前話のあらすじはこちら
飛び出していく娘
美也(みや)のためにも一緒に群馬の実家に引っ越して暮らさないか?という晃介(こうすけ)の提案に対して、美也は勝手に決めつけないでと怒りをあらわにします。
そして荷物をバッグに詰めると「・・・しばらく帰らないから」と言い残して家を飛び出してしまうのでした。あっけにとられた晃介は言葉を失いただ呆然とすることしかできませんでした。
しばらく時間が立ちようやく我を取り戻した晃介は慌てて美也を連れ戻すべく飛び出しますが、マンションの外にはもう美也の姿はありません。焦った晃介は人目も気にせず、美也の名前を呼び走り回って探すのですが、全く見つけることができないのでした。
一旦自宅に帰った晃介は美也に電話をかけますが繋がりません。思わず「・・・くそ!」と吐き捨てながら、晃介はスマホのGPS機能をつかうことを閃きます。焦りながらもスマホを操作してようやく美也が渋谷駅に居ることを知ることができたのでした。
唯一の頼れる存在
晃介が一喜一憂していたころ、美也は渋谷駅で1人誰かを待っていました。
そこに高校の同級生の三崎(みさき)が「よっ」と言いながら現れます。合流した美也は「ごめんね 私三崎くんしか頼れる人がいなくて…」と三崎に謝罪するのでした。
そんな美也に三崎は「とりあえずぱーっと遊ぼうぜ?」と気を使わせないよう提案します。
そして美也のスマホを貸りると「今は嫌なこと忘れちまえよ」と言って、父親のことも忘れるようにスマホの電源を切るのでした。そんな三崎に戸惑いながらも黙って従う美也でしたが、電源が切れたことで困ったのはGPSを頼りに電車で渋谷駅に向かっていた晃介です。電車内で位置情報が取得できないと表示されたスマホを片手に何故消えたのか慌てふためいていました。電話をかけてももちろん電源が切れているので繋がりません。
晃介、渋谷に降り立つ。
渋谷駅で電車を降りた晃介は行き交う大量の人々の中でキョロキョロと美也を探しますが全く見つけられません。晃介は自宅周辺同様、渋谷でも走り回って美也を探すのでしたが。見つけたと思って美也の肩を後ろから掴むも、他人の空似で謝罪。その後も全力で駆けずり回るも、渋谷は広すぎてどこから当たればいいのかもわかりません。
それから晃介はGPS情報が送られていないか確認したり、牛丼屋の店員に美也の写真を見せて聞き込みを行ったりしますが美也の姿は影も形も見当たりません。
ついには漫画喫茶の中を店員の静止も無視して探し回ったりします。
しかし最後のこれが仇になって、漫画喫茶の店員に警察を呼ばれ抵抗むなしく連行されてしまうのでした。
徹夜越しの朝に
晃介は結局朝が来るまで渋谷を探し続けていたのでした。疲れ切って無精髭も伸びた晃介は呆然とゴミ捨て場に捨てられたゴミ袋に群がるカラスを見ていました。
GPS情報がまた送られてきているのではないかともう一度確認する晃介でしたが、その時スマホに着信が入ります。驚きつつもすぐに「美也…!?」っと電話を取る晃介でしたが、電話をかけてきたのは会社の営業科の塩崎でした。「商品企画課の市川課長の携帯でよろしいでしょうか?」と確認しつつ塩崎は今日朝から準備をする予定の家具フェアに晃介がまだ顔を出さないために電話したのだと告げるのでした。更に展示用のプレートも晃介にお願いしていたのだが大丈夫かと続けます。
すっかり忘れていた晃介は思い出すやいなや無言で脱力しその場にへたり込んでしまいました。
そしてなんの言い訳をすることもできず、申し訳ございません、申し訳ございませんと電話口の塩崎に謝罪を繰り返すのでした。
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