約束をしていると聞き、ヴィンセントは決まった行動パターンを破るのは良くないと言い出しました。
途中でポケットマネーで花を買ったヴィンセントも病院まで付いてきて、アイダにプレゼントをします。
頭に銃を突き付けでもしないと息子は言うことを聞いてくれないと愚痴をこぼすアイダ、マックスのことを「僕の友だち」と紹介するヴィンセント。
病室を出たヴィンセントは幼い頃にお酒を飲んでは暴力を振るっていた父親が、つい先日に肝臓を患って亡くなったことを打ち明けます。
【結】コラテラル のあらすじ④
マックスはスピードを上げてオリンピック通りの角でわざとタクシーを横転させて、警官に保護してもらいました。
ヴィンセントは素早く現場から立ち去り、トランクからラモンの死体が発見されてためにマックスが殺人の容疑をかけられてしまいます。
ヴィンセントが置き忘れたブリーフケースにはターゲットを調査した資料が入っていて、リストの最後に載っていたのはマックスもよく知っている人物です。
名前はアニー・ファレル、勤め先は検事局、いま現在担当している事件の容疑者こそがフィリックス。
マックスはあくまでもコラテラル(巻き添え)で、知り合いの女性に危機が迫っていると訴えますが信じてもらえません。
警官から拳銃を奪ったマックスは職場のビルを脱出したアニーと合流し地下鉄に乗り込みますが、最後尾の車両から銃を構えて迫ってくるのはヴィンセントです。
列車内での銃撃戦の末に致命傷を受けたのはヴィンセントの方で、座席の上で静かに息を引き取ります。
次の駅で降りたマックスとアニーは、朝日が射し込み始めたロサンゼルスを寄り添いながら歩くのでした。
コラテラル を観た感想
人口1700万人を誇る世界第5位の経済都市、ロサンゼルスの夜景がスタイリッシュに映し出されていきます。
ある男性が地下鉄の車内で病死した時に、乗客が6時間あまり誰ひとりとして気がつかなかったという冒頭のエピソードが印象的です。
それぞれが匿名性の高い存在となり、お互いに無関心になっていく大都会に思いを巡らせてしまいました。
どんな人間も地球上の人口60億人のうちのひとりでしかないという、主人公・ヴィンセントのセリフにもつながります。
究極のハードボイルドとして成立していますが、マックスとのあいだに芽生える奇妙な友情には人間的な温かさを感じるでしょう。
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